睡眠時無呼吸症候群を鍼灸治療で解消する養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2012.1.21

鍼灸治療では

夜寝ているときにいびきをかいていると思ったら、急にいびきが10秒間ほど止まり、その後またいびきをかきだすことはないでしょうか。これは「睡眠時無呼吸症候群」という病気の特徴です。この睡眠時無呼吸症候群は10秒ほど呼吸が止まった状態が一晩で何度も起こるために、血液中の酸素が減ってしまい、体にさまざまな影響を与えています。高血圧や狭心症、心筋梗塞や脳卒中などが睡眠時無呼吸症候群のために起こることもあります。

そこで、これらの予防のためにも、鍼灸院でも治療をしていきます。今回はどのように鍼灸治療を行うのかについて考えてみようと思います。

まず、簡単に睡眠時無呼吸症候群について知っておきましょう。

睡眠時無呼吸症候群は夜寝ているときに、気道の上部(上気道)が詰まってしまい、それによって、呼吸が中断され脳が目覚めてしまう病気です。一晩に何度も呼吸が止まるため、睡眠時間を取っていても、実は眠れていません。そのため、日中に強い眠気が襲ってきます。人によっては、車を運転しているときに眠気に襲われることもあります。また、体がだるい状態になることもあります。

さらに怖いのが、睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる病気です。先ほども書いた通り「高血圧」「狭心症」「心筋梗塞」「脳卒中」などがあります。これらは、呼吸が止まったことによる酸素不足で、循環器系に影響を受けたために起こるとされています。命にかかわることもあるため、適切に治療していく必要があります。

そして、睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満であるといわれています。通常、寝ているときは全身の筋肉が弛緩してのどの筋肉も緩んできます。そうすると、舌根が上気道に落ち込んで、空気の通り道を塞いでしまい、呼吸が止まってしまいます。そのため、まずは肥満を解消することが重要になります。鍼灸でも肥満を解消する治療を行っていますので、「ダイエットと鍼灸治療」を参考にしてください。

今回は、肥満以外の観点から鍼灸治療について考えていきましょう。

睡眠時無呼吸症候群に多いタイプ

睡眠時無呼吸症候群の患者さんを東洋医学的に診ていると、あるタイプが浮かび上がってきます。それは「水毒」体質の人が多いということです。水毒とは別に体に毒があるわけではありません。字の通り「水分が体にとって悪影響になっている」ような状態のことを指しています。皮膚を触った時に、体が水っぽい人がそれに当てはまります。

鍼灸治療ではまずこの水毒に注目して治療を進めていきます。水毒体質の人はむくみもあるため、気管まわりが狭くなっていることも多く、水毒を解消すると呼吸が楽になります。

使うツボは「照海(しょうかい:内くるぶしの下)」や「陰交(さんいんこう:内くるぶしの上に指4本分上がったところ)」などがよいでしょう。これらは体の水はけを良くしてくれるツボとして有名です。鍼もよく効きますが、普段から灸を続けていくのがよいでしょう。特に体の状態を変える必要があるため、しばらくは毎日続けて灸をしましょう。家庭で行う場合にはせんねん灸をしてもいいかもしれません。

そのほかにも、体の水はけをよくするツボとして「失眠(しつみん:かかとの真ん中)」があります。このツボにも灸をしましょう。ここはせんねん灸ではなく直接する灸を熱さを感じるまで行うようにしましょう。水毒タイプの人は体に過剰な水分がたまっている状態で、失眠に灸をすえてもあまり熱さを感じません。そこで、熱さを感じるまで何壮も何壮も灸をすえていきます。繰り返しすえていると、急に熱さを感じます。そうすると、トイレに行く回数などが増えたりして、体から余分な水分を出すことができるようになります。

このように、毎日灸をして水毒を解消することが大切になります。

体の疲れを取る

また、体の疲れを取ることも睡眠時無呼吸症候群の治療に必要になります。誰でもそうなのですが、体が疲れているといびきをかきやすくなります。これは、そのときだけで特に問題はありません。しかし、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは酸素不足により、常に体が疲れた状態が続いているのです。そのため、睡眠時無呼吸症候群の治療には体から疲れを取るための治療が大切になります。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは首がこっていることが多いです。この首のこりを解消することで体の疲れを緩和することが可能です。よく使うツボとしては「天柱:てんちゅう:髪の生え際で正中線から外1.5cm)」や「完骨(かんこつ:乳様突起の後ろ)」があります。これらのツボにやさしく鍼をしていきます。ジワ~と気持ちよく響くような鍼をすると、首のこりが取れて、リラックスできます。また、鍼の先にもぐさを付けて燃やす「灸頭鍼(きゅうとうしん)」も効果的です。

また、先ほど登場した「失眠」は利尿作用のほかにも後頚部のこりを解消する作用があります。

そして、首のこりだけでなく全身の調子を整えることも、体の疲れを解消するために必要です。それぞれの患者さんにある症状に合わせて治療を行います。

特に大切なのは脾胃の働き、つまり消化吸収です。しっかりと食べたものを吸収し体力にできていないと体の疲れは解消しません。「中脘(ちゅうかん:へそとみぞおちの中間)」や「足三里(あしさんり:膝の下に指4本分下がったところ。脛骨の外1.5cm)」などが脾胃の働きを良くしてくれます。ここにも鍼や灸を行うとよいでしょう。

筋肉を引き締める

また、緩んだ筋肉を引き締めることも大切です。といっても、鍼や灸をすれば筋肉ムキムキになるというわけではありません。弛緩した状態が続いている筋肉を、引き締めるということです。

筋肉を引き締める効果のあるツボとしては「中封(ちゅうほう:内くるぶしの前1cm)」や「百会(ひゃくえ:頭の頂上)」などがいいでしょう。ここも鍼と灸どちらも効果がありますが、灸をするのがよいでしょう。毎日直接灸をすえると、全身の筋肉が引き締まってきます。1回2回の治療では効きませんので、継続的に治療をしていきましょう。

まとめ

このように、睡眠時無呼吸症候群を鍼灸治療で対応していくことが可能です。睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気に悪影響があるので、しっかりと治療をしておきましょう。

また、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは自分がその病気であると気づいていないことも多いです。日本では300万人程度の患者さんがいるとされていますが、実際に治療を受けている人は10万人ほどと非常に少ないです。命にかかわる病気につながっていますので、一度検査を受けておくようにするといいでしょう。



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