関節リウマチの治療は薬と鍼灸を併用する養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2012.1.7

関節リウマチと鍼灸治療

関節リウマチで苦しんでいる患者さんも鍼灸院に来院されます。毎日あちこちが痛くなる大変な病気ですが、鍼灸治療を行うことで少しでも症状が改善するように治療をしていきます。そこで今回は関節リウマチの患者さんに対する鍼灸治療について考えてみようと思います。

かつては、関節リウマチは「不治の病」といわれる大変難しい病気でした。人類が生まれたときから関節リウマチは存在しており、昔からさまざまな治療法が模索されてきました。そして、まだいい効果のある薬が登場するまでは鍼灸治療でも関節リウマチが改善しないかどうかも研究されていました。

しかし、現在は関節リウマチに対して非常によく効く薬のメトトレキサートやサイトカイン阻害薬などが登場したことにより、鍼灸治療の考え方も変わってきています。それは薬と鍼灸治療を併用していかに相乗効果を上げるかという考え方です。

メトトレキサートやサイトカイン阻害薬などはよく効くのですが、それでもすべての人に効果があるわけではありません。また、薬の効果があっても完全に痛みなどの症状が消えるかというとそうでもありません。そのため、薬を上手に使いながら鍼灸治療でカバーしていく必要があるのです。

薬の効果を高める

薬とは体に入って効果を発揮するのですが、体に体力がないとどんな薬を使っても効果は望めません。そこで、まずは薬がよく効くように体の調子を整える必要があります。これはさまざまな症状に対応できる鍼灸治療が向いています。

まずは体の体力を取り戻していきましょう。これには「快眠・快食・快便」が大切になります。どのような病気でもそうですが、痛みやつらい症状があると睡眠状態や食欲、便通が乱れてしまい体力を消耗してしまいます。体力が消耗するとさらに病気が悪化したり長引いてしまい、さらに体力が低下してしまいます。そのため、治療を行う際には睡眠状態や食欲・便通の調子をよくすることが大切になるのです。これは長期化しやすい関節リウマチでは特にそうです。

夜によく眠れるようにするには「失眠(しつみん:かかとの真ん中)」に灸をするのがよいでしょう。不眠の人は灸をしても熱さを感じません。そこで、熱さを感じるまで何壮でも灸をすえていきます。熱さがギュッと染み込んで、頭まで届くような感覚が車で灸をすえるとよく眠れるようになります。この灸は毎日行い、すぐに熱さを感じるようになるまで灸をすえ続けることが大切です。

食欲や便通は密接に関係しています。人間は口からものを食べて、肛門から排泄しています。この流れが崩れるとどちらも調子が悪くなってしまいます。例えば、食欲がなくなって食事量が減ってしまうと便が出にくくなってしまいますし、便が長い期間出にくい状態になっても食欲はなくなってきます。そのため、これらの調子は同時に観察して、治療していくことが必要です。

食欲を出すためには「足三里(あしさんり:膝の下指4本分下がったところ、脛骨の外側)」「中脘(ちゅうかん:みぞおちとへその中間)」がいいでしょう。便通の調整には「中封(ちゅうほう:内くるぶしの前1cm)」「曲池(きょくち:肘のシワの外端)」が効果的です。これらのツボも灸をするのがよいでしょう。毎日各5壮灸をすると体の調子が整ってきます。関節リウマチの症状で指が痛い人はせんねん灸を使うのも負担が少なくいいかもしれません。

自宅で灸をする場合、家族の人に灸をしてもらうのもいいかもしれません。普段は会話が少なくとも灸をしているときには話がしやすいというメリットもありますし、家族の人に自分の病気について理解してもらうきっかけにもなります。

これらを毎日続けて体調を整えることによって、薬の効果がより上がると思います。もし、不眠・食欲低下・便秘を薬で治そうとするとたくさんの種類をのまなくてはならなくなりますが、鍼灸治療であればまとめて治療を行うことができるので、体調管理には優れていると思います。

痛みやこわばりを軽減する

さて、上記のようなツボを基本的には使っていき、薬の効果を高めるようにしていきますが、それでも完全に痛みなどの症状が取れるかというとそうでないことも多々あります。例えば、指の痛みやこわばりなど以前よりはマシになってもまだ症状としては残っているということはよくあります。そこで、これらの症状に対しても治療を行います。

指の痛みに対しても灸をすると効果があります。痛みのあるところに直接灸をしていきます。指先はほかの部位よりも熱さを感じやすいため、糸状灸というなるべき細くした灸をしていきます。指の痛みは第2関節に変形を伴って起こることが多いですが、痛い範囲を取り囲むように灸をしていきます。灸をした直後に痛みが軽減することも多く、継続するとマシになることもあります。

それでも以前はなかなか痛みがよくなりにくいことが多かったのですが、新しく出た薬と併用するようになり、灸自体もよく痛みを抑えてくれるようになっています。少しでも痛みを取ることができれば、動かしやすくなりリハビリテーション療法などを行いやすくなりますので、鍼灸治療を続けていくといいでしょう。

同様に灸をしていると朝起きたときのこわばりもマシになることがあります。こわばりに対しては、指だけでなく前腕部などのツボを組み合わせることでより効果が高まります。

背中のツボも必要

このように、痛みに対して治療を行うことも大切ですが、関節リウマチは痛む部位が日によって変わることも多いです。そのつど痛む部位を治療することも大切ですが、体全体をトータルでカバーするツボも使っていく必要があります。

そこで使用するのが背中のツボです。東洋医学では五臓六腑の働きに乱れが生じたときに、病気や症状が現れると考えるのですが、その五臓六腑の働きを整えるツボとして「背部兪穴」というものがあります。多くは背骨の横1.5~2cm外側にあるツボで、鍼灸治療をするには欠かせない大切なツボです。

例えば、「腎」の働きが悪くなっている人は腎の働きをよくすることが大切です。そこで第2腰椎の外にある「腎兪(じんゆ)」を診てみると、腎の働きが悪くなっている人は腎湯に硬結があったり、力なくへこんでいたりとツボに反応が出ています。そのようなときには、腎兪に対して鍼や灸を行うことで腎の働きを整えて体の自然治癒力を高めてやることができます。

このように、それぞれの五臓六腑に対応したツボがあり、それらのツボに反応が出ているときは鍼や灸を行っていくことで、少しずつ痛みの無い日が出てくるようになります。指が痛いのに背中まで服をめくって鍼灸をするのかと驚く人もいますが、これはこのような考えのもとに行っています。

薬の副作用を予防

また、このように全身に対して鍼灸治療を行うのには薬の副作用を抑えるためという面もあります。メトトレキサートやサイトカイン阻害薬などの「抗リウマチ薬」は非常によく効く薬ですが副作用も存在します。抗リウマチ薬は「胃腸障害」「発疹」「風邪」「気管支炎」「膀胱炎」などさまざまな副作用が現れ、場合によっては薬の服用を続けにくいこともあります。そのようなときに、鍼灸治療を行い副作用を抑えることができれば、抗リウマチ薬を続けやすくなり患者さんにとって大きなメリットになります。

風邪や気管支炎などの感染症は、背中になる「身柱(しんちゅう)」「風門(ふうもん)」などに鍼や灸をするのが効果的です。日頃から定期的に鍼灸治療を行っているとこれらの予防にもなります。

また、肺炎や結核などの病気が副作用として現れることもあります。これはサイトカイン阻害薬によって、体の抵抗力が低下するために起こりますが、これらの鍼灸治療を続けることで防ぐことができます。

まとめ

今までは薬も鍼灸治療もいまいち効果が出にくかったのですが、新しい薬の登場により、併用した時の相乗効果がよくなっています。患者さんが少しでも痛みやこわばりの無い質のいい生活を送れるように治療していくことができるようになっています。鍼灸治療を受けたことがない人もぜひ一度試してみるといいでしょう。



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