ペインクリニックと鍼灸治療は痛みの改善に効く養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2012.1.4

鍼灸とペインクリニックの関係

慢性的な痛みが続いた場合は、痛みを取るための治療をする必要があります。その際にどのような治療をするかですが、ペインクリニックとともに鍼灸治療も痛みを改善するのに効果的な治療であるといわれています。また、両方を並行して行うことで、より頑固な痛みを改善することも可能です。そこで、今回はペインクリニックと鍼灸治療の関係についてを考えてみようと思います。

まずは、ペインクリニックの歴史について知っておきましょう。通常、医療機関では内科や外科などが一般的であり、ペインクリニックとは何とも聞きなれない単語かもしれません。それは、ペインクリニックがまだ歴史の浅い診療科だからではないでしょうか。

わが国では、昭和38年に東京大学医学部麻酔科でペインクリニックが誕生しました。そして、昭和41年には大阪医科大学麻酔科ペインクリニックが開設されています。歴史が浅いといってもペインクリニックが登場しておおよそ50年ほどが経過していることになります。

実は、この大阪医科大学におけるペインクリニックではそれまでにない画期的なことを行っています。それは、開設当初より鍼灸師が治療スタッフとして治療にあたり、神経ブロックと鍼灸治療を同時に同施設内で受診できるという全国でも珍しい大学病院だったのです。

つまり、鍼灸治療とペインクリニックの関係はペインクリニックが登場した時から始まっていたといえます。この流れは現在でも続いており、今では東京大学医学部でも鍼灸治療を受けることができます。

では、ペインクリニックは薬物療法や神経ブロックで慢性的な痛みの改善を行うのに対して、鍼灸治療ではどのように対処しているのかを考えてみましょう。

痛みの悪循環を断ち切る

人間が痛みを感じるのは、体がダメージを負っていることを認識するために必要なことだといえます。しかし、痛みが慢性化してずっとつらい状態が続いている場合は治療を行い痛みを軽減してやる必要があります。

慢性的な痛みを改善するためには、鍼や灸を使って「痛みの悪循環」を断ち切ることが大切になります。

痛みの悪循環とは体が外からの刺激によって痛みを感じたときに血管が収縮し、筋肉がギュッと縮こまることから始まります。血流が悪くなったり、筋肉が固くなるとそこから痛みを発する物質が出てきてしまいます。その痛み物質によって痛みが強くなることで、さらに筋肉が緊張し、血管が収縮するとまた痛み物質が出てきて痛みが強くなるという悪循環に陥ってしまいます。

痛み→血管収縮、筋肉緊張→痛み物質→痛み増強→血管収縮、筋肉緊張→痛み物質→…

通常ならばけがなどをしても傷が治れば痛みはなくなっていきます。しかし、このような痛みの悪循環によって痛みが慢性的に続くことで、傷など痛みの原因となったものが治った後も痛みが続いてしまうということがあるのです。そこで、この悪循環を途中で断ち切ることが大切になるのです。

ペインクリニックの場合は、薬物療法や神経ブロックを使用して「痛み」を感じない状態にすることで、血管の収縮や筋肉の緊張が起こるのを防ぎ、痛みの悪循環を断ち切ります。

鍼灸治療の場合は、鍼や灸をすることによって「痛み」を止めることで悪循環を断ち切ることもありますし、血管の収縮や筋肉の緊張を改善することで痛み物質がこれ以上でないように治療することもあります。

鍼灸治療もペインクリニックもどちらもよく痛みの改善に役立ちますが、両方を行うことでさらに効果は上がります。その意味でも、ペインクリニックと鍼灸治療が同時に受けられる施設を作った大阪医科大学は先見の明があったといえます。

痛みを止める方法

痛みを止める方法にも種類があります。まず、痛みの発生原因として「けがや手術などで体の組織の一部が傷ついて起こる痛み」「神経が傷ついて起こる痛み」「心理的要因で起こる痛み」の3つがあります。これらのどれが痛みにかかわっているかは患者さんによって異なります。

「けがや手術での痛み」や「神経が傷ついて起こる痛み」では、まず痛みのあるところに鍼をしてみるのがいいでしょう。深く刺す必要はなく、浅く単刺するだけでも効果があることがあります。これは副作用もなく、患者さんの負担も少ないので一度試してみるのがいいでしょう。しっかりと「どこが痛むのか」を確認し、指で押さえて圧痛があるところに刺激を与えるのがポイントです。

けがや手術の痕が大きい場合は、傷口のまわりを取り囲むように灸をしてやるのも効果的です。半米粒大の大きさのもぐさを1壮ずつ燃やしていくと痛みが軽減し、傷の治りが早くなります。また、けがや手術の痕が大きかったり、傷口に触れないような状態のときには、遠隔部に刺激を与えて痛みを取ることがあります。

例えば、胸部に傷口があり痛むときに、腕のツボを使うことがあります。「郄門(げきもん:前腕の内側で、肘から手首までの中間)」などに鍼をすると胸の痛みを取ることができます。この郄門は「手の闕陰心包経」という経絡に属しており、心包経の特徴として心臓のある胸の疾患によく使われるツボなのです。このように、鍼灸治療では体中を通っている経絡を上手に利用して、傷口から離れたツボで痛みを取ることも可能です。

そして、痛みの原因としてもう一つ「心理的要因で起こる痛み」というものもあります。これはペインクリニックではなかなか痛みを取ることが難しいといわれています。しかし、鍼灸治療ではこのような痛みも改善することが可能です。

心理的な要因が痛みの悪循環にかかわっているときには、体全体のバランスを取るような治療が必要になってきます。これは心理的な要因があるときは、不眠や肩のこり、食欲不振、便秘などさまざまな症状が体に現れています。痛みに対してだけでなくこれらの症状も一緒に治療していくことで、結果的には痛みを早く改善することにつながります。

これらの記事も参考にしてください。

また、鍼灸治療は体全体を診ながら治療するため、治療時間も長いことが多く、治療中には患者さんのつらい気持ちなどに耳を傾ける時間が医師などよりも長く取れることも、心理的な要因で起こっている痛みの改善につながっていると考えられます。少しでも心にたまっていることを吐き出すことができれば、それだけでも身体は楽になるものです。

このように、全身に鍼や灸を行うことで、体全体の血行も改善し、筋肉のこりや緊張もほぐすことができるため、多くの患者さんが痛みの悪循環から逃れることができています。

まとめ

以上のように、鍼灸治療は痛みの改善に対して非常に有効な治療法といえます。もっとペインクリニックと同時に治療を受けることができるようになれば、さらに多くの患者さんの助けになると思います。

また、鍼灸治療では痛み以外の症状も一緒に改善していくことができますので、ぜひとも受けてみてほしいと思います。



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