鍼灸治療におけるB型肝炎の感染予防について養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.12.14

鍼灸治療現場では

鍼灸治療では当たり前ですが、患者さんの体に鍼を刺します(刺さない鍼もあります)。鍼を刺すときごくまれに微量ですが出血する場合があります。このことからB型肝炎のような血液などを介して感染する危険性はないのかと心配される方もおられます。そこで今回は、B型肝炎と鍼灸治療の関係について考えていこうと思います。

鍼灸治療で使用する鍼

まず、感染症の話をする前に、鍼灸治療で使っている「鍼」とはどのようなものかを知っておきましょう。今まで治療を受けたことのない人は当然ですが、実際に鍼灸治療を受けたことがある人も鍼のことまでは詳しく知らないことが多いからです。

一般的に「針」と聞くと「注射針」のことをイメージするのではないでしょうか?しかし、注射針は鍼灸で使用する鍼とは全くの別物です。

注射針は血管に刺して血液を抜き取ったり、薬を血管に流し込むために使用します。そのため、針は筒状になっており中を液体が通れるようになっています。以前はこの注射針も使いまわしをして使用してたので、B型肝炎をはじめ多くの感染症を広げることになってしまった過去があります。

そのようなことから、注射針は一人の患者さんに使用したら別の患者さんには新しい針に交換して使用するようになり、今では注射針による医原性の感染症というのはほとんどありません。

少し話がそれましたので鍼灸で使う鍼について書きましょう。

鍼灸治療では体に鍼を刺して刺激を与え、その刺激により自然治癒力を高めることによって体を治療していきます。そのため、注射針のように鍼の中を液体が通る必要はないので筒状にはなっていません。

また、鍼灸で使う鍼は古代中国で開発され、それが日本にわたって独自の進化を遂げてきました。昔は金属の加工技術が未熟だったため、太い鍼しか作ることができず、刺したときに痛みが強いという欠点もありました。現在では中国鍼という長くて太い鍼が使用されているにすぎません。

しかし、このように痛い鍼というのは日本人には向いていませんでした。そのため、金属の加工技術が進歩すると同時に日本独自の鍼として細い鍼というのが開発されてきました。今では0.1mmという髪の毛よりも細い鍼が使われています。

ですが、ここで一つ問題が出てきます。太い鍼であればプスッと刺すことができるのですが、細い鍼では鍼が曲がってしまい、刺しにくいという欠点があったのです。特に日本では目の見えない視覚障碍者の鍼灸師もいたので、この問題はすぐにでも解決しなければなりませんでした。

この問題を解決したのは、江戸時代の「杉山和一」という鍼灸師です。彼はさまざまな努力によって、細い鍼を簡単に刺すことのできる「鍼管」というものを開発しました。

鍼管とは鍼が真っ直ぐに皮膚に刺入できるようにできる補助器具です。細い鍼を包み込むようにして、左右にぶれないようにすることで目をつぶっていても鍼を刺すことができるようになっています。

分かりやすく例えると、鉄砲の銃身でしょうか。弾が真っ直ぐに飛ぶように筒状のレールになっているのです。

この江戸時代に開発された「鍼管」と細い鍼を使用する方法は「鍼管法」といい、現在の鍼灸師が最も使用する鍼の使用法になっています。

鍼管法で鍼を皮膚に2mmほど刺すと、鍼管を取ってあとは指でやさしく鍼を体に送り込んでいきます。鍼で体に刺激を与えると、やさしく抜き取って再び鍼管に鍼を戻して別の部位にも刺していきます。

B型肝炎の感染予防

さて、長々と鍼の歴史についてまで書いてきましたが、現在の鍼灸治療では「鍼」と「鍼管」を使って体に鍼を刺していくことが分かったと思います。

B型肝炎の感染予防について書くには使用する道具について知っておいてもらわねばならなかったのです。

B型肝炎は血液を介して感染するため、鍼灸治療でも患者さんに使用した鍼は他の患者さんには使わずに処分する「ディスポーサブル鍼(使い捨て鍼)」を使用しています。しかし、鍼を新しくしても鍼管が汚れていたり、血がついていては意味がありません。そのため、鍼管は超音波で汚れを落としたあと、降圧滅菌器にかけて完全に菌を殺した状態(滅菌)で保存します。また、最近ではプラスチックの鍼管も登場し、鍼管までも使い捨てをすることができるようになっています。

鍼や鍼管は使用しない間はシャーレという受け皿に起きますが、このシャーレも患者さんごとに交換して、使用後には滅菌して保存しています(このシャーレにも使い捨てものもが登場しています)。

このほか、患者さんの治療をしたあと、他の患者さんを治療する前には必ず手洗いを行います。また、鍼を刺す前には患者さんの皮膚をアルコール綿花で消毒し、鍼を刺し終わった後ももう一度アルコール綿花で消毒するようになっています。

このように鍼灸治療では消毒や滅菌、使い捨てにより感染を防いでいます。また、患者さんの血がつく可能性のあるもの(鍼や綿花など)は医療廃棄物として、専門の業者に確実に処分してもらうように契約しています。

まとめ

時代とともに発展してきた鍼灸治療ですが、戦後以降では安全・安心な治療が第一であるという考えから、感染予防対策についても日々進歩しています。これらの方法が安全ガイドラインとして鍼灸師に伝えられ、きちんと安全対策がつられていますので、B型肝炎などの感染症が鍼灸治療によって起こることはありません。

鍼灸治療を受けたことがないという人も、ぜひ安全な治療法であるというのを知っていただけたらと思います。



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