閉塞性動脈硬化症と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.12.7

鍼灸治療では

少し歩いたら脚が痛くなり、立ち止まって休憩しないと歩けなくなってしまう「閉塞性動脈硬化症」という病気があります。この閉塞性動脈硬化症は進行すると潰瘍や壊死を起こすこともある病気です。そんな病気を持つ患者さんも鍼灸院に来院されることがあるので、今回は閉塞性動脈硬化症に対する鍼灸院の対応について考えてみようと思います。

閉塞性動脈硬化症を見逃さない

最初に少し閉塞性動脈硬化症について説明します。この病気は血管の弾力性がなくなる動脈硬化によって脚の血管が狭くなったり詰まったりして、血流が悪くなるために起こります。

人間の体は血液が全身に酸素と栄養を送ることによって活動していますので、脚の血流が悪くなることで少し歩いただけでも痛みが出るようになります。その際、少し立ち止まって休むことで、また歩けるようになりますが、また少し歩くと痛みが出て立ち止まります。このように何度も休憩しながら出ないと歩けない症状を「間欠性跛行」といいます。

さらに病気が進行すると、じっとしていても脚が痛むようになります。次第に「潰瘍」ができたり、さらには「壊死」を起こして脚を切断することになる場合もあります。特に壊死はほんの少しの傷があっという間に広がるため、すぐに対応する必要があります。

このため、鍼灸院に閉塞性動脈硬化症の患者さんが来院されたときは、すぐに血管外科や循環器内科に紹介状を書き、患者さんを送ることになります。特に間欠性跛行が出ているときは、患者さん自身は重大な病気と思っておらず、少し脚が痛いだけと考えて病院にかかっていないことが多いので、鍼灸院できちんと見つけて紹介することが大切になるのです。

閉塞性動脈硬化症を見つけるポイントは最初に現れてくる「間欠性跛行」です。これは閉塞性動脈硬化症に特徴的な症状といえるので、しっかりと問診を行い、どのくらい歩くと痛むのか、どんな姿勢で休むとまた歩けるようになるのかなどを詳しく聴いていきます。

この問診で閉塞性動脈硬化症が疑われるときは、脈診をします。閉塞性動脈硬化症は血管が詰まって起こるため、脚の脈などを診ると詰まっている側の血管では脈が感じにくくなっているのです。

実は間欠性跛行が起こるもう一つの病気として「脊柱管狭窄症」があります。この病気も間欠性跛行が起こるのですが、閉塞性動脈硬化症と違い、神経が圧迫されて起こっています。我々の体は、腰椎の中にある脊柱管を脊髄が通っており、その脊髄からいくつもの神経が出て、下肢のコントロールをしています。この脊柱管が狭くなって脊髄を圧迫していると脚に症状が現れ、間欠性跛行などが起こります。

しかし、同じ間欠性跛行でも閉塞性動脈硬化症と脊柱管狭窄症では違いがあります。閉塞性動脈硬化症では立ち止まって休むと歩けるようになりますが、脊柱管狭窄症では腰を前鏡にすると痛みが楽になり歩けるようになります。そのほか、自転車に乗って移動すると脊柱管狭窄症では楽なのですが、閉塞性動脈硬化症ではつらいなど、少しずつ異なるところがあります。問診ではこのような違いを確認してどちらの病気か判断します。

また注意が必要な点として、病院にかかってる人でも閉塞性動脈硬化症と知らないことがある場合があります。腰の痛みで整形外科などで注射をしていてよくならないから鍼灸院にきた患者さんが、閉塞性動脈硬化症であったということがあります。整形外科ではレントゲン写真で腰椎をとり、異常がないので筋肉の痛みとして注射を受けていたそうです。

血管外科や循環器内科などの病院以外ではあまり脚の脈を診ないこともあるので、見逃しているケースがたまにあるのです。鍼灸院では体に直接鍼や灸をするため、肌に直接触れる必要があり脈を診る習慣がついているので少しでも閉塞性動脈硬化症の疑いがあればすぐに脈を診るようにしています。整形外科に行っているから大丈夫というわけではなく、しっかりと問診などを行い閉塞性動脈硬化症を見逃さないようにしています。

鍼灸治療を行う場合

基本的に閉塞性動脈硬化症が進んでいる場合は病院で手術を行うことになります。血管が狭くなっていたり詰まっているために起こる病気ですので、手術によって血管を広げることで劇的に改善することもあります。

鍼灸治療では主に間歇性歩行だけしか症状が出ておらず、循環器内科などで生活改善と薬物療法を行っている場合に合わせて行うことがあります。当然患者さんは毎日歩くなどの運動も行ってもらう必要がります。

鍼灸治療は主に脚の血流を改善するように治療していきます。脚の筋肉にある硬結をターゲットに鍼をしてゆるめてやると血流が改善することが多いです。よく反応(硬結)が出ているツボとしては「足三里(あしさんり:膝の下3cm、脛骨の外1.5cm)」や「陽陵泉(ようりょうせん:足三里の外側、腓骨頭の内下方」、「承山(しょうざん:ふくらはぎの中央、一番盛り上がっているところ)」、「風市(ふうし:太ももの外側、膝の上15㎝)」などがあります。

これらのツボに鍼をするほか、灸をするのもいいと思います。灸は自宅でもすることができますので、やり方を説明し毎日行ってもらうようにしています。そのほか、鍼をしてその鍼の持ち手にもぐさを付けて温める灸をする「灸頭鍼」という方法を使うこともあります。

鍼灸治療を行っていると、今まで300mしか歩けなかった患者さんが500m歩けるようになったなど、続けて歩ける距離が伸びるようになってきます。問診などでは「鍼灸院まで休憩何回できたか」などと聞くこともあります。

また、そのほかにも閉塞性動脈硬化症では全身の治療を行うことも大切になります。動脈硬化は「脳梗塞」や「心筋梗塞」などを起こす危険性もありますので、それに対処するためにも全身を治療する必要があるのです。そのため、脚以外にも腕やおなか、肩や腰にも鍼をしていきます。よく使うツボには「合谷(ごうこく:手の甲で親指と人差し指の骨の付け根)」や「天柱(てんちゅう:後頚部で頚椎の外1.5cm、髪の生え際)」、「腎兪(じんゆ:第2腰椎の外1.5cm)」などがあります。

そのほか、その時々にある症状に対しても治療を行い、体が常にいい状態を保てるようにしていきます。そうすることで体が本来持つ自然治癒力を高めてやることができます。

まとめ

脚が痛いというと、すぐに神経痛かなと思ってしまう人も多いかと思います。確かに神経が関係していることも多々ありますが、血管が関係している病気である可能性もあります。もし、間欠性跛行などがあれば、念のためにも循環器内科などを受診するようにしておきましょう。



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