起立性低血圧と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.11.17

鍼灸治療では

急に立ち上がるとクラクラっと立ちくらみを起こしたり、めまいや頭痛、目の前が真っ暗になってしまうこともある「起立性低血圧」の患者さんは鍼灸院にもよく来られます。特にほかの病気で治療に来ている高齢者の人などは、のんでいる薬の影響で起立性低血圧を起こしている場合もあります。これらの症状が日常生活で気になる場合には鍼灸治療を行うこともあるので、今回は起立性低血圧の患者さんに対しての鍼灸治療について考えていこうと思います。

鍼灸治療によって起こる場合がある?

まず、治療内容について考える前に、鍼灸治療をした後に起立性低血圧が起こるケースというのもあるので、このことを説明しておきましょう。

どのようなことかというと、鍼灸治療が終わり、体を起こしたり立ち上がろうとしたときにクラっと立ちくらみが起こることがあります。といっても、鍼灸治療をすれば必ずなるのかというとそんなことはありません。よく起こるケースとしては、座って肩や首に鍼をしたあとに立とうとすると、めまいが起こります。これは、首や肩の刺激で一時的に脳への血流量が減少したためと考えられ、多くは10分ほどベッドで横になって休むことで元に戻ります。このように、鍼灸治療をしたあと、一過性に脳貧血になり、めまいなどが起こることがありますが、その場限りの症状ですので心配はありません。

しかし、できるだけ起立性低血圧の症状は出ないほうがいいので、鍼灸治療を行う際にはいくつかの注意点に気を付けて施術を行っています。これらの注意点を守っていれば、そのような症状が出ることを防げます。まずは、治療はベッドに仰向けやうつ伏せの状態で施術を行うようにします。座って頚肩を刺激すると起立性低血圧の症状が現れるような人も寝た状態で行えばほとんどでなくなります。また、座って頚肩に刺激する場合には、刺激量が多くなりすぎないように注意して行うことでも防げます。その他、頚肩に施術を行った場合には、腕や脚に対しても刺激を加えると血流の調整ができ、脳貧血の状態になるのを防ぐことができます。

また、治療前には血圧計を使って血圧を測っておくことも重要になります。普段の血圧と比べて数値に変化があれば、治療をする際には刺激量を減らすなどの対策ができます。治療後にめまいなどが起こった場合には、すぐに体を横にして血圧を測っておきます。そのとき、治療前の血圧と比較して起立性低血圧かどうか確認しておきます。

このように、鍼灸治療で起立性低血圧の症状が現れる場合もあるのですが、鍼灸院ではきちんと対策をしているのでそれほど心配される必要はありません。もし仮になったとしても、一時的なものですのでその後症状が続くようなこともありません。

血圧調節の働きをよくする

では、起立性低血圧をどのように治療するのかを考えてみましょう。起立性低血圧とは、つまり血圧調節がうまくいかない状態のことです。そのため、治療では血圧調節の働きがよくなるようなツボを使い治療していきます。血圧とは自律神経によって調節されていますので、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスがうまくいくようにしていきます。

まず、血圧を整えるためによく使うツボとして「人迎(じんげい:首にあり、のどぼとけの外1.5cm。脈が触れるところ)」がいいでしょう。この人迎に鍼をする方法は「洞刺(頚動脈刺鍼)」といい、血圧調節には欠かせないツボです。ここに鍼をすると一時的に血圧が下がるため、高血圧の治療にもよく用いられるところです。そのため、鍼をするときは仰向けになって慎重に行います。一時的に下がった血圧はその後正常に戻ろうとする力が働き、その効果として普段の血圧が安定してきます。

その他のツボとして、後頚部のツボを使うことが多いです。起立性低血圧はつまり脳貧血の状態で、脳への血流量が減ったことによって起こっています。脳への血液はほとんど後頚部にある血管を通っているのですが、後頚部の筋肉が凝っていると血流が妨げられ、起立性低血圧を起こしやすいのでここに鍼や灸をして筋肉を緩めていきます。使うツボは「天柱(てんちゅう)」や「風池(ふうち)」などを使い、肩の方でも「肩井(けんせい)」などのツボを使うことで治療していきます。先ほど書いたように、頚肩に刺激を与えると起立性低血圧を起こす可能性もありますので、まずはうつ伏せで治療していきます。一度うつ伏せで刺激を与えておくと、そのあと座って治療しても起立性低血圧を起こすことはあまりありません。この肩頚への鍼や灸は気持ちのいい響きが出るように治療するとよく改善します。

頚肩部へ刺激したあとは、腕のツボも使用すると治療効果が上がります。「合谷(ごうこく:手の甲、親指と人差し指の骨同士の間)」などは血圧調節の働きのあるツボでよく効きます。鍼や灸をしていきます。このツボは体全体の調整をしてくれる大変効果の高いツボなので、毎日せんねん灸をするのもよいでしょう。起立性低血圧だけでなく、頭痛や頭重などの症状にもよく効くので継続して治療していきましょう。

ほかにも「手三里(てさんり:肘のしわの外端から指3本分下に下がったところ)」もよく使います。ここは、頚肩部の凝りを良くほぐしてくれるツボです。ここに鍼や灸をしておくと、起立性低血圧の予防にもなります。

その他の症状も治療する

起立性低血圧の症状には立ちくらみ以外にもめまいや頭痛・頭重、脱力感、胃もたれ、吐き気などがでることがあります。血圧調節のツボを使うと同時にこれらの症状の治療をしていくと、起立性低血圧が起こりにくくなります。

めまいがある場合などについては、「めまいと鍼灸治療」で治療法について詳しく書いているので参考にしてみてください。

頭痛や頭重に対しては先ほど書いた「合谷」や、「百会(ひゃくえ:頭の頂上)」などがよいでしょう。脱力感などにも百会はよく効きます。鍼もいいですし、灸もいいと思います。灸は熱さを感じるまで何壮もすえると頭がすっきりとした感じになり、その場で脱力感が取れることもあります。頭痛に対する治療としてさらに詳しく「頭痛と鍼灸治療」でも説明していますので、こちらも参考にしてみてください。

胃もたれや吐き気などに対しては「足三里(あしさんり:膝の下3cm、脛骨の外1.5cm)」や「梁丘(りょうきゅう:膝蓋骨(膝の皿)の外側の角の上3cm)」がいいでしょう。このツボは「足の陽明胃経」という経絡にあるツボで、胃の疾患に対してよく効くことで知られています。ここも普段からせんねん灸を続けていると体の調子がよくなり、起立性低血圧を予防することができます。

まとめ

このように、鍼灸治療でも起立性低血圧の治療を行います。起立性低血圧は血圧調節の働きに問題があるのですが、体のコンディションによっても起こりやすさが違ってきます。定期的に鍼灸治療を受けていると、体全体の調子がよくなって起立性低血圧が起こりにくくなります。高齢者では立ちくらみや失神によってこけてしまい、けがや骨折をすることもありますので、治療を続けて起立性低血圧を防ぐようにしましょう。



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