腱板断裂と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.11.4

鍼灸治療では

肩の痛みが腱板の断裂のために出ている場合、多くは保存療法を行うことになります。肩にある腱板が裂けたり切れた時には、痛みを止めるために消炎鎮痛薬を処方されるのですが、この際、鍼灸治療を組み合わせると痛みがさらに軽減します。そこで今回は腱板断裂に対して鍼灸治療でどのように対応していくのかを考えてみようと思います。

腱板断裂について

腱板断裂に対して鍼灸治療は保存療法の一つとして行われます。その目的は、肩の痛みを抑えることにあります。

まず、腱板断裂について少し書いておきましょう。人間の体は骨によって支えられており、筋肉によって動かすことができます。筋肉とはゴムのように伸び縮みして骨を引っ張ることで、関節を動かしています。また、筋肉は骨の付着部ではほとんど伸び縮みしない「腱」がついています。

そして、肩関節にも筋肉がついており、上腕骨の先端(骨頭)と複数の筋肉は腱板によってつながっており、肩関節を支えています。また、肩は非常に複雑に動かかすことができますが、これは筋肉が伸び縮みするだけでは、実現できません。腱板が「かじ取り」の役目をしており、それによって肩や腕を自由自在に動かすことができるのです。

このように肩の構造は非常に複雑になっており、骨や筋肉、腱板のどれに障害が出ても痛みが現れ、日常生活に悪影響を与えるのです。当然、肩は毎日動かしているので、負担がかかり続けており、腱板がすり減ったり、裂け目ができることがあります。これが腱板断裂です。腱板断裂はゆっくりと進行した場合には、痛みがあまり起こりませんが、炎症が起こったり、転倒して手を突いたり肩を打撲したりして、急に断裂が起きたり、断裂が広がった場合には痛みを伴います。

負担がたまって起こる腱板断裂は高齢者に多く、高齢者は日常生活のなかで若い世代ほどは肩に負担がかからないことが多いため、痛みを緩和して肩の動きをよくする保存療法を行います。若い人でも、多くは保存療法を行い、日常生活が今まで通り送れるようにしていきます。そこで鍼灸治療も出番があります。肩の痛みを抑えて、動きやすくなるように治療をしていきます。

痛みを抑える

それでは、鍼灸治療で肩の痛みをどのように抑えるのか考えてみましょう。一番スタンダードになるのは、痛みのあるポイントに直接鍼をしていくことです。患者さんは痛みを何とか止めてほしいという思いから、「きつい鍼でもいいからやってくれ」といいますが、それほど刺激の強い鍼は行いません。あまり強い鍼をすると、肩に違和感が残ったり、痛みが強くなることもあるからです。また、弱い刺激でも痛みを良く抑えてくれます。

鍼をするというと、深くまで刺していくのかなと思う人もいるかもしれません。しかし、肩関節に鍼をするときは、皮膚に対して鍼を水平に入れていくことが多いです。これは体の浅い部分に鍼が入っているのですが、非常によく効きます。鍼を水平に入れると、刺激の量も少なくすみ、違和感などが残りにくいのもメリットです。肩関節にある三角筋や棘上筋などに鍼をしていきます。

また、炎症があると痛みが強く出やすいので、炎症を抑えるために灸をすることがあります。炎症というのは、体に熱感がある状態なので、そこに灸のような熱いものをしてもいいのかと思うかもしれません。しかし、灸というのは炎症を良く抑えてくれる効果があります。灸といっても、大きいもぐさを使用することはありません。よく「子供に灸をすえる」などといって大きな灸をするようなイメージがある人も多いのですが、実際の治療では米粒の半分くらいの大きさのもぐさを使います。半米粒大ならば一瞬で燃えつきるために、チカッと熱さを感じるくらいです。この灸を炎症のある部にすえると、通常よりも早く炎症が引いていき、それによって痛みも治まってきます。

動きをよくする

さて、痛みを抑える治療をしていきますが、同時に動きをよくするような治療もしていかなければなりません。腱板が裂けたり切れると、その腱板についている筋肉が使われないため、肩をうまく動かせないようになります。しかし、肩にはほかにもさまざまな筋肉や腱板がついているので、代わりの筋肉が切れた腱板の分までもカバーできれば動きがマシになります。逆に腱板が切れた状態では、他の筋肉にまで負担がかかっている状態ともいえます。これらの筋肉に対して鍼や灸をすることで筋肉の疲れを取り除いてやる必要があります。

肩の動きに関係のある筋肉には「三角筋」「棘上筋」「棘下筋」「僧帽筋」「肩甲挙筋」などがあります。それぞれ「肩髃(けんぐう)」「曲垣(きょくえん)」「天宗(てんそう)」「肩井(けんせい)」「肩外兪(けんがいゆ)」などのツボがあります。これらのツボは実際に患者さんの体を触診しながら、どのツボを使用するか決めていきます。筋肉の負担をとっていくことで、肩の動きもよくなり、生活の質(QOL)も上がります。

まとめ

鍼灸治療は疼痛コントロールに優れた治療法です。腱板断裂は痛みが強いこともありますが、鍼灸治療によって痛みを抑えれば、生活の上でも助かることと思います。最近の鍼灸治療のイメージは「肩こりや腰痛にするもの」と思っている方も多いのですが、腱板断裂に対しても治療できるということを知っておきましょう。



スポンサードリンク

サイト内検索

ブログランキング

アクセスカウンター

Copyright(c) 2011 養生灸のススメ All Rights Reserved.