子どもの耳の病気と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.10.21

鍼灸治療では

中耳炎や外耳炎などの耳の病気には鍼灸治療も効果があります。耳鼻咽喉科での治療と合わせて行うことで、通常よりも早く治癒に向かったり、長引いて悪化することや慢性化することを防ぐことも可能です。そこで今回は、耳の病気に対して鍼灸治療でどのように対処していくのかを考えてみようと思います。

子どもに対しての鍼灸治療

中耳炎などは、大人もなることがありますが、子どもの方がよくなることが知られています。子どもに鍼灸治療をすると聞くと、鍼灸治療の経験のない人は、太くて痛い針や、大きな灸を子どもにするのだろうかと考えてしまうかもしれません。しかし、子どもというのは、体への刺激に敏感に反応するため、大人よりも弱い刺激量の治療でもよく治ります。また、一口に子どもといっても乳幼児と小学生などでは全く違うので、実際に体を診ながら刺激量を調節していくことになります。

子どもの体の特徴というのは、まず第1に「シンプル」ということが言えます。体は成長するにつれて機能が分化し、複雑になっていきます。これは鍼灸治療を行うときにも頭に入れておかなければなりません。

体が成長した大人などでは、鍼灸治療を行うときには「ツボ」という体の要所(ポイント)を狙って鍼をしたり、灸をしたりします。まだ分化が進んでいない子どもでは、ツボのようなポイントではなく、もっと大きな「面」として体をとらえていきます。背中やおなか、腕などを面として観察し、反応のあるところを広い範囲で刺激を加えていきます。体に刺激を与えるときも、大人と同じようなことをするのではなく、ごく浅い鍼(0.1~1mm)を刺したり、ごま粒大の灸をしたり、体をなでるような小児鍼をするなど、ごく軽い刺激を与えていきます。その他にも、銀粒という小さい粒を付けるだけでも効果があります。

乳幼児には、触るか触らないか分からないくらいの軽い刺激をしたり、発育の良い小学生くらいの子供には、ツボを狙いつつ、軽めの刺激で治療したりと調節しながら行いますが、多くの子供は鍼灸治療を怖がることなく、喜んで受けています。

耳の症状を改善する

鍼灸治療では、中耳炎でも外耳炎でも、まず耳の症状を抑えてくれるツボを使用することが多いです。耳の症状を訴える患者さんが来院された場合、これらのツボを触ってみて反応のあるところに治療をしていきます。これらは面白いことに、耳から離れたところにあるツボが耳の症状によく効くので紹介しておきましょう。上でも書いたように、子どもの場合はツボの厳密な位置にはこだわらず、おおよそでその辺りと考え、そのエリア(面)を刺激することになります。

まず、耳の痛みや耳だれなど、耳の症状全般によく効くツボとして、「然谷(ねんこく:土踏まずで、足の骨の下を押し、圧痛が強いところ)」があります。耳の症状があるときは、土踏まずを押さえて、こたえるところを探してみましょう。この押さえてこたえるところを、押している間、耳の症状が少しでもマシになるようなら、このツボは効果がある可能性があります。治療は灸をする方がよく効きます。半米粒大の灸を7壮ほどすえましょう。ここは、少し敏感なところで熱さを感じやすいので、もぐさを点火すると同時に、灸のまわりを指でグッと押さえると、熱さがマシになります。自宅で続けてやるのなら、せんねん灸をするのもいいかもしれません。また、小さな子どもで灸の熱さが我慢できないという場合には、銀粒を貼って、銀粒の上から線香を一瞬当てると、灸の代用ができます。一瞬チカッと感じるくらいで、小さな子どもでも行うことができます。治療は1~2週間続けてみましょう。

また、この然谷にあまり圧痛がなかったり、効果が今一つの場合には、「照海(しょうかい:内くるぶしの下)」なども使ってみるのもいいでしょう。ここも灸をするのがいいと思います。家庭ではローラー鍼がやりやすいので、内くるぶし(足首)から下をコロコロとさすってやるだけでも効果があります。

このように、耳の症状に足のツボを使うところに鍼灸治療の面白さがあります。さらに足だけでなく、腕の方にも、耳の症状に効くツボがあるので紹介しておきましょう。先ほども出てきた、照海と同じ読み方で「少海(しょうかい:肘を曲げたときにできるシワの内端)」というツボがあり、このツボも耳の症状によく効きます。鍼や灸のどちらもよく効きます。ツボのなかには場所が違っても読み方が同じツボは、似たような効能が現れるのも鍼灸治療の面白さといえるでしょう。

また、肘のしわの外端にある「曲池(きょくち)」というツボも耳の症状をよくとってくれます。ローラー鍼などをする場合には、肘から手のほうまでを、コロコロとさすってやるといいでしょう。

体の症状をとる

中耳炎に多い症状として、発熱があります。鍼灸治療ではこれも治療対象にしていきます。発熱に効くツボは「合谷(ごうこく:手の甲で、親指と人差し指の骨の付け根の間)」がいいでしょう。子どもの場合は鍼をポンとさすだけでもよく効きます。少し熱が高いようならば、人差し指の爪の横から瀉血することもあります。ほんの少し指先から血を出すだけでも熱がスッと下がることがあります。

また、中耳炎の原因にもなる風邪を治療することで、中耳炎を防ぐこともできます。風邪のひきはじめに素早く治療をするとすぐに治っていいのですが、元々子どもは風邪になりやすいので予防的に治療をしておいた方がいいでしょう。風邪に特に効果があるのは「身柱(しんちゅう:第3胸椎の下)」への灸です。ごま粒大の灸を1~3壮するといいでしょう。

そのほか、以前よく行われていたのは、月の初めの3日間小児鍼を受けるというものです。かつては、子どもが病気であろうと元気であろうと月の初めに小児鍼をすることで体を丈夫にして風邪を防いでいました。こうすることで風邪や中耳炎だけでなく、さまざまな病気を未然に防ぐことができるのでおすすめです。小児鍼自体の治療時間も5分程度なので、非常に受けやすいと思います。大阪では祖母が鍼灸院に孫を連れて小児鍼を受けさせていたのですが、近年は核家族が増えてそのような光景が減っています。しかし、核家族の人こそ小児鍼をしておいた方が、メリットが大きいと思います。

まとめ

子どもの耳の病気というのは、まず第一に「親が気づく」ことが重要になります。しかし、普段から鍼灸院などで継続して治療を受けていれば、鍼灸師など親以外の人が子どもの異常に気付くことができるというのも大きなメリットになります。普段から体調管理に小児鍼を受けることを考えてみてはどうでしょうか。



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