頭痛と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.10.2

鍼灸治療では

慢性頭痛に苦しんでいる人は、日本で約3000万人を超すといわれており、当然鍼灸治療を受けに来られる方もいます。また、普段から鍼灸院に来院されている患者さんが「今日は頭が痛い」ということもあります。そのようなときに鍼灸治療ではどのように対応しているのかを考えてみようと思います。

危険な頭痛を見つける

まず、鍼灸で頭痛の治療を始める前に、その頭痛は危険な頭痛ではないかを考えなければなりません。もし危険な頭痛であれば、速やかに病院を紹介して受診してもらう必要があります。

危険な頭痛とは脳や血管などの異変によって起こる頭痛です。「くも膜下出血」や「脳梗塞」「髄膜炎」「慢性硬膜下血腫」などがその代表的なものです。これらは特に次のような症状が現れることがあります。

・今までにない激しい痛みが突然起こる
・数週間~数か月間かけて、徐々に痛みがひどくなる
・麻痺、しびれ、けいれん、意識障害を伴う
・全身症状があるう(高熱、項部硬直、発疹)
・もの忘れがあったり、話のつじつまが合わない

このような症状がないかどうかチェックして、命にかかわるような重篤な頭痛ではないかをまず判断したうえで、鍼灸治療を開始していきます。

頭痛に対しての治療

では、頭痛が危険な病気によって起こっていないと確認したら、頭痛に対して治療をしていきます。慢性頭痛には「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」とタイプが分かれます。しかし、実際の臨床現場では、「この頭痛はこのタイプ」とはっきりわかることはむしろ少なく、多くは緊張型頭痛と片頭痛が合併して起こっています。そのため、鍼灸治療ではタイプによって治療法を変えるというよりは、その時にある体の反応を観察し、異常な反応があればそれを目安に治療していきます。

痛む部位に刺激する

まず、一番重要な反応というのは頭のどこが痛んでいるのかということです。「頭痛」といっても、頭の前の方(前頭部)が痛んだり、頭の上(頭頂部)や横(側頭部)、後ろ(後頭部)が痛むことがあります。さらに、前頭部といっても、右側のここからこの辺が痛いと痛む場所がはっきりと分かる場合や、この辺りがどことなく痛いという痛む場所がはっきりと分からない場合などもあります。このように、治療を始める前に詳しく患者さんに痛む部位を聴いていきます。このとき合わせて、痛みの強さの程度や、どのように痛むか(ギュー、ズキズキ)なども確認していきます。

治療の基本は、この痛む部位に直接アプローチすることです。鍼灸治療を受けたことがない人は、「頭に鍼をしたら危なくないの?」と心配になる人もいますが、大丈夫です。頭は人間の体の中でも重要な場所ですので、頭蓋骨が頭全体をガードしているので、鍼が奥に入るようなことはなく安全です。また、頭への鍼は皮膚の下にすぐ頭蓋骨があるため、骨に沿わすように鍼を横や斜めにさしていくことが多いです。灸もよく使いますが、額など目立つところには、灸点紙という紙を貼ってその上からすえることもあります。こうすることで、皮膚に灸痕をつけることなく、灸をすえることができます。

頭のツボを使用する

痛む部位とかぶる部分もありますが、頭には多数のツボがあり、その中でも特に頭痛を抑える働きが強いものもあるので、それらのツボに鍼や灸をすることも多いです。これらのツボを使うときには、まずツボを指で真っ直ぐ押さえて実際に痛みが抑えられるか試してみるといいでしょう。指でツボを押させると効果があると確かめられたところに鍼や灸をすると非常に高い効果があります。よく使うツボには「百会(ひゃくえ:頭の頂上)」や「顖会(しんえ:百会の前1.5cm)」「承光(しょうこう:百会の横1cm)」「瞳子髎(どうしりょう:目尻の後ろ1cm)」「角孫(かくそん:耳の上1cm)」「瘂門(あもん:後頭部で髪の生え際)」などがあります。これらのツボをそのときに押さえて反応をみながら使用していきます。

頚肩部のこり

頭痛を起こすときには頚肩部残りや筋肉に緊張が関係しています。このこりや緊張を解消すると頭痛が改善されることも多いです。また、関連痛といって頭の痛みが頚肩部のトリガーポイントによって引き起こされている場合もありますので注意が必要です。

トリガーポイントや関連痛とは何かを簡単に書いておきましょう。トリガーポイントは痛みなどの「トリガー=引き金」になっているポイント(圧痛点)のことです。頭痛ならば、側頭部の痛みが胸鎖乳突筋によって起こされていることもあるのです。そしてこのトリガーポイントによって痛みが引き起こされている場合、このトリガーポイントを押さえることによって痛みが再現されます。このように押さえた場所と違う部位に痛みが現れることを「関連痛」といいます。

もし頭の痛みが頚肩部のトリガーポイントによって起こっているのなら、その部分に鍼をすることで頭痛が解消されます。どの筋肉にトリガーポイントが形成されるとどこに関連痛が起こるというのが最近の研究によって大まかにわかってきていますので、それらを参考にしながら実際に圧痛などを調べて治療していきます。

それ以外にも頚肩部のこりや緊張をとるのは、血流を改善させることで頭痛を取り除く働きがあります。よく使うツボとしては「天柱(てんちゅう:瘂門の外1.5cm)」や「肩井(けんせい:頚椎と肩関節の中間)」「天宗(てんそう:肩甲骨の真ん中)」などが効果的です。これらのツボは普段の健康管理にも使用する効果の高いツボですので、頭痛がなくとも自宅でせんねん灸などを続けるといいでしょう。

痛みの悪循環を断ち切る

頭痛などの痛みが強い病気は、とにかく一度痛みをとってやるというのが大切です。痛みがあると日常生活でも常に気になり、ストレスがたまります。するとそこの筋肉などが緊張してしまい血管が圧迫され血流が悪くなってしまいます。血流が悪くなると痛みの物質がうまく処理できず、さらに痛みが増してしまいます。そうして痛みが強くなることでさらにストレスがたまり筋肉が緊張するという悪循環に陥ってしまいます。

このような悪循環に陥っているときには、どこかで悪循環を断ち切らなければなりません。例えばストレスがこれ以上かからなくしたり、筋肉の緊張をとったり、血流を改善したりすると一時的にでも痛みがマシになります。このマシになるというのが大切で、一度でもマシになると体が悪循環から脱出するきっかけになります。鍼灸治療をすると一時的にでも痛みが改善できますので、治療後に痛みが繰り返すようでも続けて治療することで次第に悪循環から逃れることができ、頭痛が起こらない体になってきます。

頭痛の誘因に対処する

また、頭痛は日常生活の行動によって、良くなったり悪くなったりします。日常生活のなかでストレスを感じたり、疲労がたまった時に頭痛が起こりやすい時には疲れたときに鍼灸治療を受けることによって、頭痛を防いだり、軽い状態で治すことができます。ほかにも顎関節に異常があると頭痛が誘発されることもあるので、頭痛の治療と合わせて顎関節も治療していくことがあります。そのほか睡眠の状態によっても頭痛が引き起こされることもあるので、鍼灸治療では睡眠状態に対しても治療を加えていきます。

これらの誘因というのは、患者さんによってさまざまです。そのため、頭痛を治療する際にはどのようなときに頭痛を起こしやすいのか、また、どうしたときは頭痛がマシになりやすいのかを詳しく聴きながら治療をしていきます。

ほかにも、一見頭痛とは関係がないようなことに関しても一緒に治療したほうがよいでしょう。体の調子が良ければ少々ストレスがたまったり、睡眠不足になっても頭痛が起こりにくいからです。腰や膝の痛みや、食欲や便通など体全体の調子を整えることで頭痛を起こしにくい体にしていきます。



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