骨粗しょう症と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.8.24

鍼灸院でよくみる骨粗しょう症

これまで骨粗しょう症について勉強してきました。骨粗しょう症は骨がもろくなってちょっとしたことで骨折してしまいます。これは高齢者の場合、特に注意しなければならないでしょう。鍼灸院に来院される患者さんは、高齢者の女性が比較的多い傾向があるので、骨粗しょう症はよくみる病気です。そこで今回は鍼灸治療でどのように骨粗しょう症の患者さんを診ていくのかを考えていこうと思います。

生活の質(QOL)を上げる

骨粗しょう症の治療には、骨量と骨質が関係してきます。特に骨量は普段の生活との大きく関わっており、運動が不足すると骨量が減ってしまい骨折しやすくなってしまいます。

高齢者の場合は運動といっても、スポーツをするというより、買い物に行ったり家事をしたりして体を動かすことが大切です。もし何かの事情で買い物や家事をしなくなり、体を動かす機会が減ってしまうと運動不足になってしまい、それにより骨量が減ってしまいます。そして、骨量が減ってしまうと骨折しやすくなり、足などを骨折するとさらに体を動かす機会が減るという悪循環に陥ってしまいます。

鍼灸治療ではこのツボに鍼や灸をすると骨量が増えるということはありません。そこで上記のような体を動かせなくなる機会を減らしてやることによって、骨粗しょう症を防いでいきます。

では、体を動かす機会が減るようなことというのはどのようなことがあるでしょうか。簡単にいうと「体がしんどい」ときです。例えば風邪をひき、それが何日か続いた場合、体がしんどくて寝ていることが増えてしまいます。若い人ならば数日寝込んだとしても風邪がよくなれば動き出すのですが、高齢者の場合は数日動いていないだけでも筋力が衰えてしまいます。そうすると買い物も行く回数が減ったり、出かけなくなったりしてしまい、さらに筋力が落ちてしまいます。こうなると風邪をひく前よりも運動量が減ってしまい、そのせいで骨量も減り骨粗しょう症が進行します。

風邪のほかにもいろいろなことが、骨粗しょう症を進行させる原因となります。例えば、膝の痛みや腰の痛みがあれば、痛みのために運動量が減ってしまい、骨粗しょう症が進んでしまいます。さらに原因としてあげられるものに「脳梗塞」「パーキンソン病」「認知症」があります。これらの病気は運動不足もそうですが、転倒を起こしやすいという特徴があり、骨折を引き起こしてしまいます。

このように骨粗しょう症には実にさまざまな病気が関係しています。そのため、薬物療法や運動療法に合わせて鍼灸治療では、日々の生活で起こるさまざまな病気や症状を取り除くことによって、骨粗しょう症を防ぎます。風邪には「身柱(しんちゅう:左右の肩甲骨の中間で、背骨の上)」に灸をするとよく効きます。またこの身柱は普段から灸をしていると風邪の予防にもなります。膝や腰の痛みにはそれぞれ「曲泉(きょくせん:膝のしわの内端)」や「腎兪(じんゆ:背骨の横2cm、腎臓の裏)」が効果的です。他にも認知症への鍼灸治療も行います。

在宅ケアの必要性

以上のように鍼灸治療でも骨粗しょう症に対して治療を行っていくのですが、それでも骨折するときには本当に簡単に骨折してしまいます。患者さんのなかにはくしゃみをしただけで背骨を骨折した方もおられるくらい、骨がもろくなっているのです。もし、背骨ではなく足の骨を骨折すると、今までのように鍼灸院に治療を受けにくるというのは難しいでしょう。もちろん、足の骨が治ってから治療を受けにくることもありますが、やはり筋力が落ち、運動不足の状態になっています。

そこで、骨折して治療を受けに行くのが困難になった時に、鍼灸師が患者さんの自宅まで在宅ケアに行ける体制をとっておくことが望ましいでしょう。そうすることで骨折の痛みを和らげ、日々の体調も整えて1日も早く動くことのできる体になるように治療することができ、運動法についても積極的にアドバイスできます。

「在宅ケアは往診と違うの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません(正確には鍼灸の場合往診ではなく往療といいます)。往診では単に骨折して痛いところを治療するだけを意味しますが、在宅ケアの場合は患者さんの体だけでなく周りの環境も把握し治療していくことになります。先ほどの運動法について患者さんが続けていきやすい方法を一緒に考えて決めていったり、イスやベッド、手すりなど体の負担を減らす方法についても話し合うこともあります。このように病気の治療だけでなく、患者さんの生活全体を見ていくことによって、生活の質を向上させていきます。

まとめ

鍼灸治療では直接的に骨量を増やすことはできません。そのため、骨粗しょう症を治療するというよりも、骨粗しょう症を持つ患者さんを快適な生活が送れるかを考えて治療していきます。また、骨粗しょう症というのは患者さんが一生付き合っていく病気です。そのため鍼灸師も一生付き合っていくつもりで治療していくことが大切でしょう。最近は少しずつですが在宅ケアを取り入れる鍼灸院も増えてきています。患者さんもそのような鍼灸院を積極的に利用していくのがよいでしょう。



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