腸閉塞と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.8.10

鍼灸治療で腸を助ける

腸閉塞についていろいろと勉強してきました。腸閉塞は場合によっては命にもかかわる病気ですので腹痛などには十分注意しておかなければなりません。鍼灸院でも腹痛を訴える患者さんもいらっしゃいますが、しっかりと問診や腹診をして危険性が高い時には病院に送らなければなりません。では、鍼灸院では腸閉塞に対して何も治療はしないのかというとそうでもありません。腸閉塞の一番の原因は手術による癒着ですが、患者さんのなかには手術によっておなかを切っている人はたくさんいます。そのような人たちは腸閉塞が起こる可能性もあるので、予防として治療していきます。また腸閉塞の治療を病院で受けている人なども、鍼灸治療によって重篤化させないようにしていきます。

腸の働きを整える

まずは、腸閉塞の原因にどのようなものがあったか思い出してみましょう。手術後の癒着のほかにも大腸がんがありました。ほかには腸捻転や腸の働きの低下、血流障害や動脈硬化、胃や十二指腸の潰瘍、虫垂炎などが原因で起こることもあります。そのため腸閉塞の症状である激しい腹痛に吐き気やおう吐があるときには病院を受診して、他にも病気がないか確認しておくことが大切でしょう。鍼灸治療を行うときは腹診といって、おなかを触って体の様子を見ます。いつもよりもガスがたまっているとか、あるいは圧痛や筋性防御などがあればすぐにわかりますので、「何かおかしい」と判断したら医療機関を受診するように指導しています。

さて、医療機関を受診してすぐに入院するほど進行していない場合は、鍼灸治療も合わせて腸閉塞を治療していきます。治療の際には腸の働きを整えるようなツボなどを使用していきます。

子どもの頃の手術後の癒着が年を取ってから腸閉塞になるということは、癒着によって腸の内容物が通過しにくくなっているところに、加齢で腸の働きが低下してさらに腸が詰まってしまうから起こるのです。つまり腸に癒着があっても腸の働きがしっかりしていれば腸閉塞は起こりにくくなるのです。

腸を良くするツボで効果が高いのはやはりおなかにあるツボでしょう。鍼をするのもいいですし、灸で温めるのも非常に効果的です。どのツボを使うかはおなかを触って判断していきます。圧痛があったり、そこだけ冷えていたりと、他の場所とは少し反応が違うなというところがあるので、基本的にはそこを使用します。多くはおへその下2cmの「関元(かんげん)」や、その関元の外1.5cmの「大巨(だいこ)」などによく反応が出ていることがあります。自宅でも治療するならせんねん灸を使って温めてやると、腸の働きがよくなります。できれば毎日続けるほうが効果は出やすいでしょう。

また、おへそもツボの一つで腸の働きが低下しているときに使うとよく効きます。おへそには鍼を刺せないので灸をするのが一般的です。変わったやり方ではおへその上に紙を置き、その上からおへその穴を埋めるくらいの塩を置き、さらにその上にもぐさを置いてお灸をしていく「塩灸」というのがあります。皮膚の上に直接お灸するわけではないので火傷にはなりません。もぐさが燃えていくとどんどん温かくなってきますので、それが熱いと感じたら下の紙ごと塩ともぐさをとってしまいます。これは便秘にも非常に効果的です。

そのほか、腸の働きを良くするツボで手のツボを使うこともあります。手にはツボの流れである経絡として「手の陽明大腸経」があります。文字通りこの大腸経も腸の働きを良くしてくれます。大腸経は手の人差し指から始まり、どんどん前腕、上腕と上がっていき最後は首から口のところまで続いています。大腸経でよく腸に効果があるのは「曲池(きょくち:肘のしわの外端)」や「手三里(てさんり:曲池の下2cm)」などがあります。鍼も灸もよく効きます。

そのほか手で腸の働きに効果のあるツボとして「神門(しんもん:手首のしわの外側)」も使うことがあります。このツボは効く人にはものすごく効果が出るので、腸の働きが低下している場合は一度使ってみることをお勧めします。

胃や十二指腸の働きを高める

腸は食べたものを吸収して、残りかすを便として出しています。その働きがうまくいっていない時には、腸だけでなく胃や十二指腸に対しても治療していきます。なぜかというと、胃や十二指腸は主に消化の働きに関係しており、消化がうまくいくほど腸で吸収しやすくなり、結果的に腸の負担が減るからです。

胃や十二指腸の働きに効果的なツボは、まずおなかの「中脘(ちゅうかん:みぞおちとおへその中間)」があります。その他に、「足三里(あしさんり:膝の下3cmで足の脛の外1.5㎝のところ)」も効果があります。また、お尻にも消化の働きを高めるツボがあります。これらのツボを使って腸の負担を少しでも軽くしていきます。

他の病気も合わせて治療する

腸閉塞は他の病気によっても起こります。動脈硬化が原因となって腸閉塞が起こることもありますが、この動脈硬化は高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって引き起こされます。そのため、腸閉塞の治療としてもこれらの生活習慣病も一緒に治療することが大切になってきます。

糖尿病の鍼灸治療では、腕や足のパルス通電などがよく効きます。また、鍼や灸以外でも生活習慣病には肥満が関係していることもあるので、ダイエットについて指導することもあります。ほかにも規則正しい生活をすることも生活習慣病の治療には大切なので、例えば不眠などがあればそれも合わせて治療していきます。

まとめ

このように単に腸閉塞の治療といっても、他の病気や症状、生活習慣がかかわっています。鍼灸治療では体全体をみて、全体のバランスをしっかり整えることによって腸閉塞を治療し、また腸閉塞が起こらないように予防していきます。そのため数回治療をすれば終わるというものではなく、日頃から鍼灸治療をして体の調子を良くしておくことが大切になってきます。



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