胃がんと鍼灸治療養生灸のススメ

category : 鍼灸治療 2011.7.9

鍼灸治療では

胃がんについていろいろと勉強してきたので、今回は胃がんの患者さんを鍼灸治療ではどのように診ていくのか考えていきましょう。

一口に胃がんといっても、その時の状態で鍼灸治療が対応できることも変わってきますので、まずは今患者さんがどのような状態であるのか詳しく聞かなければなりません。

  • いつから胃がんがあるのか。
  • 今の胃がんの進行度(ステージ)はどのくらいか。
  • 胃がんの症状はどのようなものがあり困っているのか。
  • 今は病院でどのような治療をしているのか。
  • 薬の副作用で困っていないか。
  • 病院では今後のこと(予後や治療方針)についてどのように考えているのか。
  • 胃がんの症状以外で何か困っている症状はあるのか。
  • 症状とは別に生活の上で困っていることはあるか。
  • 精神的・心理的な悩みはないか。

このようにざっと思いつくだけでも聞いておくべきことはたくさんあります。これらのことをしっかりと聞いて患者さんが困っていることを少しでも取り除いていきます。鍼灸治療は決して「このツボに鍼や灸をすればがんが治る」という治療ではなく、患者さんの全身の状態を整えていくことで治療していきます。

鍼灸治療の目的

胃がんの患者さんを鍼灸で治療するときの主な目的は、「体調を整えて体力をつける」ことになります。

胃がんの治療で行う手術、化学療法は体力がないと行えず、また治療効果も思うように上がらないことが多いです。そのためにも鍼灸治療で体力をつけ自然治癒力を高めることで、他の治療の効果も上がりますし、日常生活を快適に過ごせるようにしていきます。体力をつけるためには快眠・快便・快食になるような治療が基本となります。

胃に影響のあるツボ

東洋医学では体の中にある臓腑に何らかの異常があると、その影響で体表に反応が出てくると考えます。その反応の出たところがいわゆる「ツボ」であり、このツボに鍼や灸で刺激を与えることによって、臓腑の異常を治して健康を取り戻します。

胃がんもまた臓腑の中の「胃」の機能を低下させてしまうので、体表部へ反応が出てきます。胃に関係するツボをいくつか紹介していきましょう。

中脘…おなかにあり、おへそとみぞおちの中間にあります。さまざまな胃の疾患でよく反応が現れます。

足三里…足のむこうずねを下からさすりあげると指が止まるところから、足の外側に1.5㎝離れたところ。胃の働きを調整し、昔から長寿の灸としてよく使われます。

胃の六つ灸…背骨の外側にそれぞれ1.5㎝離れた縦のラインで、肩甲間部から腰までの間で指で押さえるとこたえるところです。ちょうど胃の裏側から少し上になるところで、よく反応が出ます。

後遺症・副作用にも対応

胃がんでは手術の後の後遺症や、化学療法での抗がん剤の副作用に悩まされる方も多いです。これらを抑えるためにさらに薬を飲みますが、鍼灸治療によって症状が少しでも改善すれば薬の量を抑えることができ、日常生活がすごしやすくなります。

ダンピング症候群で出る症状の動悸や吐き気、めまいなどは、後頚部から肩甲間部を治療することでマシになります。抗がん剤の副作用である吐き気や食欲不振、だるさも治療するとマシになりますし、口内炎などでも「合谷(手の甲で親指と人差し指の付け根の間)」に灸するとよく効きます。

手術痕にも注目

胃がんで手術をした場合、腹部を切ることになり、それが手術痕となってしまいます。最近は腹腔鏡手術も進歩し、傷を小さくできるようになりましたが、それでもやはり5㎝は切ることになります。意外とこの手術痕がやっかいになることがあります。

胃がんの手術後に治療していて、肩や首、腕、腰の痛みがどうもよくならないことがあります。あの手この手で治療しても治らなかった痛みが、腹部にある手術痕に鍼や灸をすると消えてしまうことがあります。腹部を切って縫合するため体に歪みが出て、そのせいで腹部とは関係のない離れたところに痛みが出てしまうのです。あまり西洋医学では治療の痕に治療をするという考えがないので、放置されてしまうこともありますが、よくならない痛みがあるとき手術痕に注目してみるのもいいでしょう。

まとめ

これまで胃がんについていろいろと勉強してきましたが、改めてがんは難しい病気だということがよく分かります。しかし、早期に発見できれば治る確率も上がってきています。気になることがあれば病院に行くこと、1年に1回は健康診断を受けることが大切です。

しかし、他に転移しているなど、進んだ状態で見つかることもあるでしょう。その場合でもあきらめずに治療を受けることが大切です。最近はがんサロンなども増え、がんの患者さん同士が話をすることでいろいろな角度から自分を見つめなおす機会にもなりますので、積極的に参加してみましょう。また、がんを告知されること自体が大きなストレスにもなるので、病院以外で治療について話すことができる鍼灸院という存在自体が患者さんの助けにもなると思います。



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