関節の痛みなどの症状に対する漢方治療養生灸のススメ

category : 西洋医学 2012.2.20

関節の痛み

日々の生活のなかで痛みはよく経験する症状です。その中でも、関節に起こる痛みに悩んでいる人は大勢いらっしゃいます。関節に痛みが起こった場合は、動かすことがつらくなり、生活の質も低下してしまうことが多いからです。このような関節の痛みを漢方薬を使って治療していくこともあるので、今回は漢方医学での考え方を勉強していこうと思います。

厚生労働省の行った国民生活基礎調査によると、65歳以上の人が訴える症状の上位3つは、「腰痛」「手足の関節の痛み」「肩こり」で、高齢者の多くが「関節の痛み」に悩んでいることが分かります。

関節の痛みに対しては、古くから症状を和らげる治療法として漢方薬が用いられ手織り、西洋医学による診断を考慮しながら、漢方医学独特の診断法に基づいて、治療が行われます。

関節の痛みの原因

関節が痛む原因の1つに、関節の「炎症」があります。例えば、膝関節の場合、加齢などにより、膝関節の軟骨がすり減ってくると、その影響で膝関節に炎症が生じ、動き始めなどに膝が痛むようになります。さらに炎症が進むと、関節を滑らかに動かすなどの役割をしている「関節液」が増えて、膝関節の中にたまるようになり、階段の上り下りのときなどにも、痛みを感じるようになります。

このような関節の痛みを、漢方医学では「血」のめぐりが悪い「瘀血」が起こっているとします。瘀血によって、炎症が生じ腫れえて痛むと考えるのです。また、「水」の流れが停滞する「水滞」が起こって炎症が激しくなり、関節液がたまる(水腫)とも考えます。

ただし、関節の痛みは、骨の変形や神経の障害などで引き起こされる場合もあります。このような場合は、整形外科での対処が必要となります。

膝の痛みに対する処方

高齢者の場合、関節の痛みを最も招きやすいのが、年齢とともに関節が変化して起こる「変形性関節症」です。特に膝に起こる「変形性膝関節症」が多く、次のような処方が行われます。

●水滞を治す場合の処方

炎症により膝関節に腫れがあり、関節液がたまっている場合の処方です。関節が熱をもっているような場合には「越婢加朮湯(えっぴかじゅっとう)」を、関節液の増加と膝関節の腫れが主な症状の場合には「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」を用います。

また、関節が冷えると痛むような場合は、「桂枝加朮附湯(けいしかじゅっぷとう)」を用います。

●瘀血を治す場合の処方

炎症により膝関節が赤く腫れているような場合には、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を用います。桂枝茯苓丸と前述した水滞に対処する漢方薬のいずれかを併用し、膝の症状を和らげることもあります。

●西洋薬との併用による効果

防已黄耆湯の変形性膝関節症に対する効果を調べた臨床試験があります。水腫が起こっている変形性膝関節症の患者さんを、西洋医学でいわゆる痛み止めとして処方される「非ステロイド系消炎鎮痛薬」を服用するグループ、防已黄耆湯を服用するグループ、非ステロイド系消炎鎮痛薬と防已黄耆湯を併用するグループに分けて、服用開始から8週間の症状の改善度を比較したものです。

それぞれの薬を単独で使用した場合も、腫れ、熱感に対してある程度の改善効果がみられました。一方、防已黄耆湯と非ステロイド系消炎鎮痛薬を併用すると、腫れの症状では約75.0%、熱感に対しては約57.2%の人で症状の改善がみられました。つまり、単独で使用するよりも、防已黄耆湯と非ステロイド系消炎鎮痛薬を併用したほうが、治療効果が増すことが明らかになったのです。

肩こり、腰痛に対する処方

ついでに肩こりや腰痛についても述べておきましょう。

肩こりや腰痛に対しても、膝と同様、腫れや熱感、冷えて痛むなどの症状がある場合には、水滞や血を改善するために、越婢加朮湯、防已黄耆湯、桂枝茯苓丸などを用います。一方、肩や腰に特有の症状があるときには、症状に応じて次のような漢方薬が処方されることがあります。

●肩こりの場合の処方

首がこわばる場合には、「葛根湯(かっこんとう)」が用いられます。肩や腕が上がらない「五十肩」のような症状がある場合には、「二朮湯(にじゅっとう)」が選択されます。

●腰痛の場合の処方

腰から下が冷えたり重く感じる場合には、「苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)」を、腰から下にしびれや脱力感がある場合には「八味地黄丸(はちみじおうがん)」をよく使います。手足が冷えたり、しもやけを伴う場合には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」が選択されます。

関節リウマチに対する処方

高齢者の関節痛の原因となる代表的な病気に、「関節リウマチ」があります。発症には、体内に侵入した外敵を攻撃する仕組みである「免疫」の異常が関係しています。発症すると、関節に炎症が起き、関節が破壊されていきます。

治療は西洋医学に基づく薬物療法が中心です。免疫の働きを調節・抑制する「抗リウマチ薬」をはじめ、「ステロイド薬」や非ステロイド系消炎鎮痛薬で痛みや炎症を抑えて、関節破壊への進行を防ぎます。ただし、これらの薬で症状がなかなか改善されない場合には、漢方薬を併用してみるのもいいでしょう。

日常生活には、あまり使用が生じない初期に「越婢加朮湯」あるいは「防已黄耆湯」を使うと、関節の痛みや腫れが改善されることがあります。関節が変形するなど病気が進行してきた場合は、「桂枝加朮附湯」あるいは「大防風湯(だいぼうふうとう)」を用います。炎症の程度が弱まったり、「貧血」「食欲不振」などの全身症状が改善されることがあります。

関節リウマチは西洋医学でも治療が難しい病気の1つです。症状を和らげるための選択肢として、一度漢方薬を試してみるのがいいでしょう。

まとめ

このように漢方薬はさまざまな症状の改善に役立ちます。関節の痛みに対しても、実際の患者さんの状態をとらえてそれに合わせて漢方薬を選択して治療していきます。漢方に詳しい医師を探して治療を受けてみるのがよいでしょう。



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