狭心症に対する薬物療法について養生灸のススメ

category : 西洋医学 2012.2.1

狭心症とは

狭心症」は、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を供給する「冠動脈」の内腔が狭くなって、一時的に血流不足(虚血)になり、胸痛などの発作を起こす病気です。主な原因は冠動脈の動脈硬化で、さらに内腔が狭くなったところ(狭窄部)に血栓が詰まると、血流が途絶え、「心筋梗塞」を引き起こします。

このように、狭心症は命にもかかわる病気ですので、今回は狭心症について勉強していこうと思います。

狭心症の種類

狭心症にはいろいろな分類法がありますが、治療上は次の2つに分けて考えます。

・器質性狭心症

冠動脈の動脈硬化が進んで、明らかな狭窄部があるものです。坂道や階段を上るなど、体を動かしたとき(労作時)に、心筋の酸素消費量が増えて血流の供給が追い付かなくなり、胸痛などの発作が起こります。重症になると、安静時にも発作が起こることがあります。

・冠攣縮狭心症

冠動脈が激しく痙攣して内腔が一時的に狭くなり、血流不足に陥るものです。安静時に起こる狭心症の代表的なもので、日本人に多くみられます。発作の多くは深夜から早朝に起こります。

狭心症の治療法

どのタイプの狭心症でも、発作が起きたときには、「ニトログリセリン」などの即効性の「硝酸薬」を使って発作を鎮めます。

日常の治療としては、禁煙、肥満の解消、高血圧、糖尿病、脂質異常症がある人はその治療などを行って危険因子を減らし、動脈硬化の進行を防ぐとともに、狭心症のタイプや重症度に応じて次のような治療を行い、再発予防を測ります。

●薬物療法

主に硝酸薬や「カルシウム拮抗薬」「β遮断薬」などを用いて発作を予防します。血栓を防ぐために「抗血小板薬」などを用いることもあります。

●カテーテル治療

冠動脈の狭窄部までバルーンのついたカテーテルを送り込んで内側から押し広げたり、そこにステンドと呼ばれる金属製の網状の筒を留置して広げた内腔を支えたりします。

●冠動脈バイパス手術

外科手術によって冠動脈にほかの血管をつなぎ、狭窄した冠動脈に代わる血液の供給路を作ります。

薬物療法について

発作を止めたり予防するために用いる硝酸薬に加え、冠攣縮狭心症ではカルシウム拮抗薬、器質性狭心症ではβ遮断薬が基本的な治療薬となります。

●硝酸薬

冠動脈や末梢の血管を広げて、心臓の負担を軽減する作用をもつ、狭心症の代表的な治療薬です。器質性狭心症にも、冠攣縮狭心症にも用いられます。古くから知られる「ニトログリセリン」と、同じような作用をもつ「イソソルビド硝酸塩」「イソソルビド一硝酸塩」などが用いられています。発作を止めるために使う速効性のものと、発作を予防するために使う持続性のものがあり、さまざまな剤型があります。

発作時に使うのは主に「舌下」錠で、舌の下に含んで粘膜から吸収させます。ニトログリセリンは、舌下に含んで1分ほどで効き始め、20~30分ほど効果が続きます。イソソルビド硝酸塩では舌下に含んで2~3分で効き始め、ニトログリセリンよりも少し長く効果が続きます。口の中が乾いて舌下錠が溶けにくい人には、舌下に噴霧して使うスプレーもあります。噴霧して1分ほどで効き始め、効果は60分ほど続きます。

発作を防ぐために使うのは、内服薬が基本です。そのほか、テープなどの外用薬もあります。いつ薬をのんだかわからなくなりやすい人は、テープにして貼るときに日時を書いておくとよいでしょう。

・副作用、使用上の注意

副作用で起こりやすいのが頭痛や顔面紅潮ですが、これらは血管の拡張によるもので、薬が効いている証でもあります。慣れると治まってくることもあるので、我慢できる程度であれば、なるべく使い続けることが勧められます。そのほか、めまい、動悸、頻脈、血圧低下などが起こることもあります。閉塞隅角緑内障のある人は眼圧を上げるおそれがあるため使えません。また、勃起障害治療薬の「シルデナフィル」や「バルデナフィル」を使用すると過度に血圧が低下して危険なことがあるので、併用は禁物です。

●カルシウム拮抗薬

降圧薬として高血圧の治療に広く使われている薬で、血管を拡張させる作用があります。冠動脈を拡張させて血流をよくするとともに、全身の血管を拡張させて心臓の負担を軽減し、酸素消費量を減少させます。狭心症の発作を防ぐためにも有効で、特に冠攣縮性狭心症の治療では重要な薬です。

「ニフェジピン」「ジルチアゼム」「アムロジピン」「ベニジピン」「ニソルジアピン」「ニトレンジピン」「エホニジピン」「ベラパミル」「べプリジル」といった薬が狭心症の治療に使われます。現在は1日2回服用する薬が中心になっていますが、いつ飲むかは狭心症のタイプによって合わせて決められます。

薬によって作用の強さに違いがあり、効果に個人差があるので、のんでみて、様子を確認しながら種類や量を調節していきます。特に血圧が低い人は、下がりすぎになることがあるので、服用を始める際には血圧を測りながら合う薬を探します。

・副作用、使用上の注意

末梢血管を拡張させることから、副作用では顔面紅潮やほてりが多く、頭痛、めまいなどが起こることもあります。急に服用を中止すると、命にかかわる不整脈を引き起こすこともあるので、自己判断で中止するのは禁物です。

●β遮断薬

心筋が必要とする酸素の量は、血圧と心拍数によって決まります。β遮断薬は、血圧を抑え、心臓の働きを抑えて心拍数を低下させることから、心筋が必要とする酸素の量を減らし、狭心症の発作を防ぐ効果があります。

特に器質性狭心症で、労作時に発作が起こるような人に適する薬です。冠攣縮狭心症では、β遮断薬を単独で使うと病状を悪化させることがあるといわれるのですが、ほかの薬と併用すれば、あまり問題にはなりません。器質的な冠動脈の狭窄と冠攣縮が合併している人では、カルシウム拮抗薬とβ遮断薬の併用が効果的です。

β遮断薬には多くの種類があり、降圧薬としても使われていますが、狭心症によく用いられるのは、「プロプラノロール」「メトプロロール」「アテノロール」「ビソプロロール」「カルベジロール(αβ遮断薬)」などです。主に作用時間の長さによって使い分けられます。

・副作用、使用上の注意

脈が遅くなりすぎると、時に命にかかわる不整脈が起こることがあるので注意が必要です。心不全のある人は特に慎重に用いる必要がります。急に服用を中止すると、不整脈や狭心症、心筋梗塞などが誘発されることがあるので、中止するときは徐々に減量します。

●冠血管拡張薬

これまで挙げた基本的な薬に加え、次のような冠動脈の拡張作用をもつ薬を用いることがあります。いずれも効果はあまり強くなく、通常、基本薬に併用されます。

「ニコランジル」は硝酸薬と血管拡張薬の作用を併せ持つような薬です。血管拡張作用はカルシウム拮抗薬ほど強力ではないものの、血圧をあまり下げないのが特徴です。副作用が少ないため、ふだんはこの薬を単独で使っている患者さんなどもいます。

そのほか、「ジラゼブ」「トラビジル」「ビピリダモール」「トリメタジジン」などの薬は、冠動脈の拡張作用に加えて、次の抗血小板薬の作用も少し併せもっています。

●抗血小板薬

血小板の作用を抑えて、血液を絡まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬です。「アスピリン」「アスピリン・ダイアルミネート」「チクロピジン」「シソスタゾール」などがあります。

器質性狭心症では、血栓ができて心筋梗塞が起こるのを防ぐために、少量のアスピリンかアスピリン・ダイアルミネートの服用を続けることが勧められています。そのほかは狭心症そのものの治療ではありませんが、冠動脈のカテーテル治療を受けた後は、何をおいても抗血小板薬の服用を忘れてはいけません。冠動脈にステントを留置した場合は、通常、アスピリンとチクロピジンを併用します。

・副作用、使用上の注意

出血しやすくなります。チクロピジンでは、血小板や白血球の減少、肝障害などが起こることがあるため、定期的な血液検査が必要です。

●抗凝固薬

ビタミンKの作用を抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬です。器質性狭心症の中でも、心筋梗塞につながりやすい不安定狭心症では「ワルファリンカリウム」が用いられることがあります。

●そのほかの薬

脂質異常症の治療薬の「スタチン」や降圧薬の「ACE阻害薬」「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬」などを併用して、動脈硬化の危険因子を治療することで長期的な好影響が期待されています。

まとめ

このように、狭心症の治療にはさまざまな薬からどれを使うかを選択して使用していきます。発作を起こしたことがある人は、ニトログリセリンの使い方をしっかりと学んでおきましょう。

また、予防のために薬を用いている場合は、自分がどのような薬を服用しているのか、その薬がどのような作用を持ているのか医師や薬剤師に確認しておきましょう。予防のためにのんでいると、なかには自己判断で勝手に使用をやめてしまう人がいるのですがこれは大変危険です。必ず指示通りに使用するようにしてください。



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