脂質異常症の診断基準と治療養生灸のススメ

category : 西洋医学 2012.1.31

かつて高脂血症と呼ばれたもの

病気のなかにはその名前が変更してしまうものが存在します。その一つとして「高脂血症」が上げられます。高脂血症は体の中のコレステロールや中性脂肪の数に関係する病気なのですが、この名前では数値が「高い」のが問題であるとの誤解を招いてしまいます。そこで、2007年に病名が「脂質異常症」と改められました。今回はこの脂質異常症について勉強していこうと思います。

動脈硬化について

脂質異常症の前に動脈硬化について書いておきましょう。この病気も血液中のコレステロールなどが深く関わっています。

「動脈硬化」とは、主に血液中のコレステロールなどが血管壁の内部にたまり、血管壁が厚くなって、血管の内腔が狭くなることをいいます。

血液には、体に必要な「脂質」が含まれています。主な脂質には、中性脂肪や次の2種類のコレステロールがあります。

●LDLコレステロール

肝臓でつくられたコレステロールを体中の細胞へ運ぶ「LDL」に含まれています。体に必要なものなのですが、増えすぎると動脈硬化を促進するため、「悪玉」とも呼ばれています。

●HDLコレステロール

体中で使われなかったり、血管壁に沈着したコレステロールを肝臓へと戻す「HDL」に含まれています。動脈硬化を防ぐように働くため、「善玉」とも呼ばれています。

動脈硬化は、血液中の「LDLコレステロールが多すぎる」「HDLコレステロールが少なすぎる」「中性脂肪が多すぎる」などの場合に促進されます。

動脈硬化を放置すると、心臓の血管(冠動脈)が詰まって心筋梗塞が起きたり、脳の血管が詰まって脳梗塞が起きることがあるので、注意が必要です。

近年、日本では心筋梗塞や脳梗塞が増加する傾向があり、これら動脈硬化性疾患の増加を抑制することが求められています。

また、動脈硬化に関する研究が進んできた結果、血液中のコレステロール値が心筋梗塞などの発症と密接に関係していることや、危険因子を減らすことで心筋梗塞を予防できることが、日本においても証明されています。

高脂血症から脂質異常症へ

高脂血症には、HDLコレステロール値が低すぎる「低HDLコレステロール血症」も含まれますが、低HDLコレステロール血症を含む病名として「高脂血症」という名前はそぐわないと考えられました。そのため、脂質の異常ということで「脂質異常症」という病名に変更されたのです。

また、このとき診断基準も変更されています。

診断基準で使われる数値は、「LDLコレステロール値」「HDLコレステロール値」「トリグリセライド値」の3項目になり、かつてあった「総コレステロール値」は除外されました。

これはなぜかというと、以前はLDLコレステロール値より総コレステロール値が重視される傾向があったためです。しかし、HDLコレステロール値が高いために総コレステロール値が高くなるなど、総コレステロール値が脂質の異常を正しく反映しない場合もあります。そのために総コレステロール値の項目がなくなったのです。

診断基準は以下の通りです。

  • 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が140mg/dl以上
  • 低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が40mg/dl未満
  • 高トリグリセライド(中性脂肪)血症:トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dl以上

●リスク別脂質管理目標値

脂質異常症と診断された場合は、危険因子の数などから動脈硬化性疾患の危険度を総合的に判断したうえで、生活習慣の改善をし、必要があれば薬も使って治療することが勧められます。その目安となるのが「リスク別脂質管理目標値」です。

まず、冠動脈疾患を発症したことがない「一次予防」と、既往がある「二次予防」の2つに分けられています。さらに、一次予防は「低リスク群」「中リスク群」「高リスク群」に分類されています。

このように、患者さんによってどのように脂質を管理するかを変えています。実際に治療している人はどこが目標値なのか確認しておきましょう。

脂質異常症の治療

二次予防の場合は、生活習慣の改善の開始と同時に薬物療法が考慮されます。

一次予防の場合、まずは生活習慣の改善を3~6カ月間行い、その効果を評価した後に、薬物療法の必要性を検討します。ただし、低リスク群では、薬物療法が必要になることは少ないと考えられています。

生活習慣の改善の柱としては、次の4つの項目が上げられます。

1.禁煙
2.食生活の是正
3.身体活動の増加
4.適正体重の維持と内臓脂肪の減少

特に喫煙している人は、禁煙することが重要です。禁煙を開始して約10年が経過すると、心筋梗塞で死亡する確率が約50%低下すると報告されています。

現代の食生活では、動物性脂肪の摂取が多くなりがちで、若いうちから脂質代謝に異常が生じていることがあります。動脈硬化性疾患を防ぐためには、生活習慣を改善することが大切といえます。

まとめ

脂質異常症により、動脈硬化が進んでしまうとさまざまな病気が起こりやすくなってしまいます。そのため、まずは脂質の異常を防ぐことが大切になるのです。

検診などで血液検査を行うことも多いでしょう。その際、異常がないからといって検査結果を捨ててしまわず、きちんと保存しておきましょう。新たに血液検査を受けた際は、かつての数値と見比べてどのような変化があるかをチェックすることも非常に大切です。

もしも、数値が悪化しているようであれば、生活習慣を見直してみてください。



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