食道がんと化学放射線療法について養生灸のススメ

category : 西洋医学 2012.1.30

食道がんの治療

がんというのはさまざまな部位に発生する厄介な病気です。そのがんの一つとして「食道がん」があります。食道がんは現在手術が標準的な治療として行われていますが、切除範囲が広くなることが多く、患者さんの身体に大きな負担がかかります。最近では、身体への負担が比較的少ない治療法として、抗がん剤と放射線を組み合わせた「化学放射線療法」が注目されています。そこで、今回は食道がんの治療法について勉強していこうと思います。

食道がんについて

「食道」とは、のどと胃をつなぐ管状の細長い臓器で、食べ物をのどから胃に送る働きをしています。成人の食道は、長さが約25~30cmで、太さは約2~3cm、壁の厚さは約4~5mmです。

食道がんは、食道の内側の表面にある「粘膜」に発生して、深い層へと広がっていきます。早期には、自覚症状がほとんどありません。

食道の周りには多くの「リンパ節」があり、比較的早い段階でリンパ節への転移が起こることがあります。さらに進行すると、近くにある気管支や大動脈に食い込んだり、肺や肝臓への転移も見られるようになります。また、食道がんは再発しやすいがんでもあります。

食道がんは、がんの深さや転移の有無などによって0~Ⅳ期までの「病期(ステージ)」に分けられ、数字が大きいほど進行していることを示します。今回は、がんが食道の壁にまで達しているか、もしくはすでにリンパ節に転移があるⅡ期とⅢ期の食道がんについて取り上げます。

●現在は手術が中心

現在、Ⅱ期とⅢ期の食道がんに対しては、手術を中心とした治療が「標準治療」として行われています。

食道は肺や気管、心臓、大動脈などに囲まれているので、手術では、周囲の臓器を傷つけないように注意しながら、ほとんどの食道と、首から胃の上にかけてのリンパ節を切除します。食道を再建するため、胃を細長い管状にして吊り上げて、のどの部分に残した食道につなげます。手術期間は6時間程度かかります。さらに、手術では取りきれない小さながんを治療する目的で、「抗がん剤」を手術前に投与する「術前化学療法」、または手術後に投与する「術後化学療法」を行います。

一方、最近では、手術を行わない治療法として「化学放射線療法」が注目されています。

化学放射線療法とは

化学放射線療法では、抗がん剤と「放射線」を併用します。これまでは手術が困難な患者さんを対象に行われてきましたが、最近では手術が可能な患者さんでも選択できるようになってきました。

治療方法としては例えば、「シスプラチン」と「フルオロウラシル」という2種類の抗がん剤を点滴で投与します。シスプラチンは1週目と5週目の1日
目だけ投与し、フルオロウラシルは1週目と5週目の1~4日目まで連続して投与します。一方、放射線治療では、放射線を1~5週目までは1~5日目まで続けて当て、6週目は1~3日目まで連続して照射します。6週目以降に抗がん剤を追加投与する場合も多いので、治療には2~3か月間の入院が必要となります。

化学放射線療法のメリット

食道がんの手術は、患者さんの体に大きな負担がかかります。また、手術の影響で亡くなるケースもあります。一方、化学放射線療法での場合は、体にかかる負担が手術に比べて少なく、手術に伴う危険性も避けることができます。

手術では、多くの場合、胃を食道の代わりとして使うため、手術後には「消化」をはじめとする胃の機能が大きく損なわれます。化学放射線療法では、食道や胃をそのまま残せるので、胃の機能が保たれ、治療前と同じような食生活ができます。

また、食道がんがのどの部分にある「頸部食道」に発症すると、声帯の摘出が必要になる場合もあります。化学放射線療法だと、声帯を摘出しないので、声を失うこともありません。

●治療成績も向上している

これまでのデータを参考にすると、治療後3年後に生存している割合は、手術を中心とした治療が55~60%で、化学放射線療法は45%といったところです。まだ、手術には及ばないものの、治療成績は向上しています。

化学放射線療法のデメリット

化学放射線療法には、短所もいくつかあります。放射線の副作用として「口の中やのど、食道の炎症」などが、抗がん剤の副作用として「食欲低下」「吐き気」「白血球減少」などが起こります。

治療終了後、半年以降に現れる「晩期合併症」は、重篤になると命に係わる場合もあります。放射線が肺や心臓にも照射されることは避けられないため、肺の周りに水が溜まる「胸水貯留」や、心臓の周りに水が溜まる「心嚢液貯留」、肺の組織が硬くなる「放射性肺臓炎」などが起こる可能性があります。「息切れ」などが起こって日常生活に支障が出たりします。

最も大きな問題は、すべての患者さんに効果が現れるわけではないことです。これまでに日本で行われたいくつかの臨床試験によれば、化学放射線療法を受けた人の約2/3はいったんはがんが消えますが、治療を終了してから約3年後には半数の人に再発が起こるので、化学放射線療法だけで治癒が期待できるのは全体の約1/3ということになります。

事前に治療効果を確認できる方法の研究がすすめられていますが、現段階では行ってみなければわかりません。

●効果がない場合

化学放射線療法の効果がなかった場合は「サルベージ手術」を行います。手術方法は同じですが、放射線を照射した組織は硬く変性しており、放射線と抗がん剤の影響で体力も落ちています。そのため、最初から手術を行うより、手術自体が難しく、手術に伴う危険性も高くなります。

化学放射線療法は、放射線の照射法や抗がん剤の組み合わせなどを改善し、欠点を克服することで、将来食道がんの標準治療になる可能性が十分あります。

まとめ

化学放射線療法にも手術にも、それぞれ長所と短所があります。治療法を選ぶ場合はそのことをよく理解しましょう。

また、以前に胃を切除している場合は、食道の再建に大腸を使う必要があり、肺の手術を経験している場合は、手術による負担がより大きくなります。こうした身体の状態や年齢なども、治療法選択の重要な条件になるので、担当と相談しながら最も適した方法を選ぶことが大切です。

場合によっては、セカンドオピニオン(別の医師の意見を聞くこと)を求めるのもいいでしょう。しっかりと納得したうえで治療を行っていきましょう。



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