鼡径ヘルニアとは養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.12.11

鼡径部の膨らみ

太ももの付け根の上辺りが膨らむ病気に「鼡径ヘルニア」があります。鼡径ヘルニアは子どもにも大人にも起こる病気です。特に大人に起こる場合には、中高年の男性に多くみられます。今回は、大人に起こる鼡径ヘルニアについて勉強していこうと思います。

「鼡径ヘルニア」は「脱腸」とも呼ばれ、太ももの付け根の上の辺りの「鼡径部」が膨らむ病気です。膨らみは、小腸や大腸などの一部が外にはみ出してきたものです。最初はピンポン玉くらいの大きさのことが多く、気づかないこともありますが、上から鼡径部を見ると左右の差が分かります。膨らみに触れると内部に塊があるのが感じられ、押すと塊が引っ込み、膨らみがなくなります。このように「膨らみが現れたり元に戻ったりする」のが、鼡径ヘルニアの特徴です。

いつごろから症状が起きるようになったのかは、患者さん本人にもはっきりしないことが多く、せきや排便などで腹圧がかかったときに気づくこともあれば、入浴中などに鼡径部を診て、その左右の差から気づくこともあります。

放置すると、徐々に多くの腸がはみ出すようになり、膨らみが大きくなります。膨らみの部分に、軽い痛みや違和感を感じるようになることもあります。

危険な嵌頓ヘルニア

はみ出した腸などが、出口部分で締め付けられ、元に戻らなくなることがあります。これを「嵌頓ヘルニア(かんとん)」といいます。嵌頓ヘルニアの状態になると、強い痛みがおります。また、はみ出した腸などに血流が流れなくなり、組織や細胞が壊死することがあります。そうなると、命にかかわることもあるので、緊急の手術が必要になります。

鼡径ヘルニアの起こり方

小腸や大腸などは、「腹膜」という半透明の膜や、その外側の「腹壁」などに覆われています。腹壁は、複数の筋肉や筋肉を覆う「筋膜」などからできた層構造になっています。

鼡径ヘルニアが起こる原因は、まだわかっていないことが多いのですが、主に「腹壁の力が弱まる」「腹圧がかかる」という2つの要因によって起こると考えられています。通常は、腹壁の力で内臓は腹腔内に収まっており、腸などが腹壁の外にはみ出すことはありません。しかし、加齢などの影響で筋肉の量が減ったり、筋膜の弾力性が低下したりすると、鼡径部の腹壁に弱い部分やすき間ができ、そこから腸などがはみ出しやすくなります。また、仕事で日常的に重いものを持ったりして強い腹圧がかかり続けると、さらに腸がはみ出しやすく、鼡径ヘルニアが起こりやすくなります。

大人の鼡径ヘルニアの患者さんの約8割は男性だといわれています。普通の鼡径ヘルニアは、すぐに命にかかわる病気ではありませんが、自然に治ることはありません。気になる場合は、外科を受診しましょう。特に痛みがあったり、膨らみが戻りにくい場合には早めの受診が大切になります。

鼡径ヘルニアの治療

受診のときに鼡径部が膨らんでいれば、問診と触診だけで診断できます。必要に応じて、CT検査などの画像検査が行われることもあります。なお膨らんでいないときには、造影剤を使ってエックス線で撮影する「腹腔造影検査」を行うことがあります。

●メッシュを使う手術

鼡径ヘルニアの治療では、はみ出した腸や腹膜を腹腔に戻し、出口部分を塞ぐ手術が行われます。

従来の方法は、筋膜などを縫い縮めて出口部分を塞ぐものです。この方法の場合は、手術後に安静が必要で、入院期間は1週間以上になります。また、縫い目が避けてしまうことがあり、再発率は5~15%ほどです。

現在は、合成繊維でできた網目状のメッシュで出口をふさぐ方法が主流です。メッシュは体内にそのまま残されますが、体には特に害のないことが確認されています。メッシュを使うほうが入院期間が短く、再発率も低くなっています。

なお、20~30歳代の患者さんの場合、筋肉などが伸縮性に富んでいるためメッシュを使わないことがあります。出口部分で腹膜を縛り、袋状に伸びた余分な腹膜を切除すると、筋肉などが自然に出口部分を塞ぎます。ただし、小児の場合と異なり、出口を2~3針縫合して補強することになります。

メッシュを使った手術は主に次の2つに分けられます。

・切開法
鼡径部を約4cmほど切開します。数㎝上部を3cmほど切開する方法もあります。使われるメッシュの形や手術方法はさまざまです。

・腹腔鏡法
へその周囲に約3か所の小さな孔をあけ、腹腔鏡や手術器具を挿入して行います。

●切開法の実際

現在日本で多く行われているのは、切開法です。切開法の具体的な内容は次の通りです。

・手術時間
一般に30~40分間程度です。

・入院期間
2~3日間のことが多く、健康状態などによっては日帰り手術も可能です。

・傷痕
体に吸収される糸で皮膚に埋め込むようにして縫い合わされているため、抜糸の必要がなく、1年ほどで目立たなくなります。

・歩行
一般に翌日から歩くことができます。座ったりするときには、少し痛むことがあるので、手術部位に力が加わりすぎないように注意します。

・腫れや痛み
少し腫れることがあります。痛みは、約半数の患者さんが痛み止めを使わないで済む程度です。

・食事や風呂など
食事の制限はほとんどありません。退院当日からシャワーなどを使ってもかまいませんが、入浴は1週間後からが目安となります。

・仕事への復帰
デスクワークや縫い仕事などは、3~4日後から可能です。ただし、時間帯をずらすなどの工夫をして、混んだ電車などで通勤するのは避けましょう。重いものの持ち運びや長時間の立ち位置は、1~2週間後から徐々に始められます。

・再発など
再発率は、熟練した医師が行った場合は1%以下とされますが、まったく再発が起こらないわけではありません。また、手術した反対側の鼡径ヘルニアに新たな鼡径ヘルニアを防ぐ方法はなく、再度の手術が必要になります。

嵌頓ヘルニアでの緊急手術を除き、鼡径ヘルニアの手術は安全といわれています。ただし、合併症がまったくないというわけではなく、前rに慢性的な痛みや違和感などが手術後に続くこともあります。医師からよく説明を聞いて、納得したうえで手術を受けることが大切です。

まとめ

鼡径ヘルニアはあっても多くは生活に影響がありません。そのため、放置している人も多くいるのですが、進行すると痛みや違和感が出てくることがあります。鼡径ヘルニアは勝手に治ることはないので、見つけた場合病院を受診するようにしましょう。



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