潰瘍性大腸炎とは養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.11.29

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎」は、大腸の粘膜に炎症が起こって、潰瘍やびらん(ただれ)ができる病気です。
以前は日本での患者数が少なかったのですが、どんどんと増えてきています。
今回はこの潰瘍性大腸炎について勉強していこうと思います。

潰瘍性大腸炎は、直腸から始まり、大腸の粘膜に炎症が広がって赤くただれ、潰瘍やびらんを引き起こします。
日本では2005年の時点で、潰瘍性大腸炎の患者さんは、約9万人いると報告されており、まだ増加の傾向にあると考えられています。
また、発症年齢は、男女とも20歳代に多いと推定されています。

潰瘍性大腸炎は、はっきりとした原因が分かっておらず、「難病(特定疾患)」に指定されています。
現在、原因としての可能性が指摘されているのは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する「免疫」の働きの異常などです。
アメリカやヨーロッパでは以前からこの病気が多く、日本で若い人に多い理由として、食生活の欧米化の影響も考えられています。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎になると、まず「排便異常」が起こってきます。最初は便が軟らかくなったり、水っぽくなります。
そのうち粘液が混ざったり、出血を伴う下痢が起こるようになり、排便の回数も増えてきます。
また、腹痛を伴うこともあります。

多くの患者さんでは、出血を伴う下痢の症状が、医療機関を受診するきっかけになっています。

炎症がひどくなると、「発熱、体重減少、だるさ、貧血」など、全身症状も現れてきます。
出血を伴う下痢と腹痛、強い全身症状が急に現れる場合(劇症)もあります。

潰瘍性大腸炎は、多くの場合、炎症によって症状が起きている「活動期」と、炎症が抑えられて症状が出ていない「寛解期(かんかいき)」を交互に繰り返すのが特徴です。

原因が分かっていないため、現在のところ根治は難しいのですが、寛解期に入れば、健康な人とほとんど変わらない生活が送れます。
そのため、治療は活動期から寛解期へ速やかに導き、寛解期をできるだけ長く維持することを目指します。

潰瘍性大腸炎の診断

排便異常などで消化器内科などを受診すると、問診で便の性状や排便の状況など症状の経過を聞かれます。
そして、直腸から内視鏡を入れて大腸内を調べる「大腸内視鏡検査」や、肛門からバリウムを注入してエックス線検査を行う「注腸造影検査」で、炎症や潰瘍の有無と程度を調べます。

次に、大腸の粘膜の一部をとって、炎症の状態を確認する「生検」を行ったり、便検査で便に含まれる物質を調べたりします。
生検や便検査は、「アメーバ赤痢」「サルモネラ腸炎」「腸結核」といった感染性の腸炎や「虚血性腸炎」、抗菌薬などによる「薬剤性腸炎」などの、ほかの大腸の病気と鑑別するために行います。

これらの検査の結果によって、潰瘍性大腸炎かどうかが診断されます。

潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎の治療では、主に「食事療法」と「薬物療法」を並行して行います。

●食事療法

活動期には、下痢による体力の消耗を防ぐため、エネルギー源となるたんぱく質を積極的に摂取します。
「白身魚、鶏のささ身、半熟卵、豆腐」など、良質なたんぱく質をとるようにしましょう。
魚や肉、卵は硬くなりすぎないように加熱調理すると、消化しやすくなります。

また、腸に過剰な刺激を与えないために、食物繊維や脂質が多い食品、香辛料やアルコール、コーヒーなどは、摂取を控えるようにします。

なお、症状が重い場合や劇症の場合は、絶食して点滴で栄養補給を行います。
一方、寛解期では、暴飲暴食に注意しながら、栄養バランスの良い普通の食事をとることができます。

●薬物療法

・5-ASA製剤
活動期に炎症を抑えたり、寛解期を維持するためにも使われます。治療の基本となる薬として広く使用されます。
5-ASA製剤に加え、以下の薬を必要に応じて使用します。

・副腎皮質ホルモン薬
炎症と免疫の働きを抑える薬です。活動期に限って使われます。

・免疫調整薬
免疫の働きを調整する薬です。薬の種類によって,活動期に使われるものと、寛解期に使われるものとがあります。

これらの薬は主に内服薬で使用しますが、症状によっては、坐薬や点滴などで使用します。

食事療法と薬物療法だけでは症状が改善されない場合には、「血球成分除去療法」や「全大腸切除術」なども検討されます。

●血球成分除去療法

副腎皮質ホルモン薬が効かない人や、薬の副作用が強く出る人は、血球成分除去療法を行うことがあります。

炎症が起きているとき、免疫の働きを担う白血球が異常に活性化しています。
血球成分除去療法は、活性化した白血球を除去し、炎症を抑えるのが目的です。
健康保険が適用されている主な治療法は「白血球除去療法(LCAP)」と「顆粒球吸着療法(GCAP)」です。

治療では、まず両腕の静脈に特殊な機器をつなぎ、一方の腕の静脈から徐々に血液を体外に取り出し、活性化した白血球や白血球の成分である顆粒球などを取り除きます。
同時に、もう一方の腕から血液を徐々に体内に戻し、計2~3リットルの血液を循環させます。
通常、治療は1回1時間ほどで、週に1~2回、最長で10週間続けて行います。

白血球などを除去するので、まれに感染に対する抵抗力が弱まることもありますが、一般に副作用の少ない治療法です。
患者さんの50%以上に、症状の改善がみられるといわれています。

●全大腸切除術

薬物療法などの内科的な治療の効果が十分でなかった場合や、大量出血している場合、「大腸がん」の場合などは手術が検討されます。
全大腸切除術では、手術後に再び炎症が生じる可能性を考えて、大腸をすべて切除します。
そして、小腸の一部を大腸の代わりにして、肛門につなぎます。

まとめ

潰瘍性大腸炎はいまだに原因が分かっていませんが、このようにさまざまな治療法があります。
治療によって少しでも寛解期が続くようにすれば通常と同じような生活ができるのでしっかり治療をしていきましょう。
また、注意が必要な点として潰瘍性大腸炎に似た症状がでる「クローン病」があります。
潰瘍性大腸炎だと思って大腸を切除してみると、実はクローン病であったということもありますので、手術は専門の医師がいるところで行うほうがいいと思います。



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