過敏性腸症候群とは養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.11.28

便秘や下痢を繰り返す病気

普通に生活している人が便秘や下痢を繰り返すようになると、今までと同じように生活できなくなってしまうでしょう。常におなかに不快感があり、それが気になってしまい、電車に乗るのも怖くなってしまうこともあります。この便秘と下痢を繰り返す病気に「過敏性腸症候群」というものがあります。今回はこの過敏性腸症候群について勉強していこうと思います。

過敏性腸症候群は、血液検査や検便、エックス線検査、内視鏡による検査では異常が見つからないのに、腹痛や腹部の不快感を伴う便秘や下痢を繰り返す病気です。原因はよく分かっていませんが、多くはストレスが関係しているといわれています。日常生活に支障がなく、医療機関を受診していない人まで含めると、日本人の10~20%程度が、過敏性腸症候群の診断基準に当てはまるといわれています。特に20~40歳代の人に多くみられます。

●症状が繰り返し起こる仕組み

脳と腸は自律神経でつながっており、脳は自律神経を介して腸の働きをコントロールしています。ストレスを受けると、自律神経が乱れ、腸は過敏な状態になります。そのため、腸の運動に異常が起こり、おなかにさまざまな症状が現れてきます。これがさらなるストレスとなり、また症状が起こる、という悪循環に陥るために症状が繰り返し起こると考えられています。

●過敏性腸症候群のタイプ

腹痛や腹部の不快感に伴って起こる症状によって、次の3つのタイプに分けられます。

・下痢型…下痢が中心に起こります。男性に多い傾向にあります。

・便秘型…便秘が中心に起こります。女性に比較的多くみられます。

・混合型…下痢と便秘が交互に起こります。

タイプによって、食事や生活上の注意が変わります。自分がどのタイプか見極めることも、症状を改善するうえで重要になります。

過敏性腸症候群の診断

●診断基準

1.おなかの痛みや不快感が最近3か月のうち1か月で3日以上ある

2.排便によって症状が治まる
3.排便頻度が変わってくる
4.便の性状が変わってくる

1に当てはまり、さらに2~4の3項目のうち、2項目以上に当てはまる場合には過敏性腸症候群と診断される

●詳しい検査

過敏性腸症候群に該当する自覚症状がある場合は、消化器内科などを受診しましょう。

基本的な診断は「RomeⅢ診断基準」に基づいて行われます。ただし、便秘や下痢は、朝食を抜くなどの生活習慣や、その他の重大な病気から現れることが多い症状です。そのため医療機関では、診断基準に加えて、問診で「発熱や全身に倦怠感があるかどうか」また「この約半年間に体重の著しい減少があったかどうか」などを確認します。さらに、便に血便が混じっているかを調べる「便潜血反応」や、貧血や炎症が起きていないかを調べる血液検査が行われます。

これらの問診や検査で異常が見つかった場合は「大腸がん」「潰瘍性大腸炎」「甲状腺やすい臓の病気」などが疑われるので、さらに詳しい検査が必要になります。

RomeⅢの診断基準に当てはまり、問診や検査で特に異常が見つからなければ、過敏性腸症候群と診断されます。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群は原因がよく分かっていないため根治は難しいのですが、症状を起こりにくくすることで、病気と上手に付き合っていくことはできます。気分よく日常生活を送れるように症状を改善させることが治療の目標です。治療では、まず「生活習慣の改善」と「食事療法」を行います。

●生活習慣の改善

無理のない範囲で次のような生活を心がけます。

・食事…1日3食を、毎日決まった時間にゆっくり食べるようにします。

・運動…毎日、適度な運動を行うようにします。

・睡眠…早寝早起きをし、睡眠を十分にとるようにします。

・トイレ…便秘型の人は、便意がなくても毎日同じ時間にトイレに行くようにします。便が出なくても毎日続け、排便のリズムを付けましょう。

●食事療法

ストレスを感じるような食事制限をするのではなく、まずは「腸の働きによいもの」と「控えたほうがよいもの」を知ることが大切です。

・腸の働きによいもの…乳酸菌食品は、腸内細菌のバランスを整え、腸の働きを正常に近づけます。ヨーグルトなら毎日200ml程度をとるのが効果的とされています。便秘型と混合型の人は、便秘改善のために食物繊維も積極的にとりましょう。

・控えたほうがよいもの…消化しにくい脂質、腸を刺激する香辛料やアルコールは、とりすぎないように気を付けます。なお、アルコール摂取がストレス解消になるという人は、医師に相談し、おなかの調子をみながら酒量を調節してください。

薬物療法や心理療法

生活習慣の改善や食事療法で、症状が改善されないときは、「薬物療法」も並行して行われます。

まず、「消化管運動調整薬」や「腸内細菌調整薬」を用い、おなかの調子を整えます。便秘型や混合型の人では、症状や程度によって「下剤」を追加します。またストレスが大きく影響している場合は、「抗不安薬」や「抗うつ薬」を用いることがあります。それでも症状が改善されなければ、心療内科などで「心理療法(カウンセリング)」を受けることもあります。

●ストレスを和らげる工夫

ストレスにより、いったん過敏性腸症候群を発症すると、「またおなかの調子が悪くなるかも」と不安になり、それがさらなるストレスになるという悪循環になってしまいます。この悪循環を断ち切るためには「トイレにいつでも行くことができる」環境をつくるなどして、できるだけ不安を解消しましょう。そのうち「慣れれば何とかなる」というように、ストレスを和らげる考え方ができるようになれば、症状が起こりにくくなってきます。

まとめ

通常、便をする時におなかが痛くなるということはありません。もし、原因が特にないのにおなかが痛くなる時があるという人は、過敏性腸症候群の予備軍にあたることが多いです。そう考えると、過敏性腸症候群とは決して珍しい病気ではなく、多くの人がなりえる病気といえます。もしも思い当たる人は今からでも生活習慣や食事について見直してみることをお勧めします。



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