不整脈の薬物療法養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.11.21

不整脈の治療

不整脈というのは「心臓の拍動(心拍)のリズムの異常」が起こる病気です。ほとんどの不整脈には治療は必要ありません。しかし、なかには命にかかわる状態になることもあるので注意が必要になります。また、不整脈といってもさまざまなタイプがあり、治療する際にはそのタイプに合わせて薬を変えていきます。そこで、今回は不整脈に対する薬物治療について勉強していこうと思います。

不整脈については「不整脈とは」「不整脈の検査と治療」で詳しく説明していますので、そちらも合わせてご覧ください。

治療に用いる薬

不整脈の薬物療法については、近年、「シシリアン・ガンビット」という新しい考え方が国際的に示されて、日本のガイドラインもそれに基づいた薬の選択を勧めています。

抗不整脈薬にはさまざまな作用の薬があり、特性を把握して使い分けるために、従来、薬の「主作用」で分けた分類が広く使われてきました。しかし、1つの薬には主作用のほかにもさまざまな作用があります。それらも含めて患者さんに合う薬を選択するために、シシリアン・ガンビットでは、基本的な薬のさまざまな作用を一覧表の形で示し、特性を総合的に把握できるようにしています。

従来、こうした薬の選択は医師の経験的な判断で行われてきましたが、新しい考え方では、不整脈が起きている仕組みから、治療の標的を絞り、そこに作用する薬を選ぶという方法を提唱しています。これは個々の患者さんにとって最も有効な薬を、より客観的な基準で、効率よく選び出すことを目的としています。

さらに、不整脈を起こしている大本にも目を向け、基盤にある因子も合わせて改善を図る治療が目指されています。そうした点も含めて、使う薬が検討されます。

そこで今回は不整脈の薬としてよく使われる、基本的な薬についてみていきましょう。

●ナトリウムチャネル遮断薬

心臓の筋肉(心筋)の細胞膜には、電気刺激の発生や伝導にかかわるナトリウム、カルシウム、カリウムなどのイオンが通るチャネル(経路)があります。このうち、ナトリウムチャネルの働きを抑えると、拍動を起こす電気刺激が伝わるのが遅くなります。

主にナトリウムチャネル遮断作用を持つ薬には、「プロカインアミド」「ジソピラミド」「キニジン」「プロパフェノン」「アプリンジン」「シベンゾリン」「ピルメノール」「フレカイニド」「ピルジカイニド」「リドカイン(注射薬)」「メキシレチン」などがあります。

これらの薬は抗不整脈薬の中心となるものですので、発作性上室性頻拍や心房細動をはじめとする多くの頻脈性不整脈や、期外収縮に用いられます。

ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノールなどは、カリウムチャネル遮断作用も併せ持っています。

・副作用

心機能を抑制して心不全を誘発したり、まれですが、心室頻拍や房室ブロックなどの不整脈を引き起こすことがあります。ジソピラミドなどのムスカリン受容体への作用を持つ薬では、口の渇き、排尿障害、便秘、緑内障の悪化などの副作用が現れることもあります。

●カルシウム拮抗薬

主に、心筋の細胞膜にあるカルシウムチャネルを遮断する薬で、血管を拡張させる作用を持つことから、高血圧や狭心症の治療に広く用いられています。抗不整脈薬としては、「べプリジル」「ベラパミル」「ジルチアゼム」などが用いられます。洞結節や房室結節に働きかけて電気信号の発生や伝わる回数を減らすことで、心室の拍動数を減らす効果があります。

ベラパミルとジルチアゼムは、発作性上室性頻拍に対してよく用いられます。べプリジルは、カリウムチャネルやナトリウムチャネルの遮断作用を併せ持ち、特に心房細動に有効です。

・副作用

血圧低下、動悸、頭痛、徐脈や房室ブロックなどが起こることがあります。

●カリウムチャネル遮断薬

心筋の細胞膜のカリウムチャネルを遮断することで、不応期(心筋が興奮から覚めて再び興奮できるようになるまでの時間)を長くする薬です。電気刺激による心筋の興奮を抑制して、心房細動や心室頻拍などの不整脈を抑えます。

「ソタロール」「アミオダロン」「ニフェカラント(注射薬のみ)」という薬が、頻脈性不整脈の中でも、主に死に至る危険性の高い不整脈に対して用いられています。ニフェカラントやアミオダロンの注射薬は、特に救急の場で重要です。

ソタロールには、β受容体遮断作用もあります。アミオダロンは、カリウムチャネルのほか、ナトリウム・カルシウムチャネル、α・β受容体のすべての遮断作用を合わせ持つ薬で、最近使われるケースが増えています。

・副作用

効果が高い反面、副作用も強く、心室頻拍、房室ブロック、肝障害などが起こることがあります。アミオダロンでは、間質性肺炎や甲状腺機能障害にも注意が必要です。

●β遮断薬

交感神経の刺激を受け取る心臓の筋肉のβ受容体を遮断することで、心臓の興奮を抑えて、心拍数を低下させます。高血圧や狭心症の治療にも広く用いられている薬で、抗不整脈薬としては、主に「プロプラノール」が用いられます。

β遮断薬は不整脈を抑える作用はありませんが、不整脈が起きやすい状態の改善を主な目的に、さまざまな薬が用いられます。期外収縮にも用いられることがあります。

・副作用

心不全や血圧の低下、気管支ぜんそくのある人ではぜんそく発作の誘発に注意が必要です。また、徐脈や房室ブロックが現れることもあります。

●代謝賦活薬

主に心不全に対して使われる「アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)」という注射薬が、発作性上室性頻拍の発作を止めるために用いられます。

●ジギタリス薬(強心配糖体)

主に心不全の使われる薬ですが、房室結節で電気信号が伝わるのを抑える作用があるため、心房細動が起きたときの心拍数コントロールのために「ジゴキシン」などの内服薬や注射薬が使われます。

●徐脈性不整脈の薬

徐脈性不整脈の治療には、心臓の拍動を促す薬が用いられます。

・副交感神経遮断薬

副交感神経が心臓の働きを抑制する際に働く「ムスカリン受容体」を遮断することで、心拍数を増やす作用があります。「アトロピン」という注射薬が、拍動が遅くなっているときに一時的に使われます。

・β刺激薬

交感神経の働きを活発にして心臓の悪童を促す作用があり、「オルシプレナリン」「イソプレナリン」などの薬があります。

アトロピンと違って内服薬がありますが、長期にわたって用いられることはまずありません。

●その他の薬

不整脈に伴う自覚症状や生活リズムの改善を助けるために、抗不安薬や睡眠導入薬を用いることがあります。

また、心房細動があるときには、心臓内でできた結成んによって脳梗塞が起こるのを防ぐために「ワルファリン」や「アスピリン」など、血液が固まるのを防ぐ抗血小板薬・抗凝固薬が併用されます。

そのほか、不整脈を起こしやすくしている基礎疾患の改善を目指して、降圧薬の「ACE阻害薬」や「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬」、脂質異常症治療薬の「スタチン」などを併用することがあります。

まとめ

このように、不整脈の薬にはさまざまな薬があります。治療の際にはその患者さんに合った薬を処方しているので、指示通りにしっかりとのむことが大切です。また、不整脈の薬をのんで症状が落ち着いたとしても、自分の判断で薬を止めてはいけません。症状は薬によって抑えられているだけかもしれず、また現れるどころか、かえってひどくなる場合もあります。医師と相談しながら徐々に薬を止めていく必要があります。副作用が出た場合にも、よく相談することが大切です。



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