脳卒中の急性期におけるリハビリテーション養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.11.6

急性期リハビリテーションとは

脳卒中を発症した場合、治療のために入院した医療機関でリハビリテーションも並行して行うことになります。最近では発症直後の急性期にしっかりとリハビリテーションをすることが、後遺症の回復に非常に重要ということが分かっています。そこで今回は脳卒中の急性期におけるリハビリテーションについて勉強していこうと思います。

急性期リハビリテーションでは、人間の最も基本的な動作である「座る・立つ」ことや、生きていくうえでの基本的な営みである「食事」「排泄」ができるようになることを目指します。

「座る・立つ」は次の回復期リハビリテーションの土台ともなる大切なものです。通常、1~2週間程度の訓練で、長時間座っていられたり、立てるようになると、回復期リハビリテーションへ進んでいきます。

また、「廃用症候群」の予防も、急性期リハビリテーションの大きな目的です。廃用症候群とは、身体を使わないことによって起こる機能低下の総称で、主に次のようなものが上げられます。

筋委縮…筋肉が萎縮し、筋力が低下します。
骨萎縮(骨粗鬆症)…骨がもろく弱くなります。
関節硬縮…関節が固まって、動かしにくくなります。特に麻痺した側に強く現れます。
褥瘡(じょくそう)…いわゆる「床ずれ」のことで、マットレスなどに接触している部位が長時間圧迫されることなどにより、皮膚の組織に壊死が起こります。
知的機能低下…刺激が乏しい状態が続くと、知的な能力や意慾が低下します。
心肺機能低下…心臓や肺の働きが低下し、疲れやすくなります。

安全に注意して段階的に進める

脳卒中を発症した直後の急性期は、全身状態が不安定で、さまざまな合併症(肺炎、尿路感染症、発熱、消化管出血など)が起こりやすい時期です。このような時期にリハビリテーションを行うことに不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、専門スタッフが状態をきちんと診ながら、リハビリテーションを安全に、段階的に進めれば、合併症の危険性が増すことはほとんどないことが分かっています。

安全にリハビリテーションを行うためには、医師は、「患者さんの脳卒中のタイプや程度、過去の病歴などを把握する」「訓練の前には患者さんの意識レベルを確認する」「訓練の最中も必要に応じて血圧や脈拍、血液中の酸素の濃度などの状態をモニターする」ことなどを行います。

また、脳卒中に詳しい専門的なスタッフが携わることも重要で、最近は「脳卒中ユニット」が注目されています。これは、神経内科、脳神経外科、リハビリテーション科などの専門医や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のほか、社会的な問題をサポートする医療ソーシャルワーカーなどが専門のチームを組んで、脳卒中の患者さんの治療やリハビリテーションなどに当たるものです。

このような脳卒中ユニットによる医療には、「患者さんの自立度が高まる」「入院期間が短くなる」「早期死亡率が低下する」などの効果があることが、さまざまな調査で明らかになってきました。脳卒中ユニットによる医療を行う医療機関は、現在のところまだそれほど多くはありませんが、徐々に増えつつあります。

障害の程度を評価する

急性期リハビリテーションの期間中には、麻痺がある側の運動障害や、麻痺がない側の筋力、言語機能など、さまざまな機能が適宜評価されます。回復期リハビリテーションに進む際にも評価が行われます。これらの評価をもとに、「将来どの程度、手を使えるようになるか」「歩けるようになるか」など、回復をある程度予測することが可能です。その予測から、回復期リハビリテーションの目標が設定されたり、プログラムが作られます。

リハビリテーションの内容

急性期には、主に次のような内容のリハビリテーションが行われます。

●関節可動域訓練

理学療法士や作業療法士などが、腕を上げたり下したりして肩の関節を動かすなど、患者さんの四肢を動かし、関節が固まるのを防ぎます。特に、麻痺のある側の手足は自分で動かすことができず、固まりやすいので、痛みに気を付けながら十分に動かします。発症した当日から行われます。

●座位訓練

理学療法士の介護で体を起こし、ベッドの端に腰かけるように座ります。意識がはっきりしていて、全身状態が安定している場合は、発症した当日から行われます。少しボーっとしていたり血圧が不安定な場合は様子をみますが、多くの場合、数日から1週間以内には始められます。早い時期から座ることで、筋委縮を防ぐと同時に、状態を起こすことに慣れて、立ちくらみが起こらないようにします。

●嚥下障害

まず、飲み込みの状態を調べる検査が行われます。患者さんに造影剤を含む模擬食品を食べてもらい、飲み込む様子をエックス線で撮影し、安全に飲み込める姿勢や食品の性状などを調べます。そのうえで、患者さんに適した方法や食品で、飲み込む訓練が言語聴覚士によって行われます。訓練を開始する時期は、障害の程度によって異なります。食べ物などが気管に入って「誤嚥性肺炎」を起こす危険性が高い場合には、嚥下訓練は行われません。

●立位訓練

麻痺が起きた側の足に装具を装着し、体重をかけて、立位を保つ訓練が行われます。早い場合には、発症1週間から行われます。早い時期から立つことによって、筋力を強化し、身体のバランスをうまく取れるようにします。

●排尿機能について

脳卒中で膀胱の筋肉にも麻痺が起こると、膀胱が弛緩して、たまった尿を押し出すことができなくなります。そのため、膀胱に「バルーンカテーテル」という管を留置し、管から体外に尿が出てくるようにします。

しかし、この状態を長く続けると、排尿の機能が低下するので、最近は一定の時間ごとに管を入れ、導尿したら管を抜く「間欠的導尿」に切り替えることが勧められています。これによって、膀胱が多量の尿で伸びた状態と、空になって縮んだ状態が繰り返され、膀胱の筋肉が収縮する機能が戻ってきます。さらに尿意を感じられるようになり、座位訓練がある程度進んだら、「ポータブルトイレ」などで排尿する訓練が行われます。

まとめ

このように、脳卒中を発症した場合には、すぐにでもリハビリテーションを行う必要があります。これは、今後の回復にも、そしてこれからの生活にもかかわってきますので、しっかり行う必要があります。もし身近に脳卒中を起こしたリハビリテーションをしたことのある人がいるなら、実際にどのようなことをしたのか聞いておくといいでしょう。



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