糖尿病と薬物療法養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.10.26

基本治療と最新治療

糖尿病の治療では「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を6.5%未満に下げる」ことを目指して、血糖コントロールをしていきます。血糖コントロールで大切になるのは、「食事療法」と「運動療法」です。これはどの段階の糖尿病でも行う基本になるものです。これを行っても十分に血糖をコントロールできない場合には「薬物療法」を加えます。薬物療法で最初に使われるのは「のみ薬」です。薬をのんでもコントロールができない場合には、「インスリン療法」を開始します。また、最近では新しい薬が登場し、早い段階から薬物治療を始めるケースもありますので、今回は従来行われてきた基本治療と、新薬についてを勉強していこうと思います。

高血糖の悪循環を防ぐ

インスリン療法で使うインスリンは、「すい臓」から出てくるホルモンで、血糖値の変動に深く関わっています。遺伝的な体質によってインスリンの分泌能力が低下する「インスリン分泌不全」と肥満などでインスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が重なることで血糖値が上がります。

血糖値が高い状態(高血糖)が続くと、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性が悪化し、血糖値がさらに上がるという悪循環が起こります。これを「ブドウ糖毒素」といいます。この悪循環から抜け出すためには、適切な薬物療法を行う必要があります。

のみ薬の種類

●インスリン分泌促進薬

インスリンの分泌量が不足している場合に使います。

「スルホニル尿素薬」は、すい臓を刺激してインスリンの分泌を促し、空腹時の血糖値を下げます。「速効性インスリン分泌促進薬」は、食事の直前にのむことで、インスリンの分泌のタイミングを速めて、食後に血糖値が上昇するのを抑えます。服用後10分ほどで効果が現れます。どちらの薬も効きすぎると「低血糖」を起こすことがあります。

●インスリン抵抗性改善薬

インスリンの効き目がよくない場合に使います。

「チアゾリジン薬」は、筋肉や肝臓などでのインスリンの働きをよくします。「ビグアナイド薬」は、肝臓でブドウ糖が作られるのを抑えます。副作用にはチアゾリジン薬の「むくみ」や「体重増加」、ビグアナイド薬の「下痢などの消化器症状」があります。

●食後高血糖改善薬

食後の血糖値の上昇を緩やかにする薬です。

「α‐グルコシダーゼ阻害薬」は、食事の直前にのむと、食事に含まれる糖分の吸収を遅くする働きがあり、食後の高血糖を改善します。副作用として「おなかが張る」ことがあります。

●薬をのむときの注意点

のみ薬は種類によって作用の仕方がさまざまで、のみ方も異なります。服用時間を守り、食事は適量を規則正しくとりましょう。食事量の変動が大きいと、薬によっては低血糖を起こすことや、十分な効果が得られないこともあるためです。

薬について医師からよく説明を聞き、のみ薬をのみ忘れたときの対処法なども聞いておきましょう。薬をのんで副作用が現れたときも、医師に相談するようにしましょう。

インスリン療法

のみ薬で血糖値を十分にコントロールできない場合に使います。インスリン製剤を直接皮下に注射して補うので、早く確実に血糖値が下がります。

●インスリンの種類

すい臓からのインスリン分泌には「基礎分泌」と「追加分泌」があります。

基礎分泌は、血糖値が長時間にわたって一定になるようにするための分泌です。これを補うインスリン製剤には、「持効型」と「中間型」があります。追加分泌は食事による血糖値の上昇を抑えるための分泌です。これを補うインスリン製剤には、「超速効型」と「速効型」があります。短時間で効果が現れますが、作用時間も短いのが特徴です。また、基礎分泌と追加分泌の両方を補う働きを持つ「混合型」もあります。

使うインスリン製剤の種類と量は、患者さんの食前と食後の血糖値を確認して、健康な人のインスリン分泌パターンに近づけるようなものを選びます。インスリン製剤は、決められたとおりにしっかりと使うことが大切です。

低血糖に気を付けよう

低血糖というのは、血糖値が下がりすぎた状態のことです。軽い場合は「強い空腹感、生あくび、ふらつき」などが現れ、重症になると「立っていられない、意識がもうろうとする」などの症状や「異常行動」が起き、命にも係わります。

低血糖が起きた場合は、すぐにブドウ糖、砂糖、ジュースなど糖分の入った飲料で糖分を補う必要があります。α‐グルコシダーゼ阻害薬を使っている場合は、ブドウ糖でないと速やかに血糖値を回復させることができません。また、外出時には「糖尿病手帳」を持ち歩くようにしましょう。頻繁に低血糖が起こる場合には、担当医に相談してみましょう。

新薬「インクレチン関連薬」について

インクレチンとは、小腸などから分泌される、インスリンの分泌を促す作用があるホルモンの総称です。近年、インクレチンの一種「GLP-1」を分解する酵素の働きを阻害する薬や、分解されにくい形のGLP-1を使った薬が新しく登場しました。これらの薬は、低血糖を起こしにくいというメリットもあります。

インクレチン関連薬はすい臓を保護し、インスリンを分泌する機能を回復させる働きも期待されるため、早くから用いることで、よりよい改善が期待されています。従来の治療法では、まず生活習慣を行い、効果がない場合にのみ薬を追加し、さらに効果がない場合にインスリン療法を行っていました。しかし、長い目で見ると糖尿病は徐々に進行しているかもしれません。そこで最近では、早い段階から薬物療法を積極的に取り入れて、血糖値を良い状態に保つことでインスリンを分泌するすい臓の機能を維持しようという考えも出てきています。

まとめ

このように糖尿病は薬物療法だけでもさまざまな治療法があります。糖尿病は生活習慣病になりますので、日々の生活を見直してみて、生活習慣を改善しながら自分に合った薬を服用することが大切です。薬物療法を開始する時期も含めて、しっかりと医師と話し合いながら、患者さんが主体になって治療を続けていくことが大切です。くれぐれも自覚症状がないからといって、自分の判断だけで治療を中断しないようにしましょう。



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