がんと放射線療法養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.10.15

放射線療法について

がんの治療には主に手術や放射線療法、薬物療法が行われることになります。その中でも最近は、がんを切らずに治す治療法として放射線療法が注目されています。しかし、放射線と聞くと、まず原発事故による放射線をイメージしてしまい、「怖い」と思ってしまう人が多いかと思います。ですが、がんの治療法として有効な面も大きいため、「絶対に利用しない」のは治すチャンスを失ってしまうことにもなってしまいます。そこで今回は、がんに対する放射線療法の方法についてを勉強していこうと思います。

放射線にはがん細胞の遺伝子を損傷する働きがあります。そのため、がん細胞に放射線が当たると、がん細胞は増殖できなくなり、がんが小さくなったり、死滅したりします。

放射線はがん細胞だけでなく、正常な細胞にもダメージを与えます。しかし、正常な細胞はがん細胞よりも放射線に対する感受性が弱いため、損傷の程度が軽く、そのほとんどはやがて回復します。放射線療法では、こうしたがん細胞と正常な細胞の放射線に対する感受性の差を利用して、がんを治療していくのです。

●放射線治療の目的

放射線治療には、「治癒」と「緩和」の2つの目的があります。

・治癒
がんを完全に治すことを目指します。現在、「脳腫瘍」、喉頭がんや舌がんのようにのどや首、顔にできる「頭頚部がん」、「食道がん」「肺がん」「前立腺がん」「子宮頸がん」「悪性リンパ腫」などで、治癒を目指す標準的な治療の1つとして放射線が利用されています。

・緩和
がんに伴う痛みを和らげて、生活の質を高めることを目指します。神経や血管を圧迫しているがんに放射線を当てると、がんが小さくなるので、「痛み」や「麻痺やしびれなどの神経症状」を軽減することができます。また、がんの骨転移による痛みの緩和や、弱くなった骨の骨折予防にもなります。

放射線治療には、大きく分けて「外部照射」「密封小線源治療」「放射性同位元素による治療」の3つの方法があります。放射性同位元素による治療は、今のところ「甲状腺がん」や「甲状腺機能亢進症」に限って行われています。

外部照射について

最も多く行われているのが、体の外側から放射線を当てる外部照射で、放射線治療の約90%を占めます。外部照射では、エックス線写真や電子線などが使われます。エックス線が食道や子宮など、体の深い部分の治療に使われるのに対して、電子線は皮膚や首などの体の浅い部分に用いられます。

外部照射では、あおむけに寝た患者さんのまわりを、放射線を発する「ガントリー」という装置が回りながら、放射線を当てていきます。放射線は、極力がんだけに当たるように調節しますが、患者さんがいつでも同じ姿勢や位置で横になうことができるとは限りません。また、がんが首より下にある場合、呼吸や腸の動きなどによって、がんの位置が変動することがあります。そこで、そうした誤差を見越して、がんのまわりに1.5~2cmの余裕を持たせながら、できるだけがんの形に沿って照射します。治療は週5日のペースで約1~2か月間程度行われます。1回の治療時間は、通常10分程度です。

進歩する外部照射

通常の外部照射でも、かなりがんに的を絞った照射をできますが、最近は「定位放射線治療」や「強度変調放射線治療」のように、よりピンポイントに放射線を当てる外部照射も行われています。

定位放射線治療はもともと脳腫瘍に行われていましたが、動く臓器に対応できる装置が日本で開発されて、肺がんや肝がんのように呼吸で位置が変わるがんにも行われるようになっています。

●肺がんの定位放射線治療

それぞれの患者さんの体に合わせた固定具をつくって、体を固定してがんに的を絞ります。肺は呼吸によって動くので、カメラで呼吸を監視して、呼吸の一定のタイミング、例えば息を吐いたときに放射線を照射するようにコンピュータで調節します。この治療に使う機器では、患者さんが横になるベッドやガントリーが360度回転するので、さまざまな方向からがんに集中して照射できます。

この方法では、大量の放射線をがんに集中的に当てられるので、高い治療効果が期待できます。誤差は約5mmとされ、従来の方法に比べると正常な細胞に当たる放射線量は減るため、副作用は少なくなります。治療成績は、がんが肺にとどまる「Ⅰ期」の肺がんならば手術と同程度です。治療には健康保険が適用されます。

密封小線源治療

密封小線源治療では、放射線を発生する「線源」を、がんやがんの周囲に入れて、体の内側から照射します。より副作用の少ない放射線治療で、「腔内照射」と「組織内照射」の2つがあります。

腔内照射は、食道や胆管、子宮のように、もともと体にある空間に線源を送り込んで治療を行います。組織内照射は、がん組織に線源を挿入して行う治療法で、「高線量率組織内照射」と「ヨード線源挿入」があります。ここでは一例として、舌がんの高線量率組織内照射を説明します。

●舌がんの高線量率組織内照射

麻酔をかけて、中が空洞の直径約0.6mm、長さ約20cmの「アプリケータ」を下顎から刺して、舌がんに挿入します。挿入する本数は、がんの大きさなどによって異なります。装置から出るチューブを、がんに挿入したアプリケータにつなぎ、「イリジウム」という高エネルギーの線源を、がんに送り込んで照射します。照射が終わると、体内に線源は残りません。1日2回、5日間程度続けて照射を行います。アプリケータは治療終了まで抜かずに留置しておきます。

高線量率組織内照射は、がんに集中して放射線を当てるので、味覚や発音などの舌の機能をほぼ保ったまま治療できます。健康保険も適用でき、舌がんや乳がん、前立腺がんをはじめとして、多くのがんの治療に用いられています。

まとめ

このように放射線は人体に強い影響を与えますが、治療に生かすことも可能です。放射線療法に限った話ではありませんが、治療というのは必ず効果と副作用が出てきます。そのため、体全体の状態を診ながら治療のメリットとデメリットを総合的に判断して、一番メリットの大きい治療法を選択することになります。当然その判断は医師だけでなく患者さんの判断も必要になりますので、しっかりと話し合って治療法を決めていきましょう。



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