乳がんが再発・転移した場合養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.25

再発・転移した場合

乳がんに対して手術を行い、再発予防もきちんと行っても、がんが再発したり転移したりすることがあります。しかし、再発や転移したとしてもあきらめる必要はありません。再発した場合でも治療を続けながら、生活を楽しんでいる患者さんも少なくありません。そこで今回は、再発や転移した時のことを勉強していこうと思います。

乳がんの再発のほとんどは、手術後5年以内に起こります。最も多いのは手術後2~3年以内です。しかし、乳がんは進行の遅いがんで、10年以上たって再発することもあります。

現在、乳がん全体の3~4割に再発が起こっていますが、治療法の進歩によって、将来的には再発率は低下すると考えられています。

再発には、主に残した乳房にがんができる「局所再発」と、ほかの臓器にがんができる「遠隔転移」の2つがあり、それぞれで治療法が異なります。また、「再発した場所」「症状」「再発までの時間」「ホルモン感受性の有無」「HER2たんぱくが多い(強陽性)かどうか」「閉経状況」などに合わせて治療法を選ぶことができます。

●局所再発の場合

残した乳房に再発した場合は、手術でがんを切り取ります。部分的に切除することもありますが、乳房全体を切除するのが一般的です。そのあと、最初に乳がんができたときと同様に、ホルモン療法や化学療法をしていきます。

乳房全体を切除した後に、がんが皮膚に散らばったようになることがありますが、これは遠隔転移の1つとして考えます。このようながんを切除しても、また同じようにできることが多いので、手術ではなく放射線療法やホルモン療法、化学療法から治療法を選ぶことになります。

●遠隔転移の場合

がん細胞が血管やリンパ管を流れて、骨、肺、肝臓、脳などにがんができることがあります。例えば肺や脳にできた場合でも、乳がんが場所を変えてできたものとして考えて、肺がんや脳腫瘍ではなく、乳がんに対する治療が行われます。

また、今のところ、遠隔転移した乳がんを完全に治すことは難しく、「がんの進行を遅らせる」「痛みを緩和して生活の質を維持する」の2つが、治療の目的になります。例えば、糖尿病や高血圧などの慢性疾患と同じように、病気と共存しながら通常の生活を長く送れることを目指します。

痛みを緩和する治療は、以前はがんがかなり進行してから始めていましたが、最近では緩和ケアを専門とするスタッフがいる医療機関が増えたこともあり、早い時期から始めるようになってきています。また、痛みを緩和することで延命効果があることもわかっています。

・自覚症状が現れた場合

遠隔転移した場合の自覚症状には、次のようなものがあります。

骨の痛み(骨に転移)
息切れ、咳(肺に転移)
腹部の張り、みぞおちの圧迫感(肝臓に転移)
頭痛、めまい(脳に転移)

このような自覚症状が現れてから治療を開始しても、遅すぎることはありません。ただし、症状が強くなってからでは、生活の質を維持することが難しくなることもあるので、自覚症状に気付いたら詳しい検査を受けて、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。

進行を抑える治療

遠隔転移した乳がんに対しては、主に薬物療法で進行を抑えます。遠隔転移に対する薬物療法には、「ホルモン療法」「化学療法」「分子標的治療薬」があります。生活の質を維持するためには、副作用の少ない治療法から選ぶことが重要です。

まず勧められるのが、脱毛や吐き気などの強い副作用が起こりにくいホルモン療法です。この治療法は「ホルモン感受性」がある場合に使います。

最近は、副作用の少ない分子標的治療薬も使われるようになってきています。分子標的治療薬が使われるのは、ホルモン感受性がなく、がん細胞の表面に「HER2たんぱく」が強陽性の場合です。「トラスツズマブ」という分子標的治療薬が使われるようになって、遠隔転移した乳がんの治療が格段に進歩しました。これに化学療法を併用すると、さらに効果的であることがわかっています。

ホルモン感受性がなく、HER2たんぱくが強陽性でない場合には、化学療法をしていきます。

●分子標的治療薬について

分子標的治療薬とは、病気にかかわる特定の分子だけを標的にして、作用を及ぼす薬のことです。

乳がんでは、がん細胞の表面に、HER2たんぱくという特殊なたんぱく質が多くある場合とそうでない場合があり、HER2たんぱくが多い場合は増殖のスピードが速いという特徴があります。転移した乳がんの約2~3割が、HER2たんぱくが多いタイプといわれています。

このHER2たんぱくを標的にして、がん細胞の増殖を抑えるのがトラスツズマブです。この薬で副作用が起こりにくいのは、がん細胞だけを集中的に攻撃するからです。

なお、トラスツズマブは、心臓の働きに影響することがあり、治療中は定期的に心臓の検査を受けることが必要です。また、最初に薬を使ったときに、「発熱、悪寒」が起こることがあります。

●放射線療法

骨や脳に転移した場合などに、放射線療法が行われることがあります。

骨に転移すると痛みが起こりますが、放射線療法によって、進行が抑えられると同時に、痛みも軽減されます。脳の場合にも、がんが小さくなり、頭痛などの症状の軽減にも有効とされています。

まとめ

このように、再発、転移した場合でもそれぞれの患者さんに合わせて治療していきます。再発・転移した場合の治療は、長い期間かかりますので、患者さんと医師の信頼関係が重要になってきます。患者さん側からも遠慮せずに積極的にコミュニケーションをとるようにしていきましょう。

また、治療法は日進月歩の勢いで新しく開発されています。今後も新しい分子標的治療薬などが登場すると思います。あきらめたりせずに治療に取り組むことが大切です。



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