乳がんの再発予防養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.24

手術後の治療

乳がんは検診によって見つけたがんを取り除けばそれでおしまいというわけにはいきません。なぜなら再発の危険性があるからです。がんはすべて切除したつもりでも目に見えないがん細胞が残っていて再発することもあります。そのため、手術の後にも再発予防の治療を行うのが一般的です。

手術後の治療法には、局所治療としての「放射線療法」と、全身治療としての「薬物療法」に分けられます。また、薬物療法には、「ホルモン療法」と「化学療法」があります。

なかには、がんが乳管や小葉の中にとどまっている状態の「非浸潤がん」で、手術で確実に切除できたと判断できるなど、手術後に治療の必要がないと考えられる場合もあります。しかし、再発の可能性があると考えられる場合には、自分に適した治療を受けることが重要です。

放射線療法

放射線療法とはがん細胞に一定量の放射線を照射することで、細胞の遺伝子に障害を与え、増殖を抑えたり、死滅させたりする治療法です。

手術後に放射線療法が必要とされるのは、次の2つの場合です。

・乳房温存手術を受けた場合

手術を受けた乳房全体に放射線が照射されます。治療期間は5~6週間で通院して治療していきます。

・乳房切除術を受けて、リンパ節転移が4か所以上あった場合

乳房を切除した後の胸壁や、首の付け根(鎖骨の上)のリンパ節に照射します。治療期間は約5週間です。

海外での調査では、乳がんで乳房温存手術を受けた人の10年後の再発率が、放射線療法を受けたグループでは約10%ですが、受けていないグループでは約35%と大きな違いが出ています。

放射線療法の副作用は、主に放射線を照射した部位の皮膚に現れます。すぐに起こる「急性障害」の多くは皮膚症状で、皮膚が日焼けしたように赤黒くなったり、ひりひりしたりします。治療終了後6か月~数年後に起こる「晩期障害」としては、「皮膚の色調変化や萎縮」「皮下組織の硬化」などがあげられます。最近は、治療の安全性が高まっていて、重い晩期障害は起こりにくくなっています。

薬物療法

乳がんでは、がん細胞が血管やリンパ管に流れて、骨、肺、肝臓などに転移することがあります。ほかの臓器への転移を防ぐためには全身に対する治療が必要で、ホルモン療法や化学療法などの薬物療法が行われます。

薬物療法の内容は、「がん細胞の性質、リンパ節転移の数、しこりの大きさ、閉経の前か後か、年齢」などから検討されます。特に、次のようながんの性質に合わせた治療法を選ぶことが大切です。

・ホルモン感受性の有無

「ホルモン感受性」とは、女性ホルモンの一種「エストロゲン」を取り込んで増殖する性質のことです。乳がん全体の約60%にホルモン感受性があるといわれていて、このタイプの乳がんには、ホルモン療法が有効です。

・HER2(ハーツー)たんぱくの強陽性

がん細胞の表面に「HER2たんぱく」という特殊なたんぱくが多い場合(強陽性)には化学療法が有効です。

・悪性度

悪性度は「がんの顔つき」ともいわれていて、顕微鏡で見たがん細胞の核の形などから分類されます。この悪性度が高い場合には、化学療法が有効です。

ホルモン療法

乳がんでホルモン感受性があるタイプの患者さんが受ける治療法です。再発の危険性が中程度でホルモン感受性がある場合は、ほとんどの患者さんがホルモン療法を受けています。また、化学療法の後にホルモン療法を受けることもできます。

ホルモン療法は、次の3種類の薬が使われています。

・LH-RHアゴニスト製剤

主に閉経前の患者さんに使われる注射薬で、エストロゲンの分泌を抑える作用があります。治療期間は約2年間で、1か月に1回通院して皮下注射を受けます。副作用で「ほてり、イライラ」など更年期障害に似た症状や、「手のこわばり」などが起こることがあります。

・抗エストロゲン剤

閉経前と閉経後にどちらにも有効な内服薬で、がん細胞にエストロゲンが結合するのを妨げて、がんの増殖を抑える作用があります。治療期間は約5年間で、多くは1日1回服用します。子宮体がんを起こす可能性が高くなるといわれていますが、あまり心配する必要はなく、1年に1回検査を受けるようにしておけばいいでしょう。

・アロマターゼ阻害薬

主に閉経後の患者さんに使われる内服薬です。閉経後に卵巣の働きが衰えると、脂肪細胞から分泌される「アロマターゼ」という酵素が、男性ホルモンをエストロゲンに作り替えるようになります。この薬は、アロマターゼの働きを妨げてエストロゲンが作られるのを抑えます。治療期間は約5年間で、多くは1日1回服用します。アロマターゼ阻害薬はまだ新しい薬で、長期に服用した場合の副作用についてはわかっていませんが、骨密度が低下して骨粗鬆症が起こりやすくなると考えられています。また、副作用として関節のこわばりが現れ、これが関節リウマチと間違われることもあります。

化学療法

化学療法とは、「抗がん剤」を使ってがん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする治療法です。抗がん剤にはさまざまな種類があり、2~3種類を組み合わせて使います。抗がん剤の多くは注射薬で、通院して点滴を受けます。治療期間は3~6カ月間です。

抗がん剤は、正常な細胞にも影響を与えるため、「吐き気、脱毛、白血球減少、便秘、下痢、爪の異常(変色したり、割れやすくなる)、手足のしびれ、味覚異常、むくみ」など、さまざまな副作用が起こることがあります。

副作用は一時的なもので、治療が終わると数か月で症状が改善し、元の状態に戻ります。また、最近は副作用の対策も進んでいます。無理なく治療を続けられるように、吐き気を抑える薬や白血球を増やす薬などを使って、患者さんを支える「支持療法」が積極的に行われています。

ただし、副作用の現れ方には個人差が大きく、副作用が非常に強い場合には、「現在の生活を犠牲にしてまで、起こるかどうかわからない再発を防ぐ治療をする必要はない」と考えて、治療の変更を考える場合もあります。

化学療法は、最近は手術前に行われる例も増えています。しこりが大きい場合には手術前に化学療法を受けることで、しこりが小さくなり、乳房温存手術が可能になることがあります。

まとめ

がんの手術はどんなに上手にしても、再発の危険性があります。そのためにも再発予防は患者さんの状態に合わせた方法を選んで治療していきましょう。治療を受けるときには、あらかじめ今後の予定や副作用について医師としっかり話しておき、患者さんが主体になって治療を進めていくことが大切です。



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