乳がんの手術法養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.23

手術療法について

乳がんは、女性にとって身近ながんであるといえます。しかし、早期発見できれば、治療によって治りやすいため、日々の自己検診に加えて定期的な乳がん検診を受けることが大切です。

検診によってがんが見つかったときは、がんの状態に合わせて適切な治療を行う必要があります。乳がんの治療には、「手術療法」「放射線療法」「薬物療法(ホルモン療法、化学療法)」などがあり、患者さんの病状に合わせた組み合わせで治療が進められます。今回は、このうち「手術療法」を中心に勉強していこうと思います。

手術療法は、主にがんとその周囲だけを切り取って乳房を残す「乳房温存手術」と、乳房全体を切り取る「乳房切除術」があります。

以前は、乳房切除術が多く行われていましたが、画像診断の進歩や、チーム医療の普及で病理医との連携が密になったことなどによって、乳房を残せるケースが増えてきています。日本では現在、乳房温存術が手術療法の約半数を占めています。

手術法の選び方

手術療法で重要なのは、「がんをきちんと切除する」ことです。また、手術後の乳房の外見上の変化を考慮することも大切です。切除範囲は、がんの「「大きさ」「広がり」「数」「位置」や、「リンパ節転移の有無」「ほかの臓器への転移の有無」などによって異なります。例えば、がんが乳管に沿って広がっていたり、複数のがんが離れた位置にある場合には、広い範囲切除することが多くなります。

がんがきちんと切除でき、しかも、満足できる形の乳房が残せる場合には、乳房温存手術を選択できます。満足できる形の乳房が残せない場合や、乳房温存手術ではがんをきちんと切除できない場合は、乳房切除術を選択することになります。

一般に、乳房温存手術は、「しこりの大きさが3cm以下」の場合に適するとされています。しかし、手術前に薬物療法を行ってがんを小さくすれば、乳房温存手術が可能になることもあるので、希望する場合は医師に相談してみましょう。現在、乳房温存手術では、できるだけ小さく、がんとその周囲1~2cmを取り除くように、円状に切除する方法が主流となっています。

なお、乳房温存手術では、残った乳房内にがんが再発する危険性があります。手術では、取り残しがないように切除しますが、目に見えないがんの細胞が残っている可能性を考え、乳房温存手術のあとに放射線療法を行うのが標準的な方法です。

手術後の変化

乳房切除術を受ければ乳房を失いますし、乳房温存手術の場合にも乳房の外見には変化が生じます。このような変化にどうやって対応するかも、あらかじめ考えておきましょう。

乳房切除術の場合は、形成外科の手術で乳房を再建することができます。

乳房温存手術の場合は、手術後の放射線療法によって皮膚が固くなってしまうため、再建手術を行うのは難しいといえます。そのため、乳房温存手術の場合は、手術後に周囲の脂肪細胞や乳腺を移動させて、乳房の形を整えます。多くの患者さんが、手術後の乳房の形に満足していますが、切除範囲の大きさによっては、手術前とは形が大きく変わることもありますので、手術後の変化を事前に医師に確認しておくのも大切です。

また、がんの位置によっては、乳輪のへりや、乳房のわきを切開するなど、傷痕を目立たないようにすることも可能です。切開の位置を確認し、「胸元の空いた服を着たときに目立たないようにしたい」などの希望を前もって伝えておくのもよいでしょう。

乳房の再建

乳房切除術後の再建手術には、「人工物(シリコンなど)を用いる方法」と「自家組織を移植する方法」があります。また、手術の時期によって、乳房切除術と同時に行われる「Ⅰ期再建」と、期間を開けて行われる「Ⅱ期再建」に分けられます。

人工物を用いる方法は、1回目の手術で袋状の組織拡張器を挿入して皮膚を徐々に伸ばし、2回目の手術で組織拡張器を取り出してシリコンに入れ替える方法などがあります。人工物は、体にとっては異物であるため、周囲に被膜が生じて固くなるなどの合併症が起こることがあります。

自家組織を移植する方法では、自分のおなか、あるいは背中の組織が使われます。この方法ではおなかや背中に傷痕が残ります。

また、「Ⅰ期再建」は、手術の回数が少なく、自家組織を移植する方法なら1回で済むので、乳房の喪失感は少ないといえます。しかし、がんの手術までの限られた時間に、がんについて考えるのと同時に、再建についても考える必要があるという短所があります。「Ⅱ期再建」は、いつでも再建手術を受けられるため、時間をかけて再建について考えることができますが、手術の回数が多くなるという欠点もあります。

後遺症を防ぐ

乳がんの場合、乳房に近いわきの下のリンパ節に転移が起こりやすいので、昔の手術療法ではわきの下のリンパ節をすべて切断していました。その結果、「腕のむくみ」などの後遺症が起こりやすく、手術療法の問題点とされていました。しかし、最近は、「センチネルリンパ節生検」でリンパ節の切除が必要かどうかを調べることにより、後遺症を避けられるケースが増えてきています。

「センチネルリンパ節」とは、わきの下に数多くあるリンパ節のうち、最初にがんの細胞が到達するリンパ節のことです。手術中にこのリンパ節を探して切除し、がんの細胞の有無を顕微鏡で調べます。がん細胞が見つからなかった場合は、リンパ節転移は起きていないと判断して、他のリンパ節は残します。がん細胞が見つかった場合は、他のリンパ節を切除します。

まとめ

今回は乳がんに対しての手術療法について勉強してきました。どのがんでもそうですが、手術する際にはがん細胞をすべてとってしまう必要があります。しかし、女性にとって乳房がなくなるというのは、思った以上に喪失感が大きいものです。今は乳房を残したり、再建する技術が進んでいますので、手術するときは納得いくまで医師と話し合うことが大切です。胸元の空いた服を着たいと考えている人は、その服を実際に持っていき傷痕が隠れるように手術してもらうのもいいでしょう。がんといわれるとショックで呆然となるでしょうが、一度落ち着いて今後のことも考えるのが大切です。



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