パーキンソン病の治療薬養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.7

症状を改善する

パーキンソン病は今もって原因がはっきりと分からない難病です。そのため、これを飲めば治るという効果のある薬はありません。治療の目的は、不足している脳内の神経伝達物質である「ドパミン」を補い、症状を改善させることです。また、補うだけでなく、いろいろな機序の薬があるので、今回はパーキンソン病に使用する治療薬について勉強していこうと思います。

ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体刺激薬)

ドパミンを受け取る「ドパミン受容体」と結合することによって、ドパミンの代わりに働きます。L-ドーパ製剤には及ばないものの、症状全般を改善する効果があり、副作用が比較的軽く、長く使い続けても作用時間が短くなることがありません。L-ドーパ製剤と比べると、効果が現れるまでには時間がかかりますが、効果が長続きします。パーキンソン病初期の治療では、まずこのドパミンアゴニストを使用するのが基本になります。

また、この薬は2つの系統があり、麦角系(ばっかくけい)の「メシル酸ブロモクリプチン」「メシル酸ペルゴリド」「カベルゴリン」と、非麦角系の「塩酸タリペキソール」「塩酸プラミペキソール水和物」「塩酸ロピニロール」という薬があります。

・副作用

麦角系では吐き気、嘔吐などの消化器系の副作用が現れやすく、長く使っていると心臓の弁の障害が起こることもあるため、定期的に心臓の検査も行います。非麦角系の薬では消化器系の症状は少ないのですが、眠気が起こることがあります。いずれも長期的に使用していると、幻覚、妄想、興奮などが現れることがあります。

L-ドーパ製剤(ドパミン補充薬)

ドパミン単独の「レボドパ」と、L-ドーパに「末梢性ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)」を配合した合剤の「レボドパ・カルビドパ」「レボドパ塩酸ベンセラジド」という2種類の薬があり、今は合剤がよく使われています。

L-ドーパは脳内に入ると、脳内の「ドパ脱炭酸酵素」の働きでドパミンに変わって、不足を補います。合剤に含まれているDCIは、脳に届く前にドパ脱炭酸酵素が働くのを抑えることで、より無駄なくL-ドーパを脳内に送り込むことができます。

・副作用

吐き気、嘔吐、食欲不振、不随意運動、幻覚、妄想、興奮といった精神症状などが現れることがあります。また、長く使っていると薬の効いている時間が短くなり、症状の「日内変動」などの問題が出てくることもあります。

モノアミン酸化酵素B阻害薬

ドパミンを分解する「モノアミン酸化酵素」の働きを抑えて、脳内でのドパミンの分解を遅らせる薬です。ドパミンを温存させて、その作用を強めようとするもので、「塩酸セレギリン」という薬があります。

L-ドーパ製剤の長期使用で薬が効いている時間が短くなってきたときに、これを併用する形で使われます。

・副作用

幻覚や不随意運動などが現れることがあります。

ドパミン分泌促進薬

ドパミンの放出を促す薬として、「塩酸アマンタジン」が使われます。症状全般の改善が期待でき、L-ドーパ製剤やドパミンアゴニストで歩行障害や動作緩慢が十分に改善できない場合に併用されます。

また、ごく初期で、症状が軽い歩行障害や動作緩慢だけの人に用いられることもあります。

・副作用

時に幻覚が現れることがあるので、認知症のある人には使用を避けたほうがよいでしょう。

抗コリン薬

ドパミンが減ると線条体が「アセチルコリン」という神経伝達物質を過剰に分泌するようになり、バランスが崩れて運動機能がうまく働かなくなります。抗コリン薬はアセチルコリンが受容体に結合するのを妨げ、振戦や筋固縮を改善します。

「塩酸トリヘキシフェニジル」「塩酸ビペリデン」「塩酸ピロヘプチン」「塩酸プロフェナミン」「塩酸マザチコール」「塩酸メチキセン」という薬があり、パーキンソン病の治療には、塩酸トリヘキシフェニジルが最もよく使われています。

通常、震えが強く、L-ドーパ製剤やドパミンアゴニストでは改善できない場合に併用されます。病気の初期で、症状が震えだけの場合にも使うことがあります。

・副作用

食欲低下、腹部不快感、幻覚、妄想、興奮などが現れることがあります。また、隅角の狭い緑内障の人には使えません。

ノルアドレナリン前駆物質

パーキンソン病を発症後、時間がたつにつれて、脳内の「ノルアドレナリン」という神経伝達物質も減少し、すくみ足などの症状がでることがあります。この薬は脳内でノルアドレナリンに変換されて、不足分を補います。「ドロキシドパ」という薬があり、主にL-ドーパ製剤を長期間使用した後に出てくるすくみ足の改善に用いられます。副作用で食欲不振や幻覚などが現れることがあります。

長期使用の問題点

●日内変動

長期間の治療のなかで起こる問題のうち、特に多いのが「ウェアリング・オフ」と呼ばれる現象で、L-ドーパ製剤の効いている時間が短くなり、服用後2~3時間で薬の効果が薄れて体が動かなくなります。急激に症状がよくなったり悪くなったりする「オン・オフ」現象が起こることもあります。

●運動症状

勝手に手足などが動く「ジスキネジア」や、足の指などが曲がる「ジストネジア」などの不随意運動、歩き始めの足が出にくい「すくみ足」などが現れることがあります。

●精神症状

幻覚、妄想、興奮、うつ状態、認知症、睡眠障害などが現れることがあります。

●自律神経症状

吐き気や食欲不振などの消化器系の症状をはじめ、起立性低血圧、便秘、頻尿、疲れやすさなどの症状が現れることがあります。

●悪性症候群

服薬を急にやめたときなどに、高熱、意識障害、筋肉の急激な固縮や壊死などが起こり、場合によっては命にかかわることもあります。

まとめ

このようにパーキンソン病の治療では、患者さんの進行度や症状に合わせて薬を選択して使用していきます。薬は長期間使うことも多く、その途中で副作用がでることもよくあります。またここに書かれている以外の症状が薬の副作用によって出ている可能性もあります。何か気になる症状がある場合にはしっかりと医師と相談して薬の調整を行い、自分に合った治療をしていくことが大切です。



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