食道がんの治療法養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.4

進行度に合わせた治療法

食道がんとはどのような病気か勉強してきました。食道がんはその周囲に血管やリンパ節がたくさんあるため、転移しやすいのが問題です。転移の有無など、進行度によって治療法が変わってきますので、今回は食道がんの治療法について勉強していこうと思います。

内視鏡的切除術

一般に、がんが食道の粘膜上皮~粘膜固有層にとどまっていて、リンパ節やほかの臓器に転移していない場合には、「内視鏡的切除術」が行われます。この方法では口から食道に内視鏡を送り込んで、病巣を観察しながら、がんを取り除きます。内視鏡的切除術には、次のような方法があります。

●EEMRチューブ法

透明なチューブでがんを含む粘膜を吸引し、粘膜ごとがんを焼き切ります。

まず、内視鏡にチューブをかぶせて食道に入れていき、がんの下の粘膜下層に生理食塩水を入れ、がんを盛り上がらせます。そこにスネアというループ状のワイヤーをかけて、チューブでがんを覆い、がんをチューブ内に吸引します。そしてスネアでがんの根元を締め付けて、電流を通し焼き切ります。最後に内視鏡についている鉗子(かんし)でがんをつかんで取り出します。

この方法ならば2チャンネル法やキャップ法よりも、組織を大きくとることができます。

●2チャンネル法

がんの下の粘膜下層に生理食塩水を注入して隆起させます。それを鉗子でつかみ、スネアをかけて締め上げ、電流を通して粘膜ごとがんを焼き切ります。こちらはチューブを使わずに行います。

●キャップ法

鉗子を使わずに、内視鏡の先端に装着した透明なキャップの中に、隆起させた粘膜を吸引して焼き切ります。

●内視鏡的粘膜下層剥離術

前述の3つの方法とは異なり、電気メスを使って粘膜の下の粘膜下層ごと剥ぎ取る方法です。スネアをかけられない大きながんにも対応することができますが、治療時間は長くなります。

早期であればこれらの内視鏡的切除術でほぼ治ります。早期発見のためには、自治体や職場の定期検診をきちんと受けることが大切です。現在は胃の内視鏡検査やエックス線検査の際に食道も一緒に調べるようになっています。

外科手術

がんが粘膜を超えて広がっていたり、リンパ節転移がある場合には、外科手術が行われます。食道がんの手術はほかのがんと比べても難しく、また発生部位によって手術のしかたが大きく異なります。食道は上から頚部・胸部・腹部の3つに分かれていますので、それぞれの違いについてみていきましょう。

●頚部食道がんの場合

頚部を切開して、頚部食道とリンパ節を切り取ります。一般に頚部食道がんは胸部や腹部のリンパ節に転移することは少ないので、通常はリンパ節だけを切除します。切除後は飲食物の新しい通り道を作るために、食道の再建が行われます。がんが頚部食道に限られている場合は、小腸を10cmくらい切り取り、「咽頭」(のど)と胸部食道の間に挟んでつなぎ合わせます。

頚部食道がんの手術では、再発を防ぐために、下部咽頭や気管の入り口にある「喉頭」も切除することが多くなります。喉頭には声帯があるため、喉頭を切除すると声が出せなくなってしまいます。

最近は、手術後の生活の質(QOL)を維持するために、できるだけ喉頭を残すような手術が行われています。しかし、喉頭に近い食道の前壁側にがんがあったり、背中側にある場合でもがんが大きければ、喉頭も一緒に切除することになります。

●胸部食道がんの場合

日本人の食道がんは過半数を「胸部食道がん」が占めています。頚部や腹部のリンパ節にも転移しやすいので、頚部・胸部・腹部の3つの領域のリンパ節を切除するという大掛かりな手術が必要になります。

手術は患者さんの体の左側を下にして、横になった姿勢で始めます。背中の右側から斜め前方に向けて切開し、肋骨を2本ほど切断して胸を開きます。肺や心臓、大動脈などを避けながら、胸部食道や胸部のリンパ節を切除します。次に胸を閉じて、患者さんを仰向けにして、頚部を切り開き、頚部のリンパ節を切除します。さらに、みぞおちからへそのあたりまでを切開し、腹部のリンパ節を切除します。

リンパ節を切除したら、胃を使って食道を再建します。胃の一部を切除して細長い形にし、上に吊り上げて、頚部食道につなげます。

再建した食道を通す経路には、胸骨の前を通す「胸壁前経路」、胸骨と心臓の間を通す「胸骨後経路」、心臓と背中の間を通す「後縦隔経路」の3つがあります。胸壁前経路は、最も確実で安全な反面、食後に吊り上げた胃が膨らんで、胸の一部が突き出たようになります。胸骨後経路や後縦隔経路は、美容上は優れていますが、食後に膨らんだ胃が心臓を圧迫しやすく、また、再発時には手術がしにくくなるなどの問題もあります。現在、日本では胸骨後経路が最も多く行われているようです。

●腹部食道がんの場合

左下の肋骨を切断して胸を開きます。腹部食道と胃の入り口である「噴門部」を切除します。併せて、腹部食道と胸部食道下部のまわりのリンパ節を切除します。

その後、胃を吊り上げて胸部食道につなげて食道を再建します。小腸の一部を切除し、胸部食道と胃の間に挟んでつなぎ合わせる方法もあります。

●「内視鏡下手術」も行われている

内視鏡の一種である「胸腔鏡」や「腹腔鏡」を使って、がんを切除する方法も行われています。胸やおなかを大きく切らずに済むので、患者さんの体の負担が軽く、傷痕も小さくて済みます。

ただし、胸腔鏡や腹腔鏡を通して観察できる範囲は狭いため、リンパ節に転移したがんを十分に取れるとは限りません。内視鏡下手術に熟練した医師の数もまだ少ないのも問題です。このように、今はまだ課題も多いのですが、これからの期待が大きい治療法といえます。

放射線療法・化学療法

がんが進行していて手術が難しい場合や、本人が手術を希望しない場合などには、放射線療法や化学療法が行われます。

放射線療法と化学療法は単独で行われることもありますが、組み合わせて使う方が治療成績が良いことから、最近は併用することが多くなっています。また、手術の前後に放射線療法や化学療法を行い、手術の効果を高めたり、転移や再発を防ぐ「補助療法」も広く行われています。この補助療法の普及によってかなり進行したがんや、リンパ節転移が多い場合でも、根治を目指した手術を受けられるケースが増えています。

また、一部の医療機関では、比較的早期の食道がんに対して、特殊な薬剤とレーザーを使った「光線力学療法」も行われています。

まとめ

このように食道がんの治療は進行の度合いによって治療法が変わってきます。まずはしっかりと今の状態を確認して、自分がどの治療を受けたいのか、今後のことについてまでよく考え医師と話し合っていく必要があります。また、なるべく早期に治療を開始したほうが治療成績はいいので、普段からしっかりと検査を受け、早期発見できるようにしておくことが大切です。



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