がん治療の患者術養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.9.2

がん治療に参加する

がんについてでも書いたように、現在日本では、毎年64万人以上の人が新たに「がん」に罹患しています。がんは誰でもなりえる「身近な病気」です。がんの治療では、患者さんが自分の意志で治療法などを選択することが大切です。それが、「患者さん自らが参加するがん治療」なのです。実際に患者さんが参加するがん治療を行うには、患者さん自身が自分の病気や病状について情報を十分にもっていることが前提になります。

情報を共有する

最近、がんの治療では、医師や看護師などの医療従事者やソーシャルワーカーなどが広く連携してチームを組み、家族とともに患者さんを支えるという環境づくりが進められています。ところが、このような「チーム医療」の体制がとられたとしても、患者さんが自分の病気に関する情報を共有していないと、チームから疎外されたように感じてしまうことがあります。

例えば、がんと分かった時に、医師が家族にだけそのことを伝えることがあります。そうすると、患者さんを取り巻く周囲の人々は情報を持っているのに、患者さん本人は情報を持っていないという状況では、周囲の人との間に見えない壁ができしまうことも考えられます。そうなると患者さんは自分の病気や病状に関して医師とも家族とも率直に話せず、さまざまな疑問や不安を自らのうちに抱えるという、孤立した立場に立たされてしまいます。このような事態を防ぐためには、まず、がん患者さんが自分の病気や病状について知っていることが必要なのです。

がんの告知に関して、現在は「告知をするか、しないか」という議論をする時代ではなく、「どのように伝えて、告知した後にどのように患者さんを支えていくか」という質の議論をする時代になっています。実際には、現在でも告知を受けていない患者さんというのは存在します。しかし、チーム医療本来の支援体制を生かし、患者さんの意志を尊重することは、患者さんが自分の病気や病状の情報を周囲の人と共有することから始まります。つまり、告知があって初めて、「患者さんが参加するがん治療」が始まるといえるのです。

治療目標をたてる

一口にがんといっても、患者さんによって状態は違います。がんは医学の進歩によって、治ったり、長期間コントロール可能な病気にもなってきています。しかし、患者さんの約半数が生命を脅かされる病気であることは間違いありません。

治療を受ける医療機関や治療法の選択、また積極的な治療を受けるかどうか、残念ながら治癒が望めない場合には、限られた時間をどのように過ごすのかなど、患者さん1人1人によって、設定する治療目標は違ってきます。これは患者さんの生き方が問われることにもなります。患者さんは自分の病気や病状を理解して、納得したうえで、自分の条件に合った治療目標をたてることが大切です。

しっかり意思表示する

患者さんが自分の意志を尊重した目標を立てて治療を受けるには、まず、自分の意志や主張をはっきりと表現することが大切です。

しかし、そうはいっても、がんの診断をされた患者さんはショックを受けて、「頭の中が真っ白になってしまう」のは当たり前のことです。治療の選択肢などを聞いても、なかなか冷静な判断を下せないこともあります。

患者さんが、自分の受けたい治療法について意思表示するには、医療者側にも患者さんのショックを和らげて、意志を上手に引き出す技術が必要です。また、家族などまわりの人の助けを借りることも大切です。なるべく家族の人に医師の話を一緒に聞いてもらって、冷静な判断をする手助けをしてもらうのがいいでしょう。

家族の役割

がんの患者さんにとって、家族などまわりの人の存在は、非常に大きなものです。家族などはショックを受けている患者さんを側面から支えてあげましょう。

患者さんは「どうして私ががんになったのか」などと考えて、悲しみや怒りなどの感情が強くなることがあるので、家族は患者さんの心情や愚痴を聞いて、「逃げ場」をつくってあげましょう。また、病気や治療に関する情報を共有しておけば、患者さんが情報を整理するときに手伝うこともできます。患者さんが自宅などで、疑問点などを話していた場合には、病院に行ったときに代弁してあげるのもいいでしょう。

ただし、家族などまわりの人の役目は、あくまでも患者さんのサポートであるということを忘れてはなりません。

主治医との信頼関係

患者術の中でも、主治医としっかり信頼関係を築くのは特に大切です。きちんとコミュニケーションをとり、自分に必要な情報を主治医から得るようにしましょう。医師との面談の際には、聞いたことをメモしておくのもいいでしょう。緊張したり、つい感情が高ぶって、きちんと記憶できないことも多いので、メモを見直すことは主治医の話を十分に理解する助けになります。何かわからないことがあれば、質問したり、何度でも聞き直すことも大切です。また、自分の病気のことをどのように考えているのか、治療にどういう希望をもっているのかなどは、なるべく早い時期に主治医に伝えておきましょう。

セカンドオピニオン

自分が受けている治療内容について納得ができないと感じたときには、「セカンドオピニオン」を求めることもできます。セカンドオピニオンは主治医とは別の医師から得る第2の意見のことで、主に次のような場合に求められます。

  • 患者さんが、現在受けている治療内容などに納得できないとき。
  • 主治医の専門外の問題が起きたとき。

診断や治療法などに納得できない場合にセカンドオピニオンを求めることは、患者さんの正当な権利です。しかし、セカンドオピニオンを求めるにはセカンドオピニオンを提供してくれる医療機関を探す手間もかかりますし、費用も掛かります(患者さんは受診せずに、家族だけで聞くセカンドオピニオン医による情報提供には、健康保険は使えません)。もう一度、「主治医ときちんとコミュニケーションがとれているかどうか」を見直してみることも大切です。納得できない点を主治医に尋ね直すことで、解決できる場合もあります。

まとめ

このように、がんの治療を受ける際に患者さん側が意識すべき患者術というものがあります。がんは一度治療すれば完全によくなることは少なく、長い期間病気と付き合っていかなくてはならないことが多いです。この患者術を意識したことのない患者さんは一度自分のことと比べてみて考えてみましょう。また、家族も重要な役割があるため、がんと関わりがないという人も頭の片隅に置いておくようにしましょう。



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