腸閉塞の診断と治療養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.8.9

腸閉塞の診察の流れ

前回は腸閉塞とはどのような病気か勉強してきました。腸閉塞では激しい腹痛や吐き気やおう吐などが起こります。重症になると脱水症状が現れたり、感染症を引き起こして発熱したり、場合によってはショック状態に陥り、命のかかわることもあります。そのため、きちんと診察と適切な治療を受ける必要があります。

診断①問診、視診、聴診など

腸閉塞は患者さんが開腹手術を受けたことがあれば起こりやすいので、まず問診で開腹手術の経験の有無を確かめます。人によっては10歳代で受けた開腹手術による癒着が、70歳代になって腸閉塞を起こすこともあるので、子どものころの手術もよく思い出して答えることが大切です。そのほかにも次のような項目をチェックしていきます。

視診

目で見て、患者さんのおなかがどのくらい膨らんでいるかを観察します。

打診

おなかを叩くことで、ガスがどのくらいたまっているのかを確認します。

聴診

おなかに聴診器を当てて、腸の動きを確かめます。初期の腸閉塞はゴロゴロとした音が聞こえますが、進行するとキンキンという金属音になります。もっとひどくなると、腸の音が全然聞こえなくなってきます。

触診

おなかを触って調べます。おなかを押すと痛む「圧痛」、おなかを押したあと急に放すと痛む「筋膜刺激症状」、おなかの筋肉が張る「筋性防御」などをよく見ていきます。

血液検査

炎症反応の有無、脱水や電解質異常の程度などを調べます。

診断②画像検査

エックス線検査

腸閉塞がある場合、多くはエックス線写真に「鏡面像」というものが現れます。鏡面像とは、水平面のある影のことで、腸の下側に水分、上側にガスがたまっている場合に現れます。鏡面像があると、その下のどこかに腸閉塞があることを意味しており、腸閉塞と確定診断されます。鏡面像から閉塞部位や重症度を推察することもできます。

ただし、麻痺性腸閉塞の場合は、腸にガスがたまる前に腸が動かなくなってしまうことがあるので、エックス線写真だけでは判断できないことがあります。

超音波検査

腸の内容物の動きや腸壁のむくみ、おなかに異常に水がたまる「腹水」の有無などを調べます。

造影CT検査

静脈から造影剤を注入して行われます。腸に血流障害が起きると、造影剤が入っていかないため、腸の壁が映し出されません。絞扼性腸閉塞の診断に有効な検査です。

内視鏡検査

高齢者が腸閉塞になる原因は大腸がんも多いです。そこで、肛門から内視鏡を挿入し、大腸がんがないか調べます。内視鏡検査の代わりに、バリウムを肛門から注入し、エックス線写真を撮影する「注腸エックス線検査」が行われることもあります。

腸閉塞の治療

保存療法

原則として単純性腸閉塞に対しては、手術ではなく「保存療法」をしていきます。

まず、鼻あるいは口から細い管を入れます。閉塞部位が腸の比較的上部のほうなら「胃管」を、下部のほうなら「イレウス管」を入れ、たまっている水分や内容物、ガスを取り除きます。これにより、腸の狭窄やねじれが治ることが期待できます。

これらの管を入れたうえで、まったく飲食物をとらない「絶飲絶食」をして、点滴で栄養分を補給します。同時に、血液の濃度を保ち、電解質のバランスの異常を補正するための点滴が行われます。また、感染症を防ぐために抗菌薬の点滴もしていきます。

手術療法

●単純性腸閉塞の場合

一般に保存療法を3~7日間(高齢者の場合は3~4日間)行っても症状が改善されない場合は、絞扼性腸閉塞として開腹手術が行うことがあります。単純性腸閉塞から絞扼性腸閉塞になりつつある、あるいはなった可能性があるためです。

●絞扼性腸閉塞

こちらは緊急に手術を行う必要があります。まずは癒着した部分を慎重に剥がします。腸の血流が十分に回復したことが確認できれば、腸を切り取る必要はありません。しかし、すでに腸の一部が壊死していて、放置しておくと腸に孔が開く危険性があるときは、血流が途絶えた部分の腸を切断して、正常な腸の部分とつなぎあせます。

最近では、程度の軽い絞扼性腸閉塞に対して、内視鏡の一種である「腹腔鏡」を使って、検査や手術をすることがあります。

●麻痺性腸閉塞

腹膜炎を起こしている可能性があるため、緊急手術が行われます。腹膜炎の部位を切除し、胃や腸などに穴が開いている場合には、その孔を塞ぎます。

予防も大切

腸閉塞の予防では、次のようなことも大切になってきます。

排便習慣をつける

腸を詰まらせないようにするには、規則正しい排便習慣をつけることが大切です。特に高齢者は、加齢によって腸の働きが低下するなど、便秘になりがちなので注意が必要です。

食物線維は控えめに

便通を整えるには、食物繊維が効果的です。ただし、高齢者の場合には、ゴボウやわかめなどの食物線維の多い食品は腸を詰まらせる原因にもなります。高齢者はあまりとりすぎないようにしたほうがいいでしょう。

乳酸菌をとる

ヨーグルトなどの乳酸菌を含む食品は、腸の働きを助けてくれます。積極的にとっていきましょう。

検査を毎年受ける

大腸がんは腸閉塞の原因となります。早期に発見するのが大切なので、1年に1回検査を受けましょう。検査は便のほかに血液が混じっているかどうかを調べる「便潜血反応検査」があります。

まとめ

高血圧や糖尿病などは、腸閉塞の病気を重くさせる原因にもなります。このような病気があるなら合わせて治療していきます。

また、「腹痛が長い期間治まらない場合」や、「頻繁に腹痛が起こる場合」、「何度も便秘を繰り返すような場合」は、腸閉塞の可能性があるので、早めに受診するようにしましょう。特に高齢者は症状が出にくいことが多く、気づくのが遅れることも多いので、まわりの人も気を付けておくことが大切です。



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