アルツハイマー病の新薬養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.8.5

新薬の登場

認知症の中でも数の多いアルツハイマー病に新しく薬が出ているので、今回はその薬について勉強していこうと思います。以前から、アルツハイマー病の治療薬としてドネペジルという薬が多用されてきました。ドネペジルは認知症の早い段階(軽度)から進行した状態(重度)まで使用します。新薬は種類によって軽度から中等度、中等度から重度と使用する時期が異なります。また、ドネペジルと併用することで認知症の進行を遅らせる効果もあるといわれています。

アルツハイマー病のおさらい

新薬の勉強をする前に、まずアルツハイマー病がどのような病気だったか復習してみましょう。

アルツハイマー病の診断と治療

アルツハイマー病は認知症の原因となる病気で、「もの忘れ」から始まり、ゆっくりと進行していきます。

もの忘れは年をとると多くなりますが、アルツハイマー病はそれとは違う「病的なもの忘れ」が起こります。年相応のもの忘れとは、例えば「あの人の名前はなんだったかな」というようなものですが、病的なもの忘れとは出来事自体を忘れてしまいます。「1時間前に食事をした」「昨日牛乳を買った」などといった自分の行動を忘れてしまい、食後に「食事はまだかい」と聞いてきたり、何日も連続で牛乳を買ってきたりといったことが起こります。そのため、病的なもの忘れというのは、日常生活で支障をきたすようになるのです。

さらに進行すると、今の日付を思い出せない、場所がわからないといった「見当識障害」や「判断力の低下」が現れ、徘徊などの異常行動や人物(家族も)がわからなくなるなど、徐々に認知機能全体が低下してしまいます。この進行は非常にゆっくり進むのが特徴で、数年から十数年かけて進んでいきます。この認知機能の障害を中核症状といいます。

また、必ず起こるわけではないですが、周辺症状というのもあります。「意欲の低下や自発性の低下」「感情障害」「幻視」「妄想」などが現れることがあります。

そのほか、出来事を忘れるもの忘れはあっても日常生活で支障の出ない「軽度認知障害」も最近は注目されています。この軽度認知障害は放っておくとアルツハイマー病に進むことがあるため、この段階から治療を始めていきます。

新薬登場

以前まではアルツハイマー病の治療薬といえばドネペジルしかありませんでした。しかし、2011年に新しく承認され、計4種類になっています。ですが、これらの薬はアルツハイマー病を根本的に治すものではなく、症状を一時的に改善し、進行を遅らせるための薬です。

ドネペジルは「コリンエステラーゼ阻害薬」という種類の薬です。このコリンエステラーゼ阻害薬として新しく「ガランタミン」と「リバスチグミン」が承認されました。もう1種類はNMDA受容体拮抗薬の「メマンチン」という新薬です。

アルツハイマー病は、脳のなかで情報を伝える役目の「アセチルコリン」という物質が少なくなっています。このアセチルコリンはコリンエステラーゼという酵素によって分解されてしまいます。ただでさえ少なくなっているアセチルコリンを減らさないためには、コリンエステラーゼの働きを抑えなければなりません。そのため、コリンエステラーゼ阻害薬を使ってアセチルコリンを守り、情報の伝達がうまくいくようにして、認知症の進行を遅らせます。

NMDA受容体拮抗薬は、コリンエステラーゼ阻害薬とは作用が異なります。脳のなかで情報を伝える役目があるのはアセチルコリンだけではありません。「グルタミン酸」も神経伝達物質の1つです。このグルタミン酸はNMDA受容体と合体することで情報の伝達をしています。しかし、グルタミン酸が増えすぎると、NMDA受容体が過度の刺激されて、神経細胞の働きが低下したり、神経細胞が死んでしまうことがあります。NMDA受容体拮抗薬は、この受容体とグルタミン酸より先に合体することで、過度に刺激されることを防いで、神経細胞の働きが低下するのを防いでいます。

この4種類の薬は、それぞれの患者さんの症状によって使い分けます。
ドネペジル:軽度から重度
ガランタミン・リバスチグミン:軽度から中等度
メマンチン:中等度から重度

また、作用の異なる2つの薬を併用することも可能です。例えば、ドネペジルとメマンチンを併用したほうが、日常生活動作の低下が抑えられたという結果が出ています。

まとめ

今回は新しい薬について勉強してきました。これによって認知症の進行を抑えられるのは患者さんにとって大きな助けになるでしょう。しかし、これらの薬も認知症を治すことはできません。やはり、薬物療法以外でも患者さんが快適に暮らせる生活をすることが1番の治療になることは変わりません。鍼灸治療でも「認知症と鍼灸治療」で書いたように、日常生活での困った症状をそのつど治療して、患者さんの生活を豊かにすることで認知症の進行を遅らせていきます。



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