慢性膵炎とは養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.7.27

慢性膵炎

さて、前回は急に激しい腹痛が起こり、命にかかわる病気である「急性膵炎」について勉強しました。そこで今回は、同じようにすい臓の病気である「慢性膵炎」について勉強していこうと思います。

慢性膵炎とは、長い期間にわたってすい臓に小さな炎症が繰り返し起こり、徐々にすい臓の組織が破壊されていく病気です。何度も炎症が起こったり、治まったりを繰り返して、すい臓の組織に「線維化」が進み、硬くなって萎縮してしまいます。そうなると次第にすい臓の働きが悪くなり、最後には失われてしまいます。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎の1番の原因は「長年のアルコールのとりすぎ」で、男性に多いといわれています。アルコールをたくさんとっているとすい臓が刺激されて、「膵液」が過剰に作られます。すると、すい臓の中にある「膵管」に多量の膵液がある状態になり、膵管の中の圧力が上がってしまいます。そうすると、膵液の消化酵素によって、すい臓の組織に小さな炎症が引き起こされます。このような炎症を繰り返すことで、すい臓が線維化し、破壊されてしまいます。

アルコールをどのくらいとっているとなりやすいかは、目安があります。だいたい1日に80gのアルコールを10年以上とり続けると、慢性膵炎になる危険性が高くなるとされています。アルコール80gとはどのくらいかというと、ビールでは大瓶3本、ワインではフルボトル1本くらいになります。こう書くと「ならば1日ビール2本なら問題ないだろう」と思うかもしれませんが、実際はアルコールの摂取は他の病気とも関係するので問題ありです。例えばアルコール依存症だと、アルコール量を1日20gに抑えるようにといわれています。くれぐれも飲み過ぎないようにしましょう。

慢性膵炎には、他の原因で起こることもあります。女性は「胆石」が原因でなる確率が高いといわれています。胆石が「総胆管」に落下して、膵管と合流する「乳頭部」に一時的に詰まると、膵管が塞がれて、膵液の流れが悪くなります。それが繰り返されると慢性膵炎が起こります。また、女性の場合は原因のわからない「特発性」の慢性膵炎も多くみられます。

慢性膵炎の進み方

慢性膵炎は、3つの病期に分けられ、それぞれの病期によって症状も変化していきます。

腹痛期

みぞおちから左上腹部、背中にかけて、鈍い痛みが繰り返し起こります。食後や飲酒の後に腹痛が出やすいのが特徴です。

移行期

移行期になると、腹痛は軽くなってきます。しかし、病気がよくなっているわけではなく、病気が進んだためにすい臓の機能が低下して、膵液の分泌が減ったために腹痛が軽くなっているのです。

膵機能不全期

さらにすい臓の機能が低下した状態です。消化酵素を作る働きが低下すると、食べたものをうまく消化吸収することができなくなります。そのために、摂取した脂肪が消化されずに排泄されて、ふわふわとした軟らかい「脂肪便」がみられるようになります。また、血糖を調整する「インスリン」などのホルモンを分泌する働きも悪くなるので、糖尿病が起こってきます。

慢性膵炎は、発症から10年ほどで膵機能不全期へと進行し、破壊されてしまった組織は元には戻りません。すい臓の機能が失われる前の腹痛期に病気を発見して、適切な治療を受けることが大切になってきます。

検査法

血液検査

血液中に含まれる、すい臓がつくる「アミラーゼ」という消化酵素を調べます。すい臓に炎症があると、血液中のアミラーゼの量が増えています。

画像検査

・腹部超音波検査・腹部CT検査

慢性膵炎になると、すい臓や膵管が変形します。また、すい臓の成分の一部が固まって、すい臓に「膵石」というカルシウムを含む結石ができることがあります。この膵石が膵管の中に詰まって膵管が狭くなることもあります。そこで腹部超音波検査や腹部CT検査によって、膵石の有無や膵管の形を調べます。

・MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)

MRIを利用して膵管と総胆管を撮影する検査で、膵管の状態を調べることができます。体の負担が少ないので外来で受けられます。

・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管撮影)

MRCPでは診断がつかない場合などに行う検査です。十二指腸に内視鏡を送り込んだ後に、膵管や総胆管に「カテーテル」という細い管を入れて、造影剤を注入してエックス線撮影を行います。この検査は体への負担が大きいので、入院することになります。

慢性膵炎の治療

すい臓の組織は、一度線維化したり、破壊されてしまうと元には戻りません。そのため、慢性膵炎の治療は、すい臓の組織がさらに破壊されるのを防いで、進行を食い止めることが目的になります。基本治療として、「禁酒、食事療法、胆石や膵石の治療」を行い、さらにそれぞれの病期に合わせた治療をプラスしていきます。

腹痛期

禁酒をして、胆石や膵石が原因ならばそれを治療します。そして腹痛を和らげるために「鎮痛薬」などを使っていきます。食事では脂肪の量を少なくして、すい臓の働きを助けるように消化の良いたんぱく質をとるようにします。油ものなども避けるようにしましょう。

移行期

基本治療を行い、腹痛があるときは腹痛期と同じ治療をして、消化機能が低下していれば消化酵素薬を使うなど、その時の状態に合わせて治療していきます。

膵機能不全期

やはり基本治療をしっかりと守るのが重要です。さらに、たんぱく質や脂肪を分解する酵素を含む「消化酵素薬」を服用して、低下したすい臓の機能を助けます。糖尿病がある場合には「インスリン」の注射をして血糖をコントロールします。

普段の生活が何より重要

慢性膵炎は進行性の病気です。そのため、一生にわたって付き合っていく必要があります。病気を進ませないためにも、生活習慣など普段の生活に気を配り、治療を続けていくことが大切です。また、慢性膵炎でない人も他人事と考えずに、アルコールの取りすぎ、暴飲暴食などに気を付けて予防するようにしていきましょう。



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