頚椎の病気(頚椎症・頚椎椎間板ヘルニア)養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.7.17

頚椎の病気

今回は頚椎の病気、つまり首の骨に異常がでる病気について勉強していこうと思います。前回の「首の痛みの原因」でも書きましたが、首の痛みと一緒にしびれが出てくるものは頚椎に異変が起こっている可能性があります。放置しておくと後遺症が残ってしまうこともあるので、たかが首の痛みとあなどらず病院を受診することが大切です。

頚椎の構造

それではまず頚椎についてもう少し詳しく勉強してみましょう。頚椎は、7個の「椎骨」でできており、椎骨はのど側の「椎体」と背中側の「椎弓」からなります。椎体と椎体の間には、クッションの役割をする「椎間板」があります。そして上下の椎骨は、椎体と椎弓の間にある「椎間関節」で連なっています。

また、椎骨の中央には「脊柱管」というトンネル状の空間があり、その中を脊髄が通っています。脊髄からはたくさんの神経が枝分かれしていて、椎骨と椎骨の間から出ていきます。この出て行った神経の根元を「神経根」といいます。

頚椎を通る脊髄や神経には、「手を動かす」「手足の感覚を脳に伝える」「内臓の働きを調整する」などの役割があります。そのため、頚椎の病気によって脊髄や神経根が障害されると、首だけではなく、手や足、内臓機能(排泄)などにも影響が出てきます。

こうした症状がでる頚椎の病気には主に、「頚椎症」と「頚椎椎間板ヘルニア」があります。

頚椎症

頚椎症の原因は主に加齢によるといわれています。脊柱の老化はまず最初に椎間板から始まっていきます。徐々に椎間板の水分が少なくなって弾力がなくなり、薄くなってしまいます。なぜ椎間板の老化が速いのかはわかっていませんが、若いうちから変形が始まり、50~60歳では何らかの変形ができてしまうことが多いです。

椎間板が変形すると、クッションの役割をするものがなくなるので、椎骨に直接衝撃が加わるようになります。そうなると椎骨の端が変形して、「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるとげができます。また、頚椎と頚椎の間が狭くなって、椎間関節が変形することもあります。

このような変形によって神経根や脊髄が圧迫されるとさまざまな症状が現れます。

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板は中心に「髄核(ずいかく)」と呼ばれるゼリーのような組織があり、その外側を「線維輪」という少し硬めの組織が取り囲んでいます。

この椎間板が加齢などによって変形すると、衝撃をうまく吸収できなくなり、線維輪に亀裂が入って髄核が飛び出すことがあります。これが頚椎椎間板ヘルニアです。飛び出した髄核が神経根や脊髄を圧迫することで症状が現れます。

この頚椎椎間板ヘルニアは、30歳代後半~50歳代後半の人に多くみられます。

症状

頚椎症も頚椎椎間板ヘルニアも、まずは首の痛みが現れます。そして、骨棘や飛び出した髄核によって神経根や脊髄が圧迫されることにより、さらにいろいろな症状が出てきます。

症状は神経根が圧迫されて起こる「神経根症状」と、脊髄が圧迫されて起こる「脊髄症状」に分けられます。

神経根症状

頚椎から出る神経根は、首から腕や指先にかけての感覚と運動をつかさどっています。そのため、頚椎の神経根が障害されると、「肩から腕、指にかけて痛みやしびれがある、感覚がない」「手や腕が動かしにくい」などの症状が現れます。多くは左右どちらかに症状が出ます。

また、頚椎から出ている神経は、それぞれ支配する領域が決まっています。どこに症状が出ているかによって、どの神経根が障害を受けているのかを判断します。

第1~4頚神経根
・あまり症状が現れない

第5頚神経根
・二の腕の内側の感覚の異常
・肘を曲げられない
・腕を上げられない

第6頚神経根
・ひじから先の腕と親指・人差し指の感覚の異常
・手首を上に反らすことができない

第7頚神経根
・中指の感覚の異常
・肘を伸ばせない

第8頚神経根
・薬指と小指の感覚の異常
・手の指を曲げられない

脊髄症状

脊髄は脳とつながっていて、全身に張り巡らされた神経の中枢です。そのため、脊髄が圧迫されてしまうと体のいろいろなところで症状が出てしまい、神経根症状よりも重大な影響を及ぼします。主に次のような症状が出てきます。

・手や指が動かしにくい…手がしびれたり麻痺がおこるために、「はしが持ちにくい、字がうまくかけない、ボタンがかけにくい」など、手や指を使う作業が難しくなります。

・歩行障害…足にもしびれや麻痺が起こると、「つまずきやすい」など、足を動かしにくくなります。重症になると歩行できなくなってしまいます。

・排泄障害…「尿が出にくい、頻尿、残尿感、便秘」など、排泄に関する症状が起こります。

脊髄症状は、首の痛みから始まり、やがて手足のしびれや麻痺などが出てきます。さらに脊髄への圧迫が強くなると、排泄障害が現れるようになります。脊髄症状は、長引くと回復が難しくなってしまうので、早めに気づいて治療を受けることが大切です。

治療法

頚椎の病気の治療法には、「保存療法」と「手術療法」があります。

神経根症状の治療の基本は、保存療法です。頚椎を安静にして、負担をかけない姿勢を心がけます。痛みやしびれが強い場合には、首を温めて血行を良くする「温熱療法」、痛みを抑える消炎鎮痛薬などを使う「薬物療法」、頚椎を引っ張る「牽引療法」などが行われます。

特に痛みが強い場合には、神経根の周辺に局所麻酔薬やステロイド注射をする「神経ブロック注射」が行われることもあります。

多くの場合は保存療法によって症状の改善がみられます。保存療法では改善されない場合や、本人の希望によって手術が検討されます。

脊髄症状があるときも、まずは保存療法をしていきます。しかし、進行するほどひどくなるため、患者さんが日常生活で苦痛を感じるときは手術も検討します。

手術

保存療法で満足な効果が得られない時には手術も検討していきます。脊髄には、圧迫されるともとに戻りにくいという性質があります。脊髄が圧迫されたまま長期間放置しておくと、手術をしても回復が見込めなくなることがあります。そのため、脊髄症状があるときには手術のタイミングも重要になってきます。医師とよく相談して決めましょう。

手術の方法には「椎弓形成術」「前方除圧固定術」「骨化摘出術」の3つがあります。原因となっている病気や、脊髄が圧迫されている範囲によって選択されます。

手術をして一番問題になるのは、手術後の症状がどれだけ残るかです。患者さんは手術をすれば首の痛みや腕のしびれはすべてなくなると思い、手術を決心する人もいます。しかし、実際には何割かの症状は残ってしまうことも多いものです。手術を受けるときには、手術後の症状についてもしっかりと話し合い、納得してから受けるようにしましょう。



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