糖尿病と鍼灸治療養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.7.15

鍼灸治療の臨床現場では

糖尿病とはどういう病気か、合併症などとともに勉強してきました。そこで今回は鍼灸院に糖尿病の患者さんが来院されたとき、どのように治療するのか考えていきましょう。

まず、どのように鍼灸治療をするのかの前に、糖尿病の患者さんを治療するときには気を付けておかなければならない点がいくつかあるので、そちらを先に書いておきましょう。

気を付けるべきこと

糖尿病の患者さんは感染症に気をつけなければなりません。進行した糖尿病では、体の自然治癒力も落ちているので、ちょっとしたことで状態が悪くなりやすいものです。それでは、体に鍼を刺す鍼灸治療は安全面で大丈夫なのかと心配する方もおられますが、「エイズと鍼灸治療」でも書いた通り、感染などへの対策は十分にしてあるので心配ありません。使い捨ての鍼を使用する、道具は毎日滅菌する、施術前には手洗い・消毒をきちんとするなどの安全ガイドラインにのっとって治療を行っているので、安心して受けることができます。

ほかに気を付けるべき点として、灸をする場合、手足の指先などへの直の灸は控えておくほうがいいでしょう。進行した糖尿病では、灸の熱さも感じにくく、灸の痕から菌が入ることも考えられます。もし手足の指先へ灸するのならば、灸点紙を使ったり、せんねん灸など灸痕が付かないタイプの灸を使用するようにしましょう。

また、糖尿病が進み、人工透析を行っているとあまり体力が残っていないこともあります。そのようなときは鍼灸治療では軽めの刺激で治療していきます。人工透析など、他にどのような治療を受けているのか、あらかじめ鍼灸師と話をしておくことが大切です。

鍼灸治療の方法

さて、それでは糖尿病の患者さんを鍼灸で治療するときの方法について考えてみましょう。といっても、鍼灸治療だけで糖尿病を治療するわけではありません。やはり定期的に検査をうけて、血糖や血圧をコントロールしていくことが大切になってきます。治療は生活習慣の改善、食事療法が大前提となります。そのうえで鍼灸治療でも血糖や血圧の安定をはかるため、体全体を治療していきます。

まずは血液の流れを良くしていくことが大切です。血流がよくなれば、血管への負担が減り、動脈硬化や三大合併症などを防ぐことも可能です。血流をよくし、血糖値を下げる治療として、パルスで通電することがあります。主に手や足を通電するのが効果的です。腕では合谷(ごうこく:手の甲)~曲池(きょくち:肘のしわの外端)を、下肢では行間(ぎょうかん:足の甲)~足三里(あしさんり:膝の少し下)を通電するのがよいでしょう。場合によっては思った以上に血糖値が下がることもあるため、低血糖に気を付ける必要があります。

また、感覚神経の障害によって起こるしびれなども鍼灸は効果があります。どこがしびれるのかなどしっかりと話を聞いて治療していきます。

東洋医学では糖尿病になると「腎」の働きが低下してしまうと考えます。そこで鍼灸治療では腎の働きを支えてやるような治療していきます。使うツボは腎兪(じんゆ:腰の背骨から外に2㎝のところで、腎臓の裏)や、太谿(たいけい:足の内くるぶしとアキレス腱の間)などがいいでしょう。

そのほかにも「脾胃」の働きが乱れることも多いので、脾胃の治療をしていきます。先ほども出てきた足三里などや、おなかの中脘(ちゅうかん:みぞおちとおへその中間)などを使います。

さらに鍼灸治療ではその他の症状についても治療していきいます。首・肩のこりや、腰やひざの痛みなどのほかにも、不眠や頭痛、風邪など、その時出ている症状にきめ細かく対応して治療していきます。普段から体調を整えることで、なかなか安定しなかった血糖や血圧がうまくコントロールできるようになることも多いです。また、糖尿病自体には自覚症状がないため治療が続かない人もいますが、このように糖尿病とは関係がない他の症状も治療して、改善していくことで治療を続けていきやすいという効果もあります。数回の治療でよくなることはないので、普段から健康の管理のためにも鍼灸治療を続けていくのがよいでしょう。



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