胃がんと腹腔鏡手術養生灸のススメ

category : 西洋医学 2011.7.7

腹腔鏡手術とは

前回、体への負担が最も少ない治療法として、「内視鏡治療」について勉強しました。しかし、内視鏡治療は早期がんでも限られた条件の胃がんにしか適応ではありません。そこで内視鏡治療が行えない早期がんを対象にする治療法として、「腹腔鏡手術」があります。この腹腔鏡手術は内視鏡治療の次に体への負担が少ない治療法です。

腹腔鏡手術のメリット

同じ手術でも、おなかを大きく切って行う「開腹手術」に比べて、腹腔鏡手術には次のような長所があります。

傷が小さい

手術による傷が小さいため、痛みも比較的少なくなります。

体の回復が早い

手術後、早い時期から歩くことができ体力の回復も早くなります。

腸を傷つけない

開腹手術では腸にも手で触れるため、手術後に「腸閉塞」などが起こりやすくなります。腹腔鏡手術では小腸や大腸に触れることがないので腸を傷つけず、腸閉塞が起こりにくくなります。

腹腔鏡手術の方法

腹腔鏡手術ではまずおなかに1㎝ほどの孔を5~6か所開けます。その孔から腹腔鏡やメス、縫合器などの器具を入れ、胃とつながっているまわりの組織を胃から外します。5㎝ほどおなかを切り、そこから胃を引き出してがんのある部位やリンパ節などを切り取って腹部に戻し、胃と小腸をに合わせます。

手術はモニターに映し出されたおなかの中の様子を見ながら行います。胃のどこを切るといった手術の内容は、基本的には開腹手術と同じです。

腹腔鏡手術の問題点

手術の時に突然出血すると、開腹手術ではすぐに止血することができます。しかし、腹腔鏡手術では腹部の孔から器具を入れて操作しているのですぐに止血できないことがあります。

また開腹手術と比べ、腹腔鏡手術は難しい手術のため、時間がかかってしまいます。胃の縫合をするのも難しく、縫合した部分の胃の内部が狭くなる合併症も起こりやすくなります。

切り取る胃の大きさは同じ

先ほども少し出てきましたが、基本的に腹腔鏡手術と開腹手術のどちらをしても、切除する胃の大きさは同じです。これは胃をどのくらい切るかはがんの進行度によって決まるためです。がんの転移の可能性も考えて、がんのまわりの組織も含めて切除します。胃を切り取る範囲は主に次の2種類があります。

幽門側胃切除術

胃がんのよく起こるところに、胃の出口の「幽門」があります。この場合は幽門側の胃を2/3程度切除します。このとき胃のまわりのリンパ節もとってしまいます。残った1/3の胃と十二指腸をつなぎ合わせて胃を再建します。

胃全摘術

一方、がんが胃全体に広がっていたり、胃の入り口(噴門)のあたりにある場合は、胃をすべてとってしまいます。その後小腸を持ち上げてきて食道とつなぎ合わせます。

手術後の後遺症

腹腔鏡手術の後は腸閉塞になりにくいという利点があります。しかし、胃を切り取ることによる後遺症は、腹腔鏡手術でも開腹手術でも同じように起こる可能性があります。

ダンピング症候群

通常はものを食べると胃の中にとどまって、少しずつ小腸に送られます。しかし、幽門を切除すると食べたものが一度に小腸に流れ込んでしまうため、食事の直後や約2~3時間後に「動悸・吐き気・冷や汗・めまい・脱力感」などが現れる「ダンピング症候群」が起こります。

貧血・骨粗しょう症

胃の中にはカルシウムや鉄分の吸収を助ける物質が存在します。広い範囲で胃を切除すると、その物質が減ってしまい吸収しにくくなり、「貧血」や「骨粗しょう症」が起こります。

逆流性食道炎

胃の入り口を切除すると、酸性の消化液が食道に逆流してしまい胸やけなどが生じる「逆流性食道炎」を起こすことがあります。

後遺症の対策

後遺症を少なくするための治療法に「縮小手術」があります。この縮小手術というのは従来の手術法よりも胃やリンパ節の切除範囲をなるべく小さくしたもので、胃の消化機能に与える影響を少なくすることができます。

縮小手術は主にリンパ節転移の可能性が少ない早期がんが対象です。幽門を残すことでダンピング症候群を防ぐことができますし、胆のうや大腸につながる神経を残すと手術後の下痢や胆石が起こりにくくなります。縮小手術も腹腔鏡を使って行うことができます。

一口に手術といってもさまざまな種類があり、その後の生活にも関係してきますので、しっかりと話し合って治療法を決めていくことが大切です。



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