皮膚のかゆみに対する漢方薬の治療について養生灸のススメ

category : 病気 2012.2.15

かゆみは放置しないで!

大きな病気がなくとも、体に何らかの異常があるとそれだけで生活の質が下がってしまいます。このようなときには、積極的に治療を行って症状を改善することで、日常生活がかなり楽になります。

生活上不便になるのは、痛みなどがある場合ですが、それ以外にも「皮膚のかゆみ」には多くの方が悩んでおられます。特に皮膚のかゆみが起こりやすい高齢者には「老人性皮膚掻痒症」と「アトピー性皮膚炎」が主な原因としてあげられます。今回は、これらに対する漢方治療について勉強していきましょう。

皮膚のかゆみについて

高齢者の半数以上が、「皮膚のかゆみ」に悩まされているといわれています。

皮膚のかゆみを解消するために、西洋医学に基づいて処方される塗り薬やのみ薬を用いることは、有効な治療法の一つです。しかし、もともと皮膚に異常がある人や、アレルギー体質の人では、西洋医学による治療でも、なかなかかゆみが取れないことがあります。そういうときには、皮膚の状態とともに体全体も診漢方医学に基づくる治療を行うと、かゆみの解消につながることがあります。

高齢者の皮膚のかゆみの原因になるのは、主に次の2つです。

●老人性皮膚掻痒症

はっきりした皮膚の異常がない、高齢者の皮膚のかゆみのことです。かゆみのためにかきむしって、症状がいっそうひどくなる場合もあります。主な原因は「皮膚の乾燥」です。

加齢に伴い、皮脂の分泌量は減少しがちです。すると、皮膚に水分を十分に貯められなくなり、皮膚が乾燥します。その結果、皮膚の防御機能が弱くなって、ちょっとした刺激でかゆみが生じることになるのです。

西洋医学による治療では、「保湿クリーム」で皮膚の乾燥を防ぎます。それでもかゆみが取れないときは、「抗ヒスタミン薬」の塗り薬やのみ薬でかゆみを抑えていきます。

●アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、皮膚に炎症が生じ、強いかゆみを伴ったさまざまな皮膚症状が起こきるアレルギー性疾患です。一般に、若いうちに発症し、加齢とともに軽くなっていきますが、高齢になっても症状に悩まされることがあります。皮膚の異常や体質に、「ストレス」「アレルギー反応」「発汗」「かきむしるなどの機械的刺激」などが複雑に絡み合って、発症すると考えられています。

西洋医学による治療では、「抗アレルギー薬」の塗り薬やのみ薬で症状を改善させていくのが基本です。非常に強い皮膚症状がある場合には、「ステロイド薬」の塗り薬で炎症を抑えます。

漢方医学による治療

西洋医学的にみると、老人性皮膚掻痒症とアトピー性皮膚炎では、原因がそれぞれ異なります。しかし、漢方医学では皮膚のかゆみはどちらの場合も、特に「気血水」のうち「血」が不足する「血虚」によって起こると考えます。

そのため、漢方の治療では、血を補い、血のバランスを整える漢方薬を選択します。場合によっては、症状に対処する漢方薬を処方することもあります。

老人性皮膚掻痒症への処方

老人性皮膚掻痒症に対しては、主に血虚を治す漢方薬が処方されます。

●血虚を治す漢方薬

かゆみが強く、皮膚が粉を吹いているような場合には「当帰飲子(とうきいんし)」が用いられます。

一方、かゆみがかなり強く、皮膚が赤くなっているような場合には、「温清飲(うんせいいん)」を用います。

●症状に対処する漢方薬

かゆみが強く、かきむしって傷や炎症があったり、皮膚に赤みがあり、熱をもっていたりする場合は、血虚を治す薬ではなく、症状に対処する「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」を使うこともあります。

黄連解毒湯の老人性皮膚掻痒症に対する効果を調べた臨床試験があります。老人性皮膚掻痒症と診断されて55歳以上の患者さんに抗ヒスタミン薬、または黄連解毒湯を6週間服用してもらい、その効果を比較した試験です。

それによると、皮膚のかゆみ、乾燥、かき傷などの症状の全般改善度については、「明らかな改善」があった人は、黄連解毒湯で約25.5%、抗ヒスタミン薬で約31.3%という結果になりました。一方で、「中等度の改善」があった人まで含めると、黄連解毒湯を服用した人の約68.8%に、抗ヒスタミン薬を服用した人では約50.0%の改善がみられ、黄連解毒湯のある程度の効果が示されたのです。

実際の治療では患者さんの症状、体調、体質、症状の経過などによって、黄連解毒湯と抗ヒスタミン薬のどちらを使うか、もしくは併用するかなどを担当医と相談しながら治療が進められます。

●日常生活の注意

老人性皮膚掻痒症は、暖房による感想などの環境歴な要因で症状が悪化しやすいので、「部屋の加湿を怠らない」など、皮膚を乾燥させない日常生活のケアもとても大切になります。

アトピー性皮膚炎の処方

アトピー性皮膚炎の漢方医学による治療では、乾燥した皮疹があり皮膚がかさかさした「乾性」の状態なのか、あるいは皮膚が湿っていて滲出液が多くジクジクした「湿性」の状態なのかによって処方が大きく異なります。

●乾性の場合

かゆみや皮疹の程度が強く、体力が保たれている「実」の状態の人には、「温清飲」を用いることがあります。一方、かゆみや皮疹の程度がそれほど強くなく、体がきゃしゃで疲れやすい「虚」の状態の人には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」を用います。

●湿性の場合

かゆみが強く、赤みを伴い、かきむしって傷や出血、かさぶたがあるような、さまざまな皮膚症状がみられる人には、「消風散(しょうふうさん)」が用いられます。

●日常生活の注意

アレルギー反応を起こす原因物質(アレルギー源)がはっきりと分かっている場合には、それを取り除く工夫も必要になります。

まとめ

皮膚のかゆみというのは、西洋医学ではなかなか良くならないこともあります。そのようなときには一度、漢方薬を試してみるのがよいと思います。

漢方薬は今回紹介したもの以外にもさまざまな種類があり、患者さんの状態によって適切なものを選ぶ必要があります。西洋医学のように「この病気にはこの薬」というものではなく、「この患者さんの体の状態はこうだから、この漢方薬」というふうに、病気ではなく患者さんの体の状態にあったものを使わなければなりません。

どの薬を使うかは、漢方薬を専門に取り扱っている医師などに相談したほうがよいでしょう。しっかりと自分の身体の状態を伝えて、医師と二人三脚で治療していきましょう。



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