不眠やイライラに対する漢方治療養生灸のススメ

category : 病気 2012.2.10

不眠やイライラの解消に

漢方薬は体のゆがみを整えることで体調を良くしていきます。そのため、さまざまな病気や症状に対して効果があり ます。中には「不眠」や「イライラ」などの精神的な症状に対しても、漢方薬が処方されることもあります。漢方医学独特の考え方から患者さんに適切な漢方薬 を選んで使っていくことになります。そこで、今回は漢方薬で不眠やイライラなどを解消する方法について勉強していこうと思います。

気の異常を解消する

高齢になると、体力や運動機能が低下しがちです。同様に睡眠の質も低下し、「夜中に何回も目が覚める」「朝早くから目が覚めて眠れない」などといった症状が現れることがあります。また、気力の低下や将来の不安などから、イライラを訴える人も増えてきています。

漢方医学では、不眠やイライラなどの症状を、「気血水(きけつすい)」という概念に当てはめて診断します。

●気血水とは

「気」は、生きていくための身体的、精神的な活力を指し、脳の働きや精神活動、免疫などがこの概念に含まれます。「血」は、血液とその働きを指し、血液中を流れる栄養も含まれます。「水」は、リンパ液、汗、尿などの血液以外の体内の水分を想定しています。

漢方医学では、気血水がバランスよく体内を巡ることで健康が保たれていると考えます。それぞれの量が不足したり、流れが障害されたりすると、正常な 体の働きが阻害されると考えるのです。不眠やイライラは、精神活動をつかさどる気に異常が起こって生じていると考えて、治療が行われます。

気血水に異常があるかどうかは、「四診」で診断します。異常が認められた場合は、漢方薬で気血水のバランスを整えていきます。

気の異常とは

気の異常は大きく分けて次の3つに分けられます。

・気虚…気が不足した状態です。「だるい」「疲れやすい」「気力がない」などの症状が現れます。

・気うつ…気は、体内を絶えず流れながら巡っています。その流れが滞ってしまうのが「気うつ」です。気うつの「うつ」はうつ病の「うつ」とは異なりますが、「気持ちが落ち込む」「頭が重い」「のどがつかえた感じ」などが現れます。

・気逆…気は頭から足の方向へと流れています。その流れが逆流して、気が頭に上るのが気逆です。「のぼせ」「脚が冷える」「動悸」「頭痛」などの症状が現れます。

治療では、それぞれの気の状態にしたがって漢方薬を処方し、バランスを元に戻していきます。

処方例

同じ不眠、イライラでも、どのような気の異常があるかによって、漢方薬の処方が違います。

●不眠の場合の処方例

体がだるく、「日中に眠気がある」「眠りたいのに頭がさえて眠れない」といった症状がある場合は、気虚が考えられます。そこで、不足した気を補って、活力を向上させる作用のある「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などを使います。

「気持ちが落ち込んで眠れなくなる」という症状は、気うつが考えられるため、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」などで気のうっ滞を改善します。

「焦燥感でイライラして眠れない」「物事が気になって眠れない」場合は、気逆による不眠だと考え、「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」などを使います。

●イライラの場合の処方例

「頭に血が上ってイライラする」「怒りっぽくなる」という気逆には、「桂枝加竜骨牡蛎湯」「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」などを使います。柴胡桂枝乾姜湯は、「活力が低下してだるい」という、気うつの症状を伴う人に処方されます。

イライラに加えて、「やる気がでない」「憂鬱な気分」といった症状を伴う気うつには、「香蘇散(こうそさん)」などが使われます。

気の3つの概念には当てはまりませんが、「不安があり、夜中に突然目が覚める」「イライラしてパニックに陥る」というような症状があるときも、気の異常と考えます。この場合は、即効性のある「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」で症状を抑えます。

認知症が原因の場合

高齢者の不眠やイライラは、病気が原因となって起こることもあります。その代表が「認知症」です。西洋医学の薬を使っても治療が難しいのが現状ですが、これらの病気によって起こる不眠やイライラに対しては、漢方薬が効果を示すことが分かってきています。

例えば、「アルツハイマー型認知症」には「抑肝散(よくかんさん)」を、「脳血管性認知症」には「釣藤散(ちょうとうさん)」を使います。どちらも、イライラや怒りっぽいという症状を緩和させる薬として使われてきた薬で、認知症による不眠やイライラにも効果を示します。

●釣藤散の効果

こうした効果は、化学的にも証明されています。

例えば、軽症から中等度の脳血管認知症の患者さんに対する、不眠やイライラをはじめとする、全般的な症状の改善度を調べた臨床試験では、12週間使った時点で、釣藤散に明らかな症状改善効果が見られています。

認知症は、本人にも家族のみんなにも負担のかかる病気です。漢方薬によって少しでも症状を改善することで、その負担を和らげる効果が期待できます。

まとめ

このように患者さん一人ひとりに合わせて処方していき、それぞれの身体のバランスを整えていくことで病気を治していきます。四診のなかでも特に問診 時には患者さんも今の自分の状態をきちんと医師に伝えることが、正確な気の状態の把握につながります。しっかりと話をして、自分に合った処方を受けること が大切です。



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