風邪に対する漢方薬について養生灸のススメ

category : 病気 2012.2.6

漢方薬を知っていますか?

最近は病院での処方で「漢方薬」がでることもあります。昔は漢方薬といえば漢方専門薬局に行って煎じ薬を使うことがほとんどでしたが、最近になって漢方薬から成分を取り出したエキス剤が普及したことで、一般にも広まってきています。漢方薬を使うときには独特の診断方法で、患者さん1人ひとりに在った治療を行っていきます。そこで、今回は風邪に対する漢方薬を中心に勉強していこうと思います。

漢方医学について

現在の医学は西洋医学が中心ですが、最近では漢方医学を取り入れた治療を行う医療機関も増えてきています。

漢方医学は中国の医学をもとに、日本で独自に発展したものです。西洋医学にも漢方医学にもそれぞれ長所と短所があり、最近ではお互いの長所を生かして融合させた医療が広がりつつあります。

●西洋医学と漢方医学の違い

西洋医学も漢方医学も、患者さんの健康を目的に治療を行う点は同じです。しかし、その考え方は異なります。

西洋医学は、西洋の自然科学から生まれ発達した医療です。人間の身体の状態を解析して症状から客観的に病気の原因を追究し、その原因を取り除く治療を行います。一方、漢方医学は、患者さん1人ひとりの症状や体質を重視します。体の一部に現れる症状も、全身の働きのゆがみから起こっていると考えます。漢方医学では、そのゆがみを正すことが治療になります。

治療に使う薬も西洋医学と漢方医学では異なります。西洋医学では、特定の標的に狙いを定めた、単一の化学物質からなる薬を主に使います。一方、漢方医学は症状や体質を改善するために、植物の根や茎、鉱物、貝殻など、自然界にあるもの(生薬)を用いた「漢方薬」で治療を行います。

●漢方薬とは

漢方薬とは複数の生薬を組み合わせてつくられ、調合の割合なども決まっています。例えば、風邪によく使われる「葛根湯」には7種類の生薬が含まれています。最近ではそれぞれの生薬に含まれる有効成分を、科学的に解明する研究も進んでいます。

漢方薬は「肩こり」や「腰痛」などの一般的な症状から、西洋医学では治療が難しい病気にも使われています。「風邪」も例外ではなく、古くから漢方医学に基づく治療が行われています。

高齢者は体の機能や状態の個人差が大きく、複数の病気を持つ人も少なくありません。個人に合わせた漢方薬で、身体のバランスを整える治療を行うことが、より有効な場合もあります。

漢方医学の診断

体質や自覚症状は1人ひとり異なります。そのため、まずは漢方医学独特の診断方法で、患者さんの状態や体質を見極めます。

基本は「四診(ししん)」という4つの方法で、診察します。

・望診(ぼうしん)……顔色や歩き方、表情、舌の状態などを見ます。

・聞診(ぶんしん)……呼吸音、声の張りなどを聞くほか、体臭や口臭などのにおいを確認するものです。

・問診(もんしん)……「いつから症状があるか」「どのような症状があるか」などを西洋医学での問診と同じように詳しくたずねます。

・切診(せっしん)……お腹に触れたり、手や首に触れて脈を診たりします。

●診断法

四診の結果をもとに、「陰陽」と「虚実」という、漢方独特の概念を当てはめて診断します。

・陰陽……熱の状態を示します。「陰」は「顔が青白い」「手足が冷える」など、寒さが現れている状態です。「陽」は「顔が赤い」「手足がほてっている」など、熱が出ている状態をいいます。

・虚実……体力の状態を示します。「虚」は「体力が弱い」状態です。抵抗力が弱いため、風邪を引いてもウイルスなどの外敵に対して反応が弱く、症状があまり現れません。「全身がだるい」「起きているのがつらく、横になりたい」といった症状が中心です。一方、「実」は体力のある状態です。体力が充実しているので、体内に侵入したウイルスなどの外敵に強く反応して、「高熱」「頭痛」「関節痛」などの症状が強く現れます。

これらの漢方医学的な診断に加えて、西洋医学的な診断も加味し、両方の医療の利点を生かした治療を進めていきます。

風邪症状の処方

風邪の場合、陽から徐々に陰に代わっていくのが一般的です。しかし、体力のない高齢者では、発熱がなく最初から陰の状態の人もいます。同じ風邪でも、その時の状態に応じた漢方薬を処方しながら、症状を改善していきます。

●陽の風邪症状の場合

体力のある実の人には、発汗を促して熱を冷ます作用を持つ「葛根湯」を使います。熱はあまり出ず、「だるい」といった症状が中心の虚の人には、体力を補いながら風邪の症状を改善させる「桂枝湯(けいしとう)」を使います。高齢者では、葛根湯よりも桂枝湯を使うことの方が多いようです。

●陰の風邪症状の場合

体力のある実の人が虚の風邪をひくことは、あまりありません。主に虚の人がかかるので、身体を温めて体力を補う漢方薬を使います。頭痛や関節痛がある場合は、「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」、身体のだるさが主体である場合は「真武湯(しんぶとう)」を使います。

●風邪症状が長引いた場合

漢方薬を使ってもなかなか治らない場合は、「胸部エックス線検査」や「血液検査」などを行って、ほかの病気の有無を調べます。細菌感染による「肺炎」などの病気があれば、「抗菌薬」などの西洋医学の薬を使いながら、免疫力を高めるための漢方薬を加えて治療していきます。

高齢者は、「慢性副鼻腔炎」や「COPD」など、慢性的にもっている病気から風邪のような症状が現れることもあります。咳や痰など、風邪のような症状が続く場合は、それぞれの症状に合わせた漢方薬を使って改善します。

まとめ

このように漢方薬は患者さんに合わせて使っていきます。また、それと同時に、その時の患者さんの状態を診て使う薬を決めるので、同じ人が風邪になったときでもその時によって違う漢方薬が処方されることがあります。

また、風邪で漢方薬を処方されても、漢方薬を飲んでいると体のゆがみが改善されてさまざまな症状も一緒に改善していくことも多いです。自分に合った漢方薬を飲んで生活の質を高めていきましょう。



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